第4歩 またぎ猫
Hさんが子供の頃。
ある日、家で猫の鳴き声がするのに気がついた。
―ミャーミャー・・・
だがHさんの家に飼い猫は居ない。
『何だろう・・・』と思い外に出てみると庭先で祖母が
―ニャア・・・ニャア・・・子猫の鳴き声がしている。
何匹も居るようだった。
「あっちいけっ!」Hさんは祖母に怒鳴られた。
祖母は
「チッ」舌打ちをしながら箱を抱え歩き出した。
Hさんは、そっと後を、ついて行くと祖母は近所の川に向かい箱ごと子猫を川に投げ捨てた。
「あっ」
それを見てしまったHさんはショックを受け、その場から動けなくなってしまった。
それから幾日もなく祖母は体調を崩し急に亡くなってしまった。
お葬式は自宅で行われ、お通夜に親戚が集まった。
仏壇の前に布団が敷かれ祖母が寝ており顔には白い布がかぶせられている。
周囲には親戚10人程、皆が座って故人の話をしていた。
酒と仕出し屋さんに頼んだ、お膳を前に思い思い会話が
線香の煙漂う仏間に
―どっ!と音が響いて開いていた入口から
大きな黒い猫が入ってきた。
見知らぬ黒猫に皆、驚いて唖然としていると黒猫は遠慮もなく
のしのしと歩いてくる。
そうして亡くなった祖母と仏壇を真っ直ぐに見据えながら歩き進み
―ぴょん!
祖母の遺体を飛び越え仏壇の中に黒猫は吸い込まれて消えてしまった。
「ひーっ!」「あーっ!」
その場にいた皆の低い悲鳴が仏間に響いた。
あまりの出来事に、その場にいた親戚は、あわてふためき
すべて逃げるように帰ってしまった。
誰もいなくなった亡き祖母の寝ている薄暗い仏間には
ロウソクの灯だけが
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