聖女として召喚されたけど、私ただのアラサー魔法少女です

羽柴

魔法少女(29歳)異世界へ

一日だった。

私、手島 ひじりの一日はこうだ。

起きて仕事お局さんの御機嫌取り仕事機嫌取り部長のセクハラ発言をスルーし仕事仕事お昼めんどくさい女性陣の固まってのランチタイム仕事仕事仕事定時に帰る。

そして、魔法少女として現れた怪異を退治退治退治。

終わるころには時計の針は0時を回っていた。

家に帰ってコンビニ弁当にお酒そしてお風呂に入って寝る。


29歳魔法少女の一日なんてこんなものだ。

恋愛なんかしてる暇もない。


「つらいなぁ……」


ぽつりとそんなことを吐いてしまえば、とめどなく涙があふれてくる。

今日もお酒の缶がまた増えた。


いつになったら引退できるのだろう?

いまは魔法少女の勧誘にも苦労するらしい。

下手すりゃ事案だ。世知辛い世の中になった。私が魔法少女になった16年前とはえらく違う。


そして私は次の日も仕事にいく。

今日も定時に帰れた。そして、今日は魔法少女の仕事もお休みだ!

今日は休むために昨日は頑張ったのだ。


私はワンカップを片手に、公園に行く。

夏の終わりのこの生暖かい風が心地いいのだ。

ちびちびカップ酒を飲みながら、あたりめをつまむ。

その姿は人様に見せられたものではないが、お酒が入るとどうでもよくなってくる。


しかし、楽しい時間を私は邪魔されることになった。

突然の魔力反応そして、現れる魔法陣。

その気配に私は咄嗟に魔法少女に変身する。


その姿はくたびれたOLの姿ではない。

金色の髪に、サイドアップ。

きらびやかな白地のドレスに金の刺繍。

動きやすいようにフリルのついたミニスカートの下にはスコート。

手足にはシュシュが巻かれ、そのすべてが純白で、肌も中学生当時の様に輝いている。


私は一瞬でその姿に変ると、身構える。

だが身構えても無駄だったようだ。

その魔法陣は私の足元に来ると激しく光を放つ。

私は次に来るであろう衝撃に備え眼を閉じた。


だが一向に衝撃が来る気配がない。

私はじっと身構えたままだ。 すると、辺りに突然ファンファーレが鳴り響く。

それにびっくりして眼を開けると目の前には恰幅のいいおじさん。

おじさんはびっくりした私に一言、


「ようこそ! 聖女様!」


そういって私に手を差し伸べるのだった。


「はぁぁぁぁぁぁぁ?」


私はいきなりの展開に叫びをあげたのだった。

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