第20話『虎の王ケニヒス』

ダーナ神王国 周辺の町外れの娼館


ダーナの町外れにある娼館ロザリア

その部屋の一室で左目が潰れ縦一文字の傷がある男とシエラと言う少女が二人で話をしている


シエラ「ケニヒスさん、何故私に何もしないでお話ばかりしてるんですか、私に興味ありませんか?」


ケニヒス・ティガード「君が今日から働くと聞いたら手を出せないよ…この時代に再び生を受けた自分にはどうもヌアザの城は落ち付かなくてね それに君がティガルドの出身と聞いてとても懐かしくなった 貧しい国だが僕にとっては大事な故郷なんだ」


最北の辺境にあるティガルド皇国は

常に寒さで農作物が育ちにくい土地で皆が土地を出て出稼ぎにでる


シエラ「私もティガルドは大事な故郷ですが両親が亡くなって弟達を育てる為にこの娼館で…会いたいな弟達に…」


シエラの眼から涙がこぼれ落ちる


ケニヒス「シエラ 君は僕の屋敷でお手伝いをやる気はないか?僕も大した稼ぎはないが君や弟さん達の生活費くらいは何とかする」


シエラ「本当ですか!でも…私は両親が残した借金を返さないといけないんです 後2年は此処で頑張らないと」



数日後


ケニヒス「女将はいるか シエラの借金は一体いくらになる」


アマンダ「ケニヒス様 シエラの事を気に入ったみたいですね 確か借金は3000万ジュエル位かしら?」


ケニヒスの内心「明らかに嘘をついてるな この女…しかし払えない額ではない」


ケニヒス「分かった払おう すぐにシエラを呼んで来てくれ」


アマンダ「ですが今タリアから遠征中の第四軍団長マイクル・フレイト様の相手をしてまして…」

 

マイクル「さあ…コッチへ来い」


タリア軍団兵達「団長終わったら俺達にも回して下さいよ」


シエラ「嫌だ嫌だ やっぱり怖いよ」


シエラは放心状態で…動けない


ケニヒス「女将…悪いが上がらせて貰うぞ」


ケニヒスはマイクルの部屋の扉を破壞する


ケニヒス「タリアの兵とは随分と下品な連中なんだな」


マイクル「誰だ貴様は…人の楽しみの邪魔を…おいお前らコイツを殺せ」


しかし軍団兵達は恐怖で動けない


軍団兵「何だ…この凄まじい「気」は…一体何者だコイツは?」


ケニヒス「確かタリアは全権将軍ユリウスとか言う奴が事実上の王と呼ばれてる国だな 大変豊かな所らしいが俺の時代には存在しない国だった」


マイクルはツヴァイハンダーを手に取りケニヒスに向ける


マイクル「貴様…俺はタリア最強の剣豪ギルバート・クルスと引き分ける程の腕だぞ!」


ケニヒス「知らんなそんな奴は なら俺は史上最強のグランドマスター「雷帝」アーリバル・サン・ライアットと引き分けた男だ」


マイクル「ほざけ この大ボラ吹きが この豪爆刃を躱せた奴は誰もおらん」


ツヴァイハンダーが弾ける程の剛剣

がケニヒスの頭部を襲うが…片手の無刀取りで抑えられる


ケニヒス「この程度で軍団長か…たかが知れてるなタリア共和国は この太陽剣ブルトガングで斬るに値しない」


ツヴァイハンダーはやがて砂の様に崩れ落ちる


そしてマイクルの頭を掴み簡単に握り潰した


ケニヒス「シエラ…大丈夫か?」


シエラ「怖かったです…ケニヒスさん」


ケニヒス「もう心配はいらない タリアの軍団兵共よ コイツを連れてタリアに帰るが良い 俺の名はケニヒス・ティガードだ!」


マイクルの死体を連れて逃げ帰るタリア兵達


ケニヒス「では女将 この金で足りるな シエラは連れて帰るぞ」


アマンダ「は…はい……」


かつて神話とまで言われた二人の武神の戦いがあった…一人は「雷帝」と呼ばれもう一人は「虎の王」と呼ばれた

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