第7話

それからサラは、私たちと共にレイチェル様のお側に侍ることになった。

サラは最初は戸惑っていたものの、レイチェル様の人柄に触れてすぐに打ち解けていった。

サラはとてもいい子だ。

レイチェル様はそんなサラを可愛がっている。


「最近。クラスの子たちも話しかけてくれるようになって……」


「サラの周りにはいつも殿下たちがいたからね。そのせいかサラのことを『殿下たちを誑かしてる』なんて噂してる人もいたわ」


「レイチェルのおかげで、学校生活がすごく楽しい」


「これからもっと楽しくなるわよ」


二人きりになったときはお互いに名前呼びしてる。

それだけ二人の仲が近づいたってことね。

……あっ!?レイチェル様ったらサラの手を自然と繋いでる。


「これが『尊い』なのですわね」


「わたくし。最近身分違いの百合本にハマってますの」


「まぁ。私もですわ」


私たちはというと、二人の目につかないところから、二人のやり取りを鑑賞しています。

こうして鑑賞できるように、全員『遠見』と『盗聴』の魔法を習得しています。

『遠見』の魔法で二人の様子を視界に移し、『盗聴』の魔法で会話を聞くといった具合に。


これらの魔法を発明したのは、私です。前世のアニメみたいになんかできないかなーって色々試してた時に偶然できた。

この魔法のおかげで、二人の邪魔にならないところから、二人の様子を鑑賞できます。

いくらでも悪用できるので、ここにいる人たちと一部の人にしか教えていません。


「そういえば私、エドモンド様との婚約解消が正式に決まりましたの」


「奇遇ですわね。わたくしもですわ」


「私もアラン様と解消されましたの。本当に偶然ですわね」


私は教える際に「信用できる人以外に教えない様に」とは言いました。

誰かに教えることを禁止はしていません。

本当、偶然ってあるのね。不思議だわー……


「そういえばエマさん。例の魔法はどうなってますの?」


「お父様が言うには、近いうちに完成するそうです」


「本当ですの!」


「それは朗報ですわ……」


「完成したら私たちもぜひ教えてください!」


「それはもちろん」


百合を浸透させることはできたけど、この世界には魔法もあるんだし、同人誌で定番の、あれもできるんじゃないかと考えた。


お父様とお母様は優秀な魔法使いでありながら魔法省に勤務する研究員でもある。

私が頼んだら「面白そう」とノリノリで研究してくれてる。

そんな両親でも実現するのは難しかったようで、ここまで時間がかかりました。



それからも私たちは、陰ながらサラとレイチェル様のやり取りを見守り続けていた。


そうして学園生活を続けているうちに、一緒にいる時間に比例して、二人の距離も段々と近づいていったのでした。

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