魔界の訓練巡り:火山の頂での訓練 Ⅵ

 ゾルガンは厳かな表情で語り始めた。


「焔帝闘技は、炎を使った格闘技の極みだ。炎を操ることは、ただの力の表れだけではない。感情と一体となり、力強い技に昇華されるものだ」


 ゾルガンは手を広げ、指先から炎を生み出した。その炎は激しく舞い踊り、まるで生命を宿しているかのようだった。


「まず、焔帝闘技の基礎として、炎の力をどれだけ自在に操れるかが問われる」


 ゾルガンは一瞬で炎を消し去り、再び手のひらから炎を湧き上がらせた。


「これが炎の制御だ」


 ゾルガンは言葉と共に炎を操り、小さな炎の玉を軽やかに宙に舞わせた。


「そして、その炎を拳に纏わせた技が焔帝闘技となる」


 ゾルガンの言葉に耳を傾け、俺は炎の制御に全神経を集中させた。指先から炎を湧き上がらせ、その動きを繊細にコントロールする試みが始まった。


「焔帝闘技は感情の昂りが技の力に直結する。今のハルトにはできるはずだ」


  ゾルガンの指導が胸に響き、俺は内なる感情を炎へと昇華させた。


 最初は炎が不安定で、指先から揺れ動くような感じだったが、徐々にその振動も収束していく。ゾルガンの教えを思い出し、感情を込めて炎を操ることができるようになっていった。


「いいぞ、ハルト。炎の制御ができるようになってきているぞ」


 ゾルガンの声が響く中、俺は自分の手元で踊る炎に自信を深めていた。


 その後も炎の制御に励みながら、炎のコントロールを向上させていった。時折炎が激しく舞い、時折は静かに燃える様子が、焔帝闘技の基礎を築いていく光景となった。


 ゾルガンは満足げに頷きながら言った。


「よくやった、ハルト。炎の制御が着実に進歩している。だが、これはまだ序章に過ぎない。次はもっと高度な技を教えよう」


 ゾルガンは手を握りしめ、その拳に炎を宿らせると、一瞬で散りばめられた炎が燃え上がった。


「これは焔帝拳撃えんていけんげきだ。拳に炎を纏わせるのを維持し、炎の力をそのまま相手にぶつける、焔帝闘技の基礎の技だ。よく見ておけ」


 ゾルガンがその技を見せると、炎の拳が空気を裂く音を立てて強烈なパンチを繰り出した。


 俺は興奮と緊張が入り混じった表情で言った。


「焔帝拳撃......この威力が基礎なのか......」


 俺はゾルガンの拳技に注目しながら、自分の手にも炎を灯してみた。最初は揺れ動く炎に戸惑いながらも、次第にその動きに合わせて手元の炎が安定してきた。


「焔帝拳撃......拳に炎を纏わせる......」


 俺はゾルガンの言葉を思い出しながら焔帝拳撃の練習を始めた。俺の焔帝拳撃は次第にその威力を増していった。最初の頃は不安定で揺れる炎が手を包んでいたが、ゾルガンの厳格な指導と共に、俺は拳に炎を纏わせる技術を向上させていった。

 そして手元の炎は次第に安定し、燃え盛る炎が揺るぎないパンチへと変化していった。こだましながら拳と炎の交わりる音が、俺の成長を物語っていた。焔帝拳撃は徐々にその威力を増し、俺の手から放たれる炎の拳は、ますます強烈なものとなっていった。


 それを見たゾルガンは次の技を教えると言った。


「そこまで威力が出せれば上出来だろう。次は焔帝闘技の蹴り技を教える。拳と同じように炎を足元纏わせ、集中させることが重要だ。これを焔帝蹴撃えんていしゅうげきと呼ぶ」


 ゾルガンは一呼吸おき、感情を込めると同時に足元に炎を灯した。その瞬間、彼の足元から高く舞い上がる炎が美しい蹴りの形を作り出していった。その炎の蹴りはまるで赤く輝く流星のようで、その軌跡が美しい軌道を描いていた。ゾルガンの足元から放たれる炎の蹴りが火山の頂上に到達すると、周囲の岩肌に炎の模様が映し出された。


「これが焔帝蹴撃だ。焔帝拳撃同様、力強く感情を込め、炎を操ることが必要になる。ハルト、やってみろ」


 ゾルガンは言葉とは裏腹に、静かながらも確かな自信を湛えていた。

 俺はゾルガンの指導を受け、焔帝蹴撃に挑戦した。俺はゾルガンの教えに従い、焔帝拳撃同様、感情を込め足元に炎を灯す訓練を行った。

 静かに深呼吸をしながら俺は集中した。すると最初は不安定な炎が揺れ動いたが、焔帝拳撃の訓練を通じて手に入れた経験が俺をサポートした。


「これが焔帝蹴撃か。ゾルガンのに比べるとまだまだだが、とりあえず成功したぞ」


 俺は焔帝蹴撃が成功したがまだまだ完成度を上げる必要があるのを自覚して言った。

 ゾルガンは静かながらも確かな自信を湛え、ハルトの成功を見てうなずいた。


「よくやった、ハルト。だがこれは序章に過ぎん。焔帝闘技の基礎は手に入れたが、次はその応用を教えよう。」


 ゾルガンの声は厳かでありながらも師匠としての温かみが感じられた。彼は焔帝蹴撃の成功を称えつつも、俺に更なる成長と深化を促す言葉をかけていた。

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