第8話
本当に、幸運だった。完全にだめになるまえに、哨戒に拾われた。記憶はないが、普通に仲間らしい。
組織のホスピスに担ぎ込まれ、とりあえずダメージの緩和と記憶の状況を精査。
見知らぬやつによる、状況説明。どうやら、あのでかいやつが記憶の消化を完了しそうな状態らしい。消化が終わってしまえば。彼女と自分の記憶がなくなってしまうかもしれない。それ以上に。でかいやつがまた記憶を求めて動き出して、大変なことになる。
「囮か」
残っていた記憶を総動員してなんとか下準備を終えた自分ではなく、結局探しきれなかった彼女のほうを囮にする。彼女の心に耐えきれないほどのダメージを与え、でかいやつをおびき寄せる。
「まぁ、他に方法はないし」
仕方ないか。
自分にできることは、とにかく速くダメージを緩和して、なんとかしてでかいやつを殺すこと。それしかない。
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