17章 帝都への長い道  03

 さて、翌日は早速ダンジョンへ……と思ったのだが、大聖堂での話をした時にラーニが「教皇って人が協力的になってるなら、せっかくだからスキルを調べてもらわない?」と言い出した。


 俺としても自分の正確なスキルは知っておきたいところでもあるし、パーティメンバーで希望する者は調べるということになった。一人につき一千万ロムかかるという話であったが、すでにその位の金額は痛くないと言えるほどに稼いでいる。


 翌日大聖堂に行き相談をしたところ、教皇猊下が現れてすぐに調べてもらえるということになった。代金は不要と言われたが、寄付という名目でそれなりの額を渡すことにした。


「向こうが不要だっていってるんだからいいんじゃない?」


 というラーニの言もある意味ではもっともなのだが、


「こういうのはどこかで一線を引かないと、逆に後になって付き合いが難しくなるんだ」


 と俺が言うと、スフェーニアとマリアネが同意してくれた。


 この手のやりとりは完全な正解がないので難しい。結局は俺としての筋を通すしかない。


 スキルを調べる魔道具は、水晶玉が10個ほどつながった大きなオブジェのようなものだった。調べてもらった結果だが、大方はほぼ想定通りであった。


 それでも気になった点といえば、まずは俺がずっと『悪運』と呼んでいたものが『天運』という名であったことだ。中身は先日説明された通りのもので、俺としても体感したままのものである。問題はこのスキルを十全に活用してしまうと俺が『英雄』となる可能性があることだが、そこはもう今さらというか、半ば覚悟は決まったことである。


 次はフレイニルについて、やはり『依存』スキルがあり、さらにプラスして『信仰』というスキルが増えていたことがあるだろうか。


『信仰』というのはその名の通り信仰心が強まるにつれて自分の力が増すというもので、やはり『聖女』としてはよくみられるスキルなのだという。もちろん普通に考えればその信仰の対象はアーシュラム神のはずだが、当のフレイニルに、


「私が信じるのはソウシさまだけです」


 と断言されてしまい、しばらくの間言葉を失ってしまった。


 しかもラーニに「それはそうでしょ」と言われ、メンバーにも強くうなずかれてしまい……俺は自分の愚かさを痛感するとともに、フレイニルを大切にすることを再度心に誓ったのであった。


 その次に気になったのはカルマの『相乗』だろうか。カルマが加入してからラーニの『疫病神』スキルの効果が強まった感はあったのだが、どうやらこの『相乗』スキルがその原因らしい。特定のスキルの効果を強めるというもののようだが、もしかしたら俺の『天運』の効果も強めている可能性もありそうだ。


 それからサクラヒメの『忠誠』スキルは、忠誠心が高まるにつれ自分が強化されるものらしい。武士的な雰囲気のあるサクラヒメならではスキルだが、『忠誠』というなら主君に仕える必要があるはずで、冒険者として効果が出るのかは未知数だ。


 ともかく全体として、調べてくれた神官や同席していた教皇猊下が言葉を失うほどのスキル群だったようで、特に俺のスキルは並のAランク冒険者では比較にならないほどらしかった。


「このような数字で測るものではないというのは重々承知をしておりますが、まさにこれが英雄というものなのでしょうね」


 と教皇猊下が遠い目をされていたのが俺の記憶に残った。




 その翌日、俺たちはようやく王都の南にあるBクラスダンジョンへと向かうことになった。全20階のダンジョンなので2日で踏破の予定である。


 攻略は9人のフルメンバーで行う。


 出現するザコモンスターが多いこと、一度にボスが3体出てくること、そしてレアボスが当たり前のように出現すること、そういった『ソールの導き』の洗礼に新メンバーのサクラヒメが驚愕するのはいつものことであった。


 もちろん10階セーフティゾーンでの野営の快適さにも驚いてもらい、さらに予定通り2日で20階を踏破したことにも驚いてもらう。まさに『ソールの導き』フルコースである。


 最下層ボスで得たスキルは、俺が『鉄壁』の上位スキル『金剛壁』。もはや俺を物理的に傷つけられるものはいるのかという感じになってきた。


 フレイニルは『先制』で、精神集中なしでいきなり魔法が行使できるスキルだ。ただそのあと再使用までの時間が長くなるので、スフェーニアと違って他の攻撃手段をもたないフレイニルだと使いどころが難しい。


 ラーニは『翻身』を身につけた。慣性を殺す体さばきが可能になるので、これで彼女も動きが一段とキレるようになるだろう。


 スフェーニアは『地属性魔法・上級』を得て、上位魔導師としての条件を満たしたようだ。四属性の上級魔法をすべて身につけるのがスフェーニアにとっては一つの目標だったらしく、非常に喜んでいた。


 マリアネは『疾駆・瞬』という高速移動スキルの上位版を得た。極めると完全に瞬間移動のように動けるようになるらしく、もはやマリアネの忍者化はとどまるところを知らない。


 シズナは『二重魔法』を得て後衛としての力が一気にアップした。スフェーニアの影に隠れがちだが、シズナの遠距離攻撃は『ソールの導き』としては非常に重要である。


 カルマは『再生』を得て継戦能力が上がった。彼女の戦闘スタイルは基本足を止めての斬り合いなので、傷が治るスキルの恩恵は計り知れない。俺としても前衛の生存性上昇は安心感が増すのでありがたい。


 サクラヒメは『剣加速』で、薙刀を振るスピードが上がるスキルだ。彼女はまだスキルレベルが他のメンバーに比べて低く、上位スキルを得る下地が十分にないようだ。今後は少し辛くても積極的にスキルレベルを上げてもらわないといけないだろう。


 ちなみにゲシューラはやはりスキルは得られなかった。


 宝箱に関してはオリハルコンのインゴットが2つ手に入ったほか、『エレメンタルシルク』といわれる、七色の光沢をもつ高級な布が手に入った。これは魔法防御力の高い衣服を作ることができる布らしく、後衛組の防具の素材にすることにした。


 なお途中のレアボスから『修験者の杖』が手に入った。『剛力+3』『鋼体+3』の追加スキルを持ち魔法の力も上げるAランクの武器で、シズナのものとなった。


 杖を渡したときに「ソウシ殿の気持ち、しかと受け取ったのじゃ」と言って俺に抱きついてきたのだが、その後でラーニとスフェーニアになにか説教をされていたようだ。


 今回シズナは一気に強くなって実力的に完全にBランクになったので、多少ハメを外して喜ぶのは仕方ないとは思うのだが。






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補足

「17章 帝都への長い道(ステータス)」にて掲載したスキル一覧が、大聖堂で調べた結果となっています。


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