第30話 逃げ腰な襲撃者(翡翠視点)
前置き
ちょっとしつこい焼き直しでも有るので、多少飛ばしてくれても良いです。
金縛りなのは分かったけど、出来れば早目に動きたいなあと、全身を脱力させる、金縛りの解除にはコツがあるのだ、一度脱力させて、二度寝して起きれば大抵治るのだが、今回は其れでは面白くない、夜這いの際にちゃんと迎えてやれないのはこちらとしても残念なのだ。
と言う訳で、脱力からの緊張、動けないなりに意識的に呼吸を整え、臍下丹田に力を入れて、指先足先から順番に力を入れて行く。金縛り中だと腹筋すらまともに使えないが、出来る所からだ。
何だか慣れてるなあ、前世は社畜かなんかだったのだろうか?
コレに成るのは、疲れが溜まっている証拠だったと思ったのだが。
「おはよ?」
キスの雨が降らされ、ひと段落付いた辺りでやっと動けるようになった、体感としては10分ぐらいだろうか?
「おおおおおおおおおおはようございます!」
こちらのあいさつに、ミサゴが思ったより大げさに動揺した様子で反応を返してくれる。
先程まで布団の上から密着してキスしていたとは思えない反応速度で仰け反りバックステップをかまして間合いを開けられてしまった。
その様子に、もうちょっと寝たふりでも良かったかと言う、今更な後悔も有るが、こちらも童貞だったので、色々溜まっていたモノがあったのだ、あふれ出るリビドー的なものが。
対して、先程から目いっぱい攻めてきていたハズのミサゴは、こちらが起きたと見るや、今にも更にバックステップで逃げだす一歩手前の猫みたいな反応をかましてくれている、ここで逃げられたらしばらくお預けとなりそうなので、出来れば逃がしたくない。
いや、勝手に襲ってきたのはそっちなので、今更逃げられてもと思うが、実際問題、今ミサゴの表情に浮かんでいるのは恐怖と困惑だった。
ミサゴの服装は、下着に浴衣を羽織っただけで、帯も締めて居ないので、柔肌が色々見えていた、あまりこう言った状況に耐性が無いので、局部が見えなくても十分エロく見える。肌とか白いなあ……
………まあそう言うのは置いといて、状況としては、悪戯してる所で相手に気が付かれたから、気まずく成ったと?
ああ、そう言う事かと内心でポンと手を叩いて納得する。
「大丈夫ですよ? 同意ですから?」
咄嗟にそう伝えてみた。
ぱあっとミサゴの表情が明るくなった、部屋はちょっと薄暗かったので、完全に見えたとは言えないが、先程までの逃げ出したそうな雰囲気は無くなった。
「そそそそうですよね? 同意ですよね?」
どうせだから、多少の無茶ぶりも出来そうだなと、内心で悪い笑みを浮かべる。
「そんなにびくびく怖がらなくて大丈夫だって、何なら、魔法の呪文を教えよう、コレを言ってたらほぼほぼ怒らんから」
そんな事を言って、ちょいちょいと手招きしてみる、吸い寄せられるようにミサゴが手元に来た、こんなにちょろくていいのだろうか?
そのまま抱き寄せた、多少じたばたする動きが有ったが、直ぐに力尽きたようにぐてーっと体重を預けてくれたので、続けてみる。
「じゃあ言ってみよう、ミサゴさん、好きだよ? 愛してる」
調子に乗って耳元でそんな睦言を囁いてみた。
「………」
反応が無い、どうやら滑ったようだ、どっかでフラれた記憶とかが、うっかり顔を出しそうになる。
「キモかったかな?」
自分でダメ出しをして、へらへら笑って無かった事にしようと誤魔化しにかかった。
そこら辺のダメコンが出来るのは社会人なのだから必須スキルだ、フラれても、初恋の人が結婚式でも、翌日にはお仕事だったのだから。有給なんて無かったのだから。
噴き出した何かのトラウマで内心でそんなぐちゃりつつも、平静を装う。
「んっ……ちゅ……」
かなりの切羽詰まった勢いでミサゴから口を塞がれた、寝ている間のとは違う、今度は舌と舌を絡ませるディープな奴だった。
色々と吸い取られるような激しいキスだ、お互い息をする間が無い位の、訳が分からなくなるような、お互いの境界が曖昧になるような。
頭がぼんやりとしてきたので、流石にギブアップと優しくポンポンと叩いた。
ミサゴが我に返った様に解放してくれた、どうやらこの辺は世界戦が変わっても共通言語らしい。
「「はあ……はあ……」」
二人で荒い息をつく、ミサゴの顔を見る、そのとろんとうっとりした目の中にはめらめらと情欲の炎と、ハートマークが見えた気がした。
(あれ? 効いてたのか? じゃあ?)
「対句を聞きたいな?」
コール&レスポンスで返事が欲しいのはお約束だ。
すぅ……
ミサゴが覚悟を決めた様子で大きく息を吸い込んだ。
「好きです! 大好きです! 愛してます! だから、このお腹に出して孕ませてください!」
姿勢を整えて一息で吐き出したその言葉と同時に、ここで出せと、開けた浴衣の真ん中、今はむき出しになって居る下腹部を指さした。
うっすらと脂肪が乗っているが、すぐ下に鍛えられた腹筋が透けて見える、カッコ良いお腹だ。
これ以上無い返事とアピールに嬉しくなるが。
「成る程、避妊具、コンドームとか置いて無い訳だ………」
思わずそんな事を呟いた。
着の身着のままで財布も無いのでそう言った備えも無い、レジェンドAV男優のイーグルさんもゴムは使うべきと散々唱えているのを散々聞いて育っているので、必要な物だと思うのだ。この場合だと不要で無粋な物扱いなのだろうけど。
「駄目ですか?」
ミサゴが色々終わったと言わんばかりの様子でぎょっと目を剥く。
「いや、ダメって訳じゃなくて……」
勢いに負けて思わず精神的に一歩引く。
「私が今日孕まない日だってバレましたか?!」
そんな新情報が出て来た、其れなら安心して出来る訳だが、ミサゴ側としては致命的な問題らしい。
「そう言う事じゃないから」
今度こそバックステップで逃げだしそうな雰囲気に、思わずそう言ってもう一度抱き寄せて確保する。
「故郷では避妊具使うのが礼儀だって教育されてるだけだから、その気だと言うのなら、喜んで中で出すよ」
それ自体はやぶかさではない。
「じゃあ、中で出して孕ませてください」
これだけは譲れないらしい、切羽詰まった表情だった。
「雑念は多そうだけど、すること自体は異論はないよ?」
思わず溜め息をつきつつ、そう答える。
そうは言っても、こちらとしてもかなりの寸止めで、この後の期待で張りつめていた。
昼に沢山食べた精力剤系統の食べ物もかなり効いて居たのか、昼間に出したと言うのに今はもう臨戦態勢でバキバキに成って居た。
その後は、頑張った、かなり念入りに抱き締めて揉んで擦って、ご希望通りに何度も中で出した。
其れこそお互いの正体と境界がわから無くなる位に。
そして、お互い力尽きて、朝までぐっすりと眠りこけた。
ちゅん、ちゅん。
ちゅ……
ちゅ……
そんな鳥の声と、口元の感触に目を覚ました。
「おはよ?」
「……おはよう……ございます」
こちらの挨拶にミサゴが真っ赤に成る、お互い裸でやることやった後なのに、まだまだウブかった。
ぐう……
どちらからともなく、お腹が鳴った、何だかんだで、昨日は一食しか食べていなかったせいもあり、かなりお腹が減っていた。
二人でそろってクスクス笑みを浮かべた。
よっこいしょっという感じにミサゴが立ち上がる。
「じゃあ、御飯の時間ですね?」
ミサゴがそう提案する、そう言った立ち回りは良く分からないので、結構助かる。
「お願いします」
そう答えてこちらも立ち上がろうとして。
「ぐえ……」
全身筋肉痛で力の入れ方が解らず、変な声をあげてゴロンと転がった。
「だ、大丈夫ですか?」
ミサゴが慌てた様子で手を出してくれる。
「いや、筋肉痛、悪いもんでは無いと思う」
端的に説明する、大分格好が悪い朝チュンだった。
そんなこんなで、異世界入りの一日目が無事に終わった。
追申
第一章と言うか、一日目、完!
描いといてあれですが、大分長い一日でした、何と6万文字かかると言う。
わかりやすいと思いますが、翡翠の方もかなり浮かれてます、この世界でなら喜ばれますが、元居た世界ではギリアウト?
因みに、交尾はどうしても全身運動です、下手な筋トレより筋肉痛に成ります、何処鍛えてんとかと言うと謎ですけどね?
分かりやすいのは海綿体に血流集めるために下腹部とか無意識下で使っているので、時間耐久すると臍下と言うかアレの根本辺りに鈍痛とか来ます、慣れてないと結構大変。前準備にスクワットと腹筋と股割りにプランクとかが大事ですね?
良かったら感想とか応援とか評価の★3とかレビューとか、ご協力お願いします。
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