救世主という名の厄災
リュウタは大量のモンスターをリョウガ達にけしかける。するとジャレッド達が前に出る。
「こいつらは任せろ!」
「リョウガはリュウタを!」
「わ…わかった!」
モンスター達の始末をジャレッド達に任せ、リョウガはリュウタと対峙する。
「いくぞ!」
リョウガは槍を構えてリュウタに向っていく。するとリュウタは聖剣で槍を受け止めて、リョウガを押し返してしまう。
「今度はこっちの番だ!」
リュウタは聖剣を輝かせて振るう。リョウガは距離を取って避ける。だがリュウタの攻撃は止まらない。
「こいつはどうかな?」
リュウタは光弾を連射する。リョウガは避けながら、距離を詰めようとするがなかなか距離が縮まらない。すると光の斬撃が飛んでくる。リョウガはそれを避けきれずにくらってしまう。さらに追い打ちをかけるように光弾が襲いかかる。
「ーっ!!」
リョウガは槍を回して光弾を弾いた。そして星属性のキラキラを放った。
「うわ!なんだこりゃ!?」
リョウガのいきなり放ったキラキラ驚いたリュウタが隙を見せたところをリョウガは見逃さない。今度は訓練で編み出した少し大きな星をリュウタに飛ばした。
ドオォン!
「ぐえ!?」
見事リュウタに当たり、リュウタは吹き飛ぶ。リョウガはよしっとガッツポーズをする。
「何だその属性!見たことがない!」
「そうだろうな。俺も分からんが、キラキラとしてて星の形だから星属性って呼んでる」
「チッ…属性無しかと思って甘くみていたら、新たな力に目覚めていたとは…」
リュウタは立ち上がると聖剣に全ての属性を込め、虹色のオーラを纏い、斬撃を繰り出す。
「もう容赦はしない!喰らえ!」
リョウガは槍を盾にして受け止めるが、押されていく。
「ぐううう…!」
必死に踏ん張るがこのままでは力負けしてしまう。そう悟ったリョウガは…
「ジャレッド!」
リョウガはジャレッドの名を叫ぶと、ジャレッドは即座に反応し、リョウガの身体に入り込んだ。
ジャレッドが入り込んだことで身体能力が強化され、斬撃を上に向って弾くことに成功した。それと同時にリョウガから青い炎が出る。
「あの青い火…」
リュウタはあの青い炎に苦しめられたことがある。だからこそ油断はできないのだ。
(うーむ…この不快感には慣れない)
最近知った事だが、悪魔が身体に入り込むと不快感を感じるようになり、それが長時間に及ぶと体調にも影響があることがわかった。その為、これは諸刃の剣のようなものである。
「うおおおおおおおお!!」
リョウガは槍に青い炎を纏わせてリュウタに向かって突き出す。しかしリュウタはそれを聖剣で受け止める。
「そう何度も喰らってたまるか!」
どうやらリュウタも同じ手は何度も通用するほど馬鹿ではないようだ。するとリュウタに鎖鎌の鎖が巻き付く。
「こいつは俺の獲物だ」
ヤミロウが暗黒鎌 シッコクをリュウタに巻き付けて動きを封じたのだ。
「嘘だろ!?お前らはモンスターと…!」
「それなら全部倒した」
シトラスがそう言いながら歩いてくる。
「あたい達があの日から何もしてないわけないでしょ」
「全ては貴様を討つため」
「あんたによって多くの罪なき命が踏み弄られた。天使として天罰を下す」
「知ってる?悪い事ばかりしてるといつか自分に返ってくるんだよ?」
イフ、テレンシア、ゼリーム、マインも駆けつけてリュウタを取り囲む。
「あの時の俺達とは違うぞ」
リョウガは槍をリュウタに突きつける。
「どいつもこいつも俺を悪人呼ばわりしやがって…!俺が何したって言うんだ!俺はただ悪人を制裁しただけだろうが」
「悪人はみんなそう言う」
「黙れぇえええ!!」
リュウタの勇者の証が光輝き、鎖が引きちぎられ、リュウタは解放されしまう。そのまま聖剣に力を込め、剣が虹色に光り輝き出す。
「ジャスティス・エイトスラアアアアアアアッシュバージョン2!!」
リュウタは円を描くように横に薙ぎ払うと周りにいたリョウガ達を蹴散らしてしまった。
「な…なんだ今のは…」
リョウガが困惑しているとテレンシアが答える。
「ランクアップだ…。鍛錬を重ねる事によって新たな力に覚醒できる…。だが奴の場合はただのランクアップではないようだ…」
『大方、あいつが今まで吸収した数多の魂を利用したんだろ。あんなのはただのドーピングだ』
ジャレッドはリュウタの覚醒をドーピングだと断言する。
「ドーピングだと!?ふざけるな!これは俺の力だ!悪魔の分際で俺に口答えするな!」
『人の命を使った力の間違いじゃないのか?どう見てもドーピングじゃねえか。それと悪魔、悪魔というが、お前程悪魔が似合う奴はいねえぜ?』
「黙れえええええ!!」
逆ギレしたリュウタがリョウガに斬りかかるが、リョウガからジャレッドが飛び出し、剣を受け止める。
「これでも喰らえ!」
するとリュウタの剣から強い光が放たれた。
「があああああああ!?」
その光でジャレッドは叫び、リョウガの体から出てしまう。その隙にリュウタはジャレッドを斬りつけた。
「ぐお…!なんだ…今の光は…」
「悪魔によく効く聖なる光だよ。教会はほんといいもんを持ってる」
どうやらリュウタは教会の人の魂すら取り込み、その力を自分のものとしたそうだ。聖なる光は悪魔にとって大敵なのでジャレッドには充分すぎる攻撃だ。
「オラァ!」
「うぐ…!」
聖剣の一撃がジャレッドに炸裂し、ジャレッドはついに倒れ込む。
「雑魚が何人集まろうと、この救世主たる俺に敵うものか!さて…」
リュウタはリョウガに近づき、剣を突きつける。
「これでお前は終わりだ。ようやくその腹立つ面を見なくてすむ。とどめだあああ!」
ビュオオオオオオオオ!!
リュウタが聖剣を振り下ろそうとした瞬間、竜巻がリュウタに体当たりを仕掛けた。いきなりの攻撃にリュウタは反応が遅れ、竜巻に巻き込まれて吹き飛ばされる。
「うおおおおおお!?なんだ!?」
竜巻はリュウタに再び突撃しようとする。
「ええい!鬱陶しい!!」
聖剣の斬撃が竜巻に当たり消滅する。
「うわあああああ!?」
竜巻の正体はワルフィーであり、それを見たリュウタは眉をつり上げる。
「クソガキの分際でこの俺に逆らうとは…生意気な!」
「!!」
リュウタは光弾を連射し、ワルフィーを仕留めようとするが、ワルフィーは再び竜巻を纏うと逃げ回りながら、リョウガは達を回収し、一時撤退した。
「チッ…!逃げ足の速いガキめ…!」
「そこまでだ!」
リュウタの周りを黒服の男達が取り囲む。
「ハア…。面倒くせえことになったなもう!」
リュウタはやる気を無くしたのか聖剣を光らせ、目眩しをする。光が消えるとリュウタの姿はどこにもなかった。
「どこに逃げようとお前の顔は写真に収めた。お前は全国指名手配だ」
黒服の男達はテレンシアの部下であり、一斉にリュウタの捜索に入りだした
◇
ワルフィーのおかげでとりあえず難を逃れたリョウガ達、しかし、軽傷であるリョウガとワルフィー以外は重症でほとんど動けない状態だった。
「う…うぅ…ハッ…!そうだ…!思い出した…!」
マインが何かを思い出したようだった。
「どうしたのマイン…?こんなときに…」
ゼリームが聞くとマインは少し間をおいたあと、話し出した。
「私ね…皆と出会うずっと前に別の悪い人間に捕まったことがあったの…。それでどこかに売り飛ばされそうになって…。その時に助けてくれた人がいたの。その人はね、凄く強くて優しかったんだ…。それでその人は去るときに言ったの…」
マインは当時のことを思い出しながら、話を続ける。
「『全ての属性を持たぬ者に分け与えよ。未知なる輝きが絶望を希望に塗り替える…』だって…。必要な事だからどうか可能な限り覚えておいて欲しいって言ってたっけな…。今思えばあの人は伝説の英雄だったかも…」
「持たぬ者…それって属性無しのこと…?」
イフがそう指摘するとテレンシアが反応する。
「分け与える…か。マナンを分け与える方法ならあるが…」
テレンシアがそう呟くと黒服の男の一人がやって来た。
「失礼します。先程、少女を保護しました。どうやら奴のことを知っているようです。いかがなさいますか?」
リョウガはそれに反応し、立ち上がる。
「会わせてくれ」
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