前のエピソード――第1話~異世界転生した現代のマッドサイエンティスト、森の領主の息子になる~

あれから数年（すうねん）が経（た）ち、彼（かれ）らの見（み）た目（め）が変（か）わらないことに凄（すご）く驚（おどろ）いてしまった…

理由（りゆう）は父（ちち）と母（はは）、姉（あね）、そして、他（ほか）の家臣（かしん）たちも一切（いっさい）として歳（とし）をとっていないのだ。

なぜなら、彼（かれ）らの正体（しょうたい）は…。

そう！"吸血鬼（きゅうけつき）"

成人（せいじん）の姿（すがた）のまま、見目麗（みめうるわ）しい姿（すがた）で時（とき）が止（と）まったかの様（よう）な空気（くうき）をまとった存在（そんざい）たち

『現代（げんだい）では同人誌（どうじんし）や小説（しょうせつ）の中（なか）だけにしか存在（そんざい）していなかったはず…この世界（せかい）には魔人（まじん）も居（い）ると聞（き）いた事（こと）がある…うん。ありえる』

-そう。ここは異世界なのだ-

だから我（わ）ら魔人族（まじんぞく）はとヒューマンとで長（なが）い間（あいだ）、共存（きょうぞん）してきたという。

さて、皆（みな）さん、ここからは自分（じぶん）が何故（なぜ）か同性（どうせい）に愛（あい）される物語（ものがたり）を語（かた）っていこう。

-時（とき）は正午（しょうご）まえの大学（だいがく）の敷地内（しきちない）-

「さて…。僕（ぼく）は、これから、この大学（だいがく）に通（かよ）う訳（わけ）だけど。姉貴（あねき）と待（ま）ち合（あ）わせしてるんだが、見当（みあ）たらんな…どこほっつき歩（ある）いてんだか。」

俺（おれ）=僕（ぼく）、つまり異世界に転生（てんせい）した時（とき）の語（かた）り部（べ）および主人公だ。

年（とし）の離（はな）れた研究科（けんきゅうか）の博士号（はかせごう）を持（も）つ魔法動物界（まほうどうぶつかい）の天才（てんさい）と謳（うた）われた研究者（けんきゅうしゃ）、そう！僕（ぼく）の姉貴（あねき）"ベガ・エミリア・アナマリアーナ"

彼女（かのじょ）は生（う）まれつき魔法動物（まほうどうぶつ）に好（す）かれる能力（のうりょく）を持（も）っていた。

彼女（かのじょ）と目（め）が合（あ）うと動物（どうぶつ）たちは服従（ふくじゅう）するのだ

「ベガ姉様（ねえさま）～！どこですか？大学（だいがく）で一緒（いっしょ）に飯（めし）たべよう！って言ったじゃないですか…」と泣（な）きながら叫（さけ）ぶと草（くさ）むらが揺（ゆ）れた。

「あれ〜、スーちゃんじゃん！どしたの？って…。あ〜！そっか今日（きょう）か！？待（ま）ち合（あ）わせしてたの、忘（わす）れてたわ笑」

草（くさ）むらから見知（みし）った声（こえ）がした。

背（せ）の高（たか）い白衣（はくい）を着（き）たウルフカットの銀髪（ぎんぱつ）の赤い目（め）をした美女（びじょ）が現（あら）れた

「ごめんね〜、自分（じぶん）さ、新種（しんしゅ）の魔法動物（まほうどうぶつ）の研究（けんきゅう）が終（お）わってなくてさ笑、だから約束してたこと忘（わす）れてたんよね…許（ゆる）して？」と、てへぺろ？みたいな顔（かお）で彼女（かのじょ）は手（て）を合（あ）わせ謝（あやま）ってきた

「姉様（ねえさま）…またですか…？忘（わす）れっぽいの、何（なん）とかならないんですか？？」

顔（かお）を膨らませたあと、僕（ぼく）が話（はな）しかける。

すると姉様（ねえさま）は、また、てへぺろ〜みたいな顔（かお）をし「本当（ほんとう）に！ほんとに！ごめんて…研究（けんきゃう）に没頭（ぼっとう）してたら約束（やくそく）わすれちゃったんだってばぁ〜。ゆるしてよ…(泣)」と今度（こんど）は泣きじゃくる。

「はぁ…ほんと仕方（しかた）ない人なんですから…僕（ぼく）が、いつまでも貴女（あなた）の面倒（めんどう）みれる訳（わけ）じゃないんですから、気（き）をつけてくださいよ…？まったくもう。」

僕（ぼく）は腕組（うでく）みをし、本当（ほんとう）にプンスカぷんな顔（かお）をするも内心（ないしん）では心配（しんぱい）しているのだ…

この姉貴（あねき）は研究（けんきゅう）にしか才能（さいのう）を発揮（はっき）しない、世話（せわ）してあげたくなる系の年上（としうえ）おねえちゃんなんだ。

かわいすぎる姉貴（ひと）だ…

うんうん。

まぁ…。そんな、こんなで、僕（ぼく）は大学（だいがく）一番（ばん）の秀才（しゅうさい）である、この普段（ふだん）はダメな姉貴（あねき）と大学（だいがく）を周（まわ）り、施設（しせつ）を紹介（しょうかい）してもらうことになった！！

「さてと！スーちゃん、これから、私（わたし）たちと沢山（たくさん）いろんなこと、学（まな）ぼうね～」と、あれだけ泣（な）きじゃくっていた姉貴（あねき）は顔色（かおいろ）が良（よ）くなり、いつの間（ま）にか立（た）ち直（な）っていた

もう、吹（ふ）っ切（き）れたのだろう…

いつものことだ。

『さてと…、僕（ぼく）も勉強（べんきょう）していく上（うえ）でも施設（しせつ）の紹介（しょうかい）は凄（すご）く、有難（ありがた）い…、うん。引（ひ）き受（う）けてくれた、姉貴（あねき）に本当（ほんと）、感謝（かんしゃ）だな笑』

かくして僕（ぼく）らは沢山（たくさん）の学部（がくぶ）を見（み）て周（まわ）ることになったのだ。

楽（たの）しみでしかない！！

-転調（てんちょう）-

さて…、場所（ばしょ）は変（か）わり、約束（やくそく）の場所（ばしょ）から少（すこ）し離（はな）れた場所（ばしょ）には大学（だいがく）の母屋（おもや）がある。

ここからは主人公と攻めとの出会（であ）いの物語（ものがたり）が始まります。

語（かた）り部（べ）は僕（ぼく）と姉貴（あねき）！ご覧（らん）あれ。

「さて！ここが明日（あした）からスーちゃんが通（か）うことになる、公立学園（こうりつがくえん）魔法大学（まほうだいがく）"アカシア学園（がくえん）"そして、基本的（きほんてき）な座学（ざがく）や共通（きょうつう）の教養（きょうよう）を学（まな）ぶ、全校生徒（ぜんこうせいと）が通（か）う母屋（おもや）です！！」

「なるほど～、ここが…。それで？中（なか）には入（はい）れるのですか？姉様（ねえさま）？？」

姉貴（あねき）は威張（いば）るかのような格好（かっこう）で「もちろん！今回（こんかい）は、この"アカシア学園（がくえん）"きっての主席合格（しゅせきごうかく）にして、博士号（はかせごう）を持（も）つ、私（わたし）が学園長（がくえんちょう）より仰（おお）せ使（つか）ったのだから、案内（あんない）は任（まか）せなさい！！」

「そうなんだ…、うん。わかった！よろしく」

という訳（わけ）で、由緒（ゆいしょ）ある魔法大学（まほうだいがく）の母屋（おもや）へ案内（あんない）してくれるから、楽（たの）しみにしててね！

-転調（てんちょう）-

目（め）の前（まえ）には巨大（きょだい）な大（おお）きくて、美（うつく）しい建物（たてもの）が、そこには、あった！！

建物（たてもの）としては、かなり古（ふる）めに見（み）えて、案外（あんがい）あたらしいようだ。

見（み）た目（め）こそ、古代（こだい）ローマの様（よう）な、様式美（ようしきび）が沢山（たくさん）つまっている、素敵（すてき）な母屋（おもや）。

中（なか）も、それなりに綺麗（きれい）では有（あ）るが、一部（いちぶ）の部屋（へや）は古（ふる）く、開（ひら）きにくく、鍵（かぎ）が掛（か）かった状態（じょうたい）だし本当（ほんとう）に昔（むかし）からある建物（たてもの）のようだ…

「ふ〜ん…。母屋（おもや）って、意外（いがい）に古（ふる）めかしいんだね～。ねぇー、姉様（ねえさま）？ここって、いつの時代（じだい）に建（た）てられた建物（たてもの）なのか、知（し）ってます？？」

前（まえ）を歩（ある）く姉貴（あねき）に話（はな）しかける。

すると…「そうね…。たしか…最古（さいこ）の時代（じだい）に西洋人（せいようじん）が、この国（くに）に来（き）た時（とき）に、建（た）てられたものだと聞（き）いているわ。むかし、デザインが凝（こ）っていたとかで、注目（ちゅうもく）されていたわ。」と話（はな）してくれた。

『なるほど…、なんだろう…。この懐（なつ）かしい感（かん）じ…。どっかで見（み）たような…。』

僕（ぼく）は、そう思（おも）い、見上（みあ）げていた顔（かお）を下（さ）げ、ようやく前（まえ）を歩（ある）いていた姉貴（あねき）の後（あと）を付（つ）いて行（い）く。

すると、姉貴（あねき）が一室（いっしつ）の前（まえ）で足（あし）を止（と）めた。

「あの～、姉様（ねえさま）？ここは何処（どこ）なのですか…？」と首（くび）を傾（かし）げて訊（き）いてみる。

すると「ここ？ここはね、学園長室（がくえんちょうしつ）よ！あ、そうそう。いま確（たし）か、この国（くに）の王子様（おおじさま）が待機（たいき）されているそうよ？理由（りゆう）は…、わらからないけれど。多分（たぶん）、スーちゃんの噂（うわさ）きいて会（あ）って見（み）たかったんじゃないかしら…。」

「ふぅーん…。なるほどですね…。この国（くに）の王子様（おおじさま）ですか…。どんな方（かた）なのでしょうか…。気（き）になるから見（み）てみたいです！」

僕（ぼく）は少（すこ）し期待（きたい）を膨（ふく）らませた瞳（ひとみ）を向（む）けながらニコニコ笑（わら）いかけた。

すると…

「そうね！スーちゃん、緊張（きんちょう）しないで？やっぱり、人付（ひとづ）き合（あ）い苦手（にがて）だから怖（こわ）いの？？と不安（ふあん）そうな顔（かお）をし、眉（まゆ）を歪（ゆが）ませた…

「少（す）しだけ緊張（きんちょう）してますね…。なんか失態（しったい）をするんじゃないかって、ヒヤヒヤしてますよ。」と答（こた）える。

すると、姉貴（あねき）が「まぁ…、大丈夫でしょう…。そこまで緊張（きんきょう）しなくても相手（あいて）は確か、公国（こうこく）の第3王子（だいさんおうじ）よ、いわゆる4番目（ばんめ）の子供（こども）だから末（すえ）っ子（こ）なのよね～。可愛（かわ）いと評判（ひょうばん）らしいのよ」

その話（はなし）を聞（き）いて僕（ぼく）は…

「へぇー。そうなんですか…。第（だい）3王子（おうじ）ね…。じゃー、末（すえ）っ子（こ）って事（こと）は、勉強（べんきょう）しに来（き）たんですか？」と僕（ぼく）が姉貴（あねき）に質問（しつもん）すると

「そうそう！なんか、スーちゃんと小（ちい）さい時（とき）に面識（めんしき）あったみたいでさ〜。会（あ）いたかったみたいよ？あとね、その時（そのとき）に知識（ちしき）いろいろ教（おそ）わって感謝（かんしゃ）を言（い）いたかったらしいからって理由（りゆう）も有（あ）るみたいね…。」

そう姉貴（あねき）に言（い）われて記憶（きおく）を遡（さかのぼ）ってみよう…

-転調（てんちょう）-

それは、今（いま）から数年前（すうねんまえ）のこと…

僕（ぼく）が、まだ小（ちい）さかった頃（ころ）に公国（こうこく）が開（ひら）いた茶会（ちゃかい）が有（あ）り、そこで僕（ぼく）と第（だい）3王子（おうじ）は出会（であ）っていたらしい…。

それこそ、運命（うんめい）の相手（あいて）？なのだろうか…

場所（ばしょ）は公国（こうこく）の屋敷（やしき）、いわゆる"公国（こうこく）の城（しろ）"の敷地内（しきちない）にある、デカい庭（にわ）だ。

『でっかい庭（にわ）だな〜と、来（き）た時（とき）に思（おも）ったが、あの時（とき）、出会（であ）った自分（じぶん）よりも小（ちい）さな、可愛（かわい）らしい少年（しょうねん）が、まさかの公国（こうこく）の第（だい）3王子（おうじ）だったとは…』

-転調（てんちょう）-

回想（かいそう）シーンが終（お）わると、僕（ぼく）は頭（あたま）の中（なか）で昔（むかし）、出会（であ）った事（こと）が有（あ）る少年（しょうねん）が、第（だい）3王子（おうじ）だったことに気（き）づく。

彼（かれ）とは、あれ以来（いらい）、1度（ど）も会（あ）えなかった理由（りゆう）が、ようやく分（わ）かった気（き）がした。

「さてと、そろそろ中（なか）に入（はい）ろうかね～。スーちゃん！心（こころ）の準備（じゅんび）はいい？しっかりするのよ〜。傍（そば）で見守（みまも）ってるからね！頑張（がんば）れっ!!」と小（ちい）さく拳（こぶし）を顔（かお）の前（まえ）に出（だ）して、僕（ぼく）の顔（かお）の前（まえ）に突（つ）き出（だ）す。

「はい！姉様（ねえさま）！！大丈夫（だいじょうぶ）です！頑張（がんば）ります!!」

そう言（い）い僕（ぼく）も拳（こぶし）を顔（かお）の前（まえ）に掲（かか）げ、姉貴（あねき）の拳（こぶし）と合（あ）わせた。

-転調（てんちょう）-

扉（とびら）を開（あ）けると、そこには学園（がくえん）の制服（せいふく）を着（き）た一人（ひとり）の若（わか）い子供（こども）と年老（としお）いた学園長（がくえんちょう）が居（い）た。

「よく来（き）たね！わしは、この学園（がくえん）の学園長（がくえんちょう）です。そして、隣（となり）に居（い）るのは、公国（こうこく）の第（だい）3王子（おうじ）の"ダニエル・マルミアーナ"くんだ。仲良（なかよ）くしてやってくれ。挨拶（あいさつ）しなさい。」

そう言（い）われ、学園長（がくえんちょう）の隣（となり）にいる美少年（びしょうねん）は…

髪（かみ）の色（いろ）が金髪（きんぱつ）のウルフカット、目（め）は碧眼（へきがん）で右目（みぎめ）の下（した）に泣（な）きぼくろ、クリクリお目目（めめ）、完璧（かんぺき）なまでの美少年（びしょうねん）…

うん。好（す）きなタイプの顔（かお）でした

「はじめまして…、じゃないですよね？だって貴方（あなた）から昔（むかし）の大事（だいじ）なひとの面影（おもかげ）を感（かん）じます。記憶（きおく）が正（ただ）しいのならば、あの人（ひとら）なはず…」

そう一瞬（いっしゅん）だけ思（おも）い、首（くび）を傾（かし）げ、僕（ぼく）の顔（かお）を、マジマジと見（み）ていた。

「えーっと、うん…。多分（たぶん）あってますよ？だって、僕（ぼく）も貴方様（あなたさま）の昔（むかし）の記憶（きおく）である、あの方（かた）の面影（おもかげ）を感（かん）じました…。是非（ぜひ）とも、僕（ぼく）を貴方様（あなたさま）の御学友（ごがくゆう）にしてください！お願（ねが）いします！！」と膝（ひざ）まづいて、挨拶（あいさつ）をすると…

「顔（かお）を上（あ）げてください！私（わたし）は貴方（あなた）と会（あ）えただけでも幸（しあわ）せなのに…。御学友（ごがくゆう）…、いいんですか!!なら、なってください！これから、私（わたし）の"相棒（あいぼう）"として!!」

そう王子様（おうじさま）はニッコリ笑（わら）った

それを聞（き）いて僕（ぼく）は、素直（そなお）に顔（かお）を上げた。

「あ、はい。王子（おうじ）！僕（ぼく）は、この学園（がくえん）に、今日（きょう）から通（かよ）わせて頂（いただ）きます。''スバル・ミハイル・アナマリアーナ"と申（もう）します。町外（まちはず）れにある、森（もり）のなかの辺境（へんきょう）の屋敷（やしき）に住（す）んでおります。この学園（がくえん）の寮（りょう）に、お世話（せわ）になります。宜（よろ）しくお願（ねがい）い致（いた）します！！」

そう挨拶（あいさつ）すると、王子（おうじ）は…

「そんな、固（かた）くならないで？私（わたし）は"第3王子"ですし、貴方は確か、私より年上でしたよね…？なので、全然（ぜんぜん）、敬語（けいご）やめてくださいよ…。

」と再びニッコリ笑いかけてきた。

「え？あ、はい…！ですね！ダニエルさま。これから宜（よろ）しく！！」

そう言（い）うと、ダニエルは頷（うなず）き…

「宜（よろ）しくね！スバルさん！えーっと…、私（わたし）と貴方（あなた）は確（たし）か、寮（りょう）が同（おな）じ、更（さら）には、部屋（へや）も、同室（どうしつ）の様（よう）ですよ？先程（さきほど）、学園長（がくえんちょう）より聞（き）きました！寮長（りょうちょう）は何故（なぜ）か、私（わたし）になりました…。なので、貴方（あなた）が副寮長（ふくりょうちょう）みたいですよ…？」