爆発魔法は時限式
「貴様なにをしている?」
その言葉は酷く冷たく、背中に怖気がはしった。
どうやら調子に乗りすぎたようだ。フロルド様を愛でたい気持ちを優先させ過ぎた。
正直この女騎士を置いてこなかったことを失敗した気がする。
流石に得体も知れない相手に預けるなどサラが許しはしないだろうが……。
私はフロルド様をすごすごと下ろすが、首筋にきらりと光る物が引くことはなかった。
「サラ無礼はやめてください。 僕は大丈夫だから」
そういうと、仕方なくといった様子でやっと剣が収められるのだった。
私は人心地をつき話だす。
「まぁまぁ、こんなかわいい子に私がなにかするわけないじゃん!」
「無礼だと言っているのだ」
「ははは、身分も名乗りもしないのに無礼もなにもないでしょう?」
「……、く」
意図的に身分を明かす気がない彼女に意趣返し《いしゅがえし》をする。
どうやら、
逆にフロルドは真っ赤になった顔を伏せている。
どうやらかわいいと言われたことに照れているようだ。
閑話休題――龍脈を見る目、龍眼についてだ。私も掘り返せば淀みが強い場所ぐらいなら見える。
だが、龍脈を点としてとらえるより、線を捉えることができるならより精度が高まるのだ。それを技術者たちに作って貰ってはいるが、遅々として進んでいない。
だが、彼の存在は光明になりえるのだ。
「フロルド様? 調査はいかがですか?」
私はフロルドが沼の液体などを採取が終わったころを見計らい話かけた。
表情は芳しくないが、どうやら調査は終わったようだ。
その沈む表情に私は、笑顔で慰めるように提案する。
「あまりお気になされぬように、先ほどの地面の流れが見えるというお話だけで沼については大分進展がありましたわ。どうか私にお力をお貸し願えませんか?」
「? あなたは何者なのです? 沼にも大分くわしいようですが?」
「うーん。 それは内緒で……、街の西のはずれに、屋敷がありますので早めにおいでいただけますか?」
「わかりました。 お伺いするときはお手紙を出しますのでお願いいたします」
「はい。 お待ちしています」
どうやら少し警戒されたようだ。
まぁ仕方ない。最悪あの腹黒王子に調べてもらって協力してもらおう。
私たちはそのまま街に戻ると、大門で分かれた。
どうやら彼らには馬車が待っているようだ。
馬車を見送ると遠くで爆発音がなる。帰り際沼に仕掛けた爆発魔法を起動させたのだ。
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