魔界の訓練巡り:火山の頂での訓練 Ⅶ

「焔帝闘技の応用は、焔帝拳撃と焔帝蹴撃の組み合わせによって成り立つ。それぞれの技を連携させることで、より強力で多彩な攻撃を編み出すことができる」


 ゾルガンは炎を纏った拳を握りしめ、情熱的な眼差しで俺に語りかけた。


「焔帝拳撃と焔帝蹴撃を組み合わせる場合、まず焔帝蹴撃で相手に近づく。そして、その相手に向けて焔帝蹴撃を叩き込み敵を打ち上げる。その勢いで高く跳び上がり、空中で全身に纏った炎を激しく回転させ、一斉に振り下ろす。これにより、まるで炎と旋風が交じり合うような美しい螺旋が生まれ、敵に猛烈な一撃を叩きつける。これが焔帝闘技の応用、その名も焔帝螺旋撃えんていらせんげきだ」


 俺は理解のためにゾルガンの動きを注意深く観察し、焔帝螺旋撃の強烈な一撃をイメージした。

 ゾルガンは微笑みながら指導を続けた。


「この瞬間のリズム感が肝要だ。拳で一瞬の間隔をつくり、その後に足を追加で振り下ろすことで、敵は炎と旋風の螺旋に巻き込まれる。これにより、一層の威力と予測不能な動きが生まれ、焔帝螺旋撃の真髄が発揮されるのだ。焔帝螺旋撃は相手の予測を超え、華麗ながらも容赦のない一撃。だが、応用の際にはそのタイミングを見極めることが肝心だ」


 ゾルガンが続けた。


「相手が動きを封じられた状態で放つことで、焔帝螺旋撃の真価が発揮される。理論だけでなく、戦局や相手の動きを見極め、状況に応じて巧みに繰り出すことが重要だ。これが焔帝闘技の奥義だ。理解したか、ハルト?」


「理解しました、ゾルガン。焔帝螺旋撃は美しさと威力を兼ね備えた技ですね。でも、そのタイミングを見極めるのは難しそうです」


 俺は疑問を抱きながらも真剣な表情で言葉を続けた。


「でも、その難しさこそが、焔帝闘技の深みなのでしょう。習得法を教えてください」


 ゾルガンが説明しながら言う。


「焔帝螺旋撃を習得するには、まず焔帝拳撃と焔帝蹴撃それぞれの基本を確実に身につけることが大切だ。ハルトはこれは出来ているから次はこの二つの技をスムーズにつなげられるようになるよう練習しよう。最初はゆっくりと、技の流れを確実に覚えることから始めよう。そして徐々にスピードを上げ、正確なタイミングを身につけていくんだ」


「繋げ方はどのようにするのですか?」


「焔帝蹴撃から焔帝拳撃への繋ぎは、足で相手を蹴り飛ばした瞬間、拳に炎を集中させる。そして、その拳を引き寄せるような動きで、再び相手に攻撃する焔帝蹴撃の勢いを利用して拳の炎を素早く操り、焔帝拳撃に繋げるのだ。流れを感じながら、連続で技を繰り出してみてくれ。初めはスピードよりも正確さに重点を置くといい。それでは、練習を始めよう」


 ゾルガンが手本を示し、俺に対して繰り返しの訓練を指導した。俺はゾルガンの指導に従い、焔帝蹴撃から焔帝拳撃への流れを試みた。足から放たれる炎の勢いを利用し、拳にそのエネルギーを集中させると同時に、しっかりとアプローチしていく。


「いいぞ、ハルト。動きがスムーズになってきたな。焔帝蹴撃の勢いを逃さず、焔帝拳撃に切り替える感覚が掴めているようだ。それでは、もう一度やってみてくれ。次第にスピードを上げていこう」


 ゾルガンは励ましの言葉と共に、俺は訓練を続け、スピードを上げていった。


「ハルト、次は焔帝螺旋撃の威力をこのダミーに示してみてくれ。焔帝拳撃から焔帝蹴撃への流れを意識しつつ、ダミーに集中して攻撃だ」


 俺はゾルガンの言葉を受け、ダミーに対して焔帝螺旋撃を繰り出した。それを見ていたゾルガンは納得した様子で言った。


「よし、それが焔帝螺旋撃だ。他にも焔帝闘技には様々な技があるが全てを教えたら面白みに欠けるだろう。ここから先はハルト自身が戦闘を通して身につけろ」


「分かりました、ゾルガン。これで訓練は終わりですか?」


 俺はゾルガンに尋ねた。


「いや、まだ最後の訓練が残っている。ヴェラの時同様に最後は俺との戦闘だ!この戦闘を通して1つでも焔帝闘技の技を身につけろ」ゾルガンが俺に向けて最後の訓練の内容を伝えた。


「やっぱりそうなるのか......やってやる......」


 俺はゾルガンの言葉に応え、訓練をやり遂げる覚悟を秘めていた。俺の胸には過去の経験と焔帝闘技への熱い思いが交錯していた。最終訓練の前に立ちながらも、成長への渇望が俺を前に進ませた。

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