第16話アンネの発想

 テルマ殿下が公務で隣国に出かけることをしった時、頭にシルヴィア様のことが浮かんだわ。


 殿下の仲の良い友人グループの中にシルヴィア様もいた。


 私と同じ年齢なのに、二人は飛び級組で、学年は1つ上だった。


  母国ではなく我が国の学園に通うシルヴィア様。当時のお住まいがこちらの学園のほうが近いとのことだったけど、本当にそれだけ?


 シルヴィア様のことは私の学年にも話題が届いた。気さくなお優しい方で、テルマ殿下とも話が合うのか仲が良い。


 ふざけないでよ。わざわざ我が国に学びに来て何殿下と仲良くなってるのよ。


 殿下は私が狙ってるの。あんたなんか国にとっとと帰りなさいよ。


 でも、他の令嬢達は二人のことをそんな目でみてなかった。どうして?

 私の考えは勘違いだって。色眼鏡でみないで客観的に見れば本当にただの友人同士だってわかるわよって言われた。

 外へ遊びに出かける際、数名と行くが、二人だけで出かけるところは見たこともないとも言われた。


 甘いのよ、皆。

 私が第一王子や第二王子の横に並びたくて必死だった時に学んだわ。

 

 お近付きになりたくて率先してアタックしてたのに、彼らは私の気付かないところで他の令嬢を大事にしていた。


 君はしつこいし、そんな眼で見たことはないとも言われた。しかも、続けて王子を狙いに定めるのは地位のある男を漁ってるとしか思えないとも言われた。大切な事に目を向ける努力をしなさいとどちらの王子も私に説教した。


 どうして?みんなに自慢したいじゃない。私の恋人はこの国の王子よって。凄いでしょって。

 そう、まだ王子はいる。第三王子が。


 テルマ殿下の友人グループにどうやって入れてもらおうかと考えたとき、シルヴィア様がそのグループの中でも殿下とよく話をしていることに気付いた。冗談じゃないわ!


 でも、卒業したらシルヴィア様は国に戻られた。そしてテルマ殿下はそれを止める様子も追う様子もなくて、本当に皆の言う通り、ただの仲良しさんだったのかしら、私が考えすぎたのかしらと思った。


 そしてテルマ殿下も飛び級だったから卒業してしまい、学園でお近付きになる作戦は叶わず。

 パーティでお姿をみかけてもいつも色んな人に声をかけられて周囲に人がいる殿下になかなか近寄れない。運がよくても軽く挨拶のみ。


 ある日殿下が隣国に公務で向かうとしった時、必ずシルヴィア様にお会いすると思った。


 皆の言うことはハズレよ。

 公務を理由にあの二人は会うつもりなんだわ。

 上の殿下たちがひっそり愛を育てていたように。


 だから私も隣国に旅行という形で向かった。

 接触方法は浮かばなかったけど、金を使えば何とかなるでしょう。


 ああ、でも私、どういった人に悪いことを頼めばいいのかよくわからないわ。


 街にいたその辺のゴロツキみたいな人に頼めばいいかしら。あの女を困らせるために。


 あの女と殿下が接触しないよう時間稼ぎして、その間に殿下に接触を試みればいい。殿下が城下に姿をみせる時が来るのを観察すればいい。


 そうよ、森とか山とかどこかにあの女を置いてきてもらいましょう。

 数日彷徨ってもらえばいいんだわ。



 実行したあと、私が接触する手段に悩む間もなく何故かこの国の城に呼ばれた。私の宿泊していたところに登城要請が、届いた。


 目の前に二人のかっこいい王子様。

 浮かれたいのに二人とも怖いオーラ放ってる。


 特にこの国の王子が。

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