第133話 トキの見解(海野トキ視点)時系列、ヤタちゃん初夜前
「所で、デキると思うか?」
ヤタ母様から紅い顔で、ちょっと切羽詰まり気味に聞かれた。
琥珀父様が亡くなってから最近まで、ゆうに20年ほど、ずーっと抜け殻みたいに寝て起きてを繰り返していたが、やっと薄目があいた、目が覚めたらしい。
でもって、色ボケ状態じゃ無いと役に立たないので困った物だ。
若いのにはソレでもちょっと怖がられて居るが、琥珀父様が居たときはギラギラしてそれどころじゃなかった。
まあ、この辺一帯の女達は老いも若きも揃って似たようなモノなのだが。
「止まったの何年前だっけ?」
呟きながら、PCに残る電子カルテのデータをぺしぺしクリクリペラペラめくる。
「確か琥珀爺様が亡くなってからだから?」
20年かあ、琥珀父様が亡くなってから、ずーっと止まってると。だったら。
「御母様の生理止まってるのは、打ち止めじゃ無く、多分心因性でしょう? だったら排卵誘発剤飲みながら目一杯中に注いでもらって、膣側から精液を直接吸収して、ホルモンバランスが良い感じに整えばおのずと………いや、わんちゃん、有るか無いか位?」
最後はどうだろうと言う感じに、首を傾げながらだ。
飲むのは口からでも良いかもしれないけど、様式美的に子宮に注いでもらった方が良いだろう。
因みに、膣壁の構造は腸の柔毛とかと結構共通しているので、ある程度は消化吸収できるのだ、一般的ではない知識だし、高効率とは行かないが、このパターンでお腹に注がれるのは間違いではない。
卵巣にダイレクトアクセスして残弾確認するのは母体に負担がかかるので、血液検査でホルモン値を調べる、多分、注がれる前と後で結構違うはずだがAMHの数字は余りあてにも成らんので、気休めなのだが。
計測結果としては。
まあ、そこそこ有りそうな無さそうな?
卵巣の残弾ゼロって事は無さそう。
だったらやっぱり心因の方かな?
琥珀父様が亡くなった時はもう見て居られなかった、抜け殻みたいに寝てるのか何なのか、とにかく動かず泣き続け、起きて来るのは数週間に一回、食も細く、適当に咀嚼してまた眠ってと言う感じにひたすら無為に時間を過ごして居た。
悪ガキ化したミサゴ達が引きずり出すまで、丸一年ぐらいそんな感じだった。
多分あの時のツケだろうが、あれ以来、ヤタお母さまにはイマイチ覇気が足りない。
年相応の落ち着きが出て来たと言いたい所だが、老け込む見た目でもあるまい。
最近、ミサゴが翡翠さんを連れ込んでから、かなりはしゃいでいるので、身内としてもかなり微笑ましく見守っている。
色ボケでも何でも良いから、身内の、特に母には元気で居て貰いたいモノなのだ。
でもって、年の離れた実妹とか実弟とか出来たら、ソレはソレで大笑いしながら祝福する所存で。
年甲斐も無くとかいう気も無い。
お財布なんて膨らみ過ぎてパンパンで萎む様子すら無いのだから、予算がどうのなんて言う話は先ず無い。
産みさえすれば、子育てなんて身内が適当に連携すればどうとでも成るのだ。
そんな訳で、止める者なんて居る訳がない。
「自然分娩は無理だから、又帝王切開に成るのは覚悟してね?」
「そこらはしゃあないじゃろう」
覚悟は決まって居ると言う感じに、頷く、私を産む時にもバッサリ切ったので、ある意味慣れっこなのだろう。
ボルバキア適合者が成長が止まる時期には個人差が有るが、早すぎる弊害と言う奴だ。
とくにうちの母の場合、成長段階的に骨盤が通らないので、どうしても帝王切開に成る。
無理に自然分娩しようとして難産に成って、にっちもさっちもいかなく成ってから切っては、母子共にダメージが大きいので、何も好き好んでと言う奴だ。
因みに、若い時に成長が止まるほど寿命は長くなると言われるが、前例が少なすぎて何処までも眉唾である。
そもそもボルバキア持ちは代謝が良いので、若い見た眼で長生きだ、おかげでボルバキア無しの母体はほぼ絶滅種な訳だが。
居たとしても少数過ぎて大勢に影響を与えられないと言うか、ほぼ都市伝説LVの存在感である。
「ところで、トキ、お主の方はどうする? 止まってる訳じゃないじゃろ?」
「私? んーと、順番来たらお願いしようかな?」
上記の事は当然だが、私自身にも適用される、コレでも内心では結構はしゃいでいるのだ。
「んじゃ、予約枠じゃな?」
そんな言葉に合わせて、ぴらっと婚姻届けが出て来る。
「お母さんが持ってて良いの?」
「翡翠の奴に許可は貰っとるからな?」
どこまでなのやら?
「はいはい」
コレは一種の幸せのおすそ分け的な奴なので、断るだけ野暮だろう。
手間省けただけだし。
名前だけ書いちゃえ。
海野トキ
っと。書いて居て顔がにやける、後で嫁会議にしれっと混ざるとしよう。
「所で、いくら濡らして解しても、いくら何でも限度が有ると思うんで、これ使っておいてくださいね?」
監視カメラで見た分の目測と、この間混浴した時の感じから見て、翡翠さんのアレはかなりでっかい、うちの色ボケ母がいくら経験者だと言っても、ちょっと限度が有るだろうと言う感じの大きさ比率に成るだろう。
そんな訳で、医療用潤滑剤を渡しておいた、コレで上手く入れば良いんだけど。
追申
そんな訳で、上がってるのか止まってるのか、漢字で書くと棒一本の違いですので。
ヤタちゃんは思いが重い人ですから、色々しゃあない。
という事で、この話は時期的にはヤタちゃんの初夜前。
順当な13人目枠確定です。
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