第153話 チーム戦
7/10 水曜日 20:00
「おお、
「いや、十五日からのバトロワについて、
きっと神崎君のことだ、僕が言いたいことは言わずとも分かってくれる。
「なるほどな。じゃあよ、
「椎木さん?」
「ああ、だって入賞上位三組までなんだろ? どう考えてもチーム組んで下さいって内容じゃねぇか。恐らく北関東組みはそっちで組んじまうだろうし、俺たちで三組ペアって言ったら、やっぱり椎木さんなんじゃねぇかな?」
北関東組、
福助君は白雪さんの出産が間近だから出れないだろうけど。
「そうだね、じゃあ早速グループトークで呼び出してみるよ」
ビデオ通話にして、椎木さんを呼び出して……っと?
ソファに座る僕の膝を枕にしてたのに、急にノノンが起き上がったぞ。
「ノノン?」
「ノノンは、ここ」
お尻を押し付けながら、僕の股の間に強引に座る。
ソファとノノン挟まれた感じ。
僕も半そで短パンの寝間着だから、太ももとかがモロに彼女に触れる。
すべすべだし、ひんやりしてるし、気持ちいいし。
「けーまの手は、ここね」
僕の手を掴むと、強引に背後から抱きしめるような形に。
手首の辺りとか、腕にノノンのおっぱいの感触が。
っていうか、乗ってる。
くいっと持ち上げると、ふにゅんとしながらも持ち上がる。
「これで良し」
「良くないです」
「いーの、けーまはノノンの大事な人だから」
束縛……?
もしかして、椎木さんと会話するから邪魔しに来てるのか?
急に口がむずがゆくなってきた。
なんか、とても可愛いと思う。
そんなことしなくても僕はノノンのなのに。
『こんばんは、あらあら、相変わらず仲良しね』
「うん! けーまとノノン、仲良しだよ!」
『それは良かった。みんなも、お久しぶりね』
モニターに映る椎木さん、以前は背中まである長い髪だったのに、今はショートカットだ。
「髪、切ったんですね」
『ええ、長いと暑くてね。それよりも、そろそろ連絡が来る頃だとは思ってたわ』
どこはかとなく大人びた感じの椎木さん。
残る髪を耳にかけると、彼女は懐かしい顔を見るように微笑むんだ。
切れ目な瞳を宝石のように輝かせ、長くて整った睫毛に白磁な肌。
相変わらず綺麗だ、福助君が惚れるのも分かる。
『ああ、俺と黒崎、そんで椎木さんの三組でチーム組まねぇか? と思ってな』
「上位三組までポイントがもらえるのなら、絶対にその方が有利だと思うんだ」
最優秀賞は最多討伐数だけど、何はともあれ生き残らないといけない。
それを考えたら数の有利は是が非でも確保しておきたいところ。
でも、モニターの椎木さんは眉をひそめる。
『そうね……でも、どうやって合流するつもり?』
「それは、お邪魔ポイントで全員通達で暗号を流せば」
『そうじゃなくて、距離の問題。もしA①に黒崎君が配置されて、私がE⑤だったとしたら? 一周100km、ということは単純計算一辺が25km。それを五等分、つまりこれは一マスだけでも5kmはあるってことよ? 5㎢と言ったら夢の国の10倍はある、それを敵の目を潜り抜けながら合流しようっていうのは、ちょっと無理があると思わない?』
言われてみるとその通りだ。
簡易的な地図とはいえ山の表記があるし、吊り橋だってある。
川や中央の湖地帯を考えると直線での移動も難しい。
『となると、チームを組んで戦おうっていうのは、難しいってことか』
『そもそも銃撃戦がメインでしょ? 近寄ろうっていうのが土台無理な話よ』
「銃撃戦か……まず最初にしなきゃいけないのは、武器の入手か」
バトロワ系のゲームでも最初にすべき事は武器の入手だもんな。
まずは装備を整えて、それから周囲探索が基本だ。
『桂馬君の言う通りね、ゲーム開始直後に30pt使用してもいいぐらいだと思う』
30pt……一番近い武器の場所を腕輪に表示させる。
『いきなり敵と出くわしそうだな』
『別に大丈夫でしょ? 最初なら互いに無手、塗料の塗布にはならないんだから』
肉弾戦は基本禁止、例え殴ったとしてもポイントには入らない。
ペイントナイフ、ペイント弾による塗料の塗布のみポイントとして加算される。
さすがは椎木さんだ、既にルールブックを熟知しているぞ。
『それに、恐らくだけど、黒崎君と行動を一緒にするのは危険だと思うの』
声のトーンを下げて、椎木さんが言う。
「……それは、何故でしょうか?」
『前回の最優秀賞者だから』
『……ああ、確かに』
前回の最優秀賞者だから、今回は絶対にポイントを取らせないぞ、という事か。
『さらに付け加えると、前回の発表からこれまで、ポイントの付与が一度として無かったの。これは報告会以外でのポイントの付与は行われないという意味、つまり私たちに残るポイント付与のチャンスは今回を含めて残り三回、その中で既に二ポイントを入手している黒崎君に対して皆が考えることは――』
『……お前はもういいだろう、ってところか』
バトルロワイヤルの基本、参加者は全員が敵。
中でも、僕はその筆頭ということか。
『連絡くれてありがとうね、本当なら協力したい所なんだけど』
「ああ、ううん、ありがとう。いろいろと教えてくれて助かったよ」
『じゃあ本番、互いに頑張りましょうね』
モニターから椎木さんが消えると、画面には神崎君だけが残った。
チーム戦は無理か、改めて考えてみるとそうなのかも。
『しかしあれだな、椎木さん、マジで敵対するつもりだな』
「……なんで?」
『
確かに、これまで一度も椎木さんの相方を見たことがない。
少しでも味方になるのであれば、顔を知っておいた方が良いに決まってる。
それをしなかったということは……見つけ次第、本気で潰すってことか。
『逆に、俺たちが椎木さんを攻撃した時の言い訳を潰してくれた、とも見れるがな』
「……まぁ、どっちに転がったとしても、だね」
『ああ、という訳で、共同戦線は無しって事で』
「互いに、健闘を祈るよ」
そして、モニターは真っ暗になった。
映るのは、不安そうな顔したノノンのみ。
「けーま……」
「……ま、大丈夫でしょ。負けても死ぬ訳じゃないんだし」
全力で潰す、それが一番いい。
何よりも、チームは既に出来ているんだから。
「ノノン、二人きりだけど、頑張ろうね」
「……うん! ノノン、けーまの為に頑張るよ!」
押し倒されてキスの嵐を受けたあと、ノノンを上に乗せたまま一人攻略を考える。
さて……どうしたものか。
「……けーま」
「……」
「けーま、けーま」
「うん?」
「あのね、けーま。……ノノンから、大事なお願い、あるの」
ノノンからの大事なお願い?
なんだろうと思っていると、彼女はゆっくりと、寝そべっていた上半身を起こす。
ぷちぷちと胸元のボタンを外すと、ノノンはシャツをたくし上げ、脱ぎ捨てた。
「えっと、ね。けーま……ノノンとエッチして、欲しい、です」
見上げる二つの満月はとても綺麗で。
ノノンが一体何を言っているのか、理解する間もなく。
「けーま……好き」
彼女は上半身裸のまま僕へと倒れ込み、強引に唇を重ねてきたんだ。
§
次話『彼女がエッチしたい理由。』
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