第20話
「これは、なんだ」
忠が部屋で三毛猫をつまんで
ミオに差し出した。
「これは、三毛猫というものよ」
「それは、わかっとる」
「じゃあ、なに」
ミオが文句を言った。
「オレが三毛猫がだいきらいなの
知ってるだろう」
「知ってるわ」
「じゃ、なんで部屋に三毛猫を
連れ込んでるんだ」
「いやがらせよ」
二人、沈黙。
「まあいい、この猫、猫鍋にして
食うからな」
「三丁目動物愛護団体から苦情がきてるわよ」
「なんて」
「忠ってやつが猫を猫鍋にしたって」
「まだ、してねえよ」
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