アサ

 くちゃくちゃくちゃくちゃ、鳥の声が聞こえる。

 僕はのっそりと身体を起こして、まどろみの余韻に浸りながら目を開けた。


 天井からこぼれ落ちる液状の時計を見ると、時刻はもう7時を回っている。

 本日も学校である、因みに20分には家を出ないと無事遅刻である。

「うぉあやべぇ!」

 僕は掛けられた髪の毛を思いっきり蹴っ飛ばし、テーブルから飛び起きる。

 ぶよぶよとした地面の感触を足の裏に感じながら、取り敢えず皮を脱ぎ捨て制服に着替える。

 ジャケットの肩に付いていた顔虫をぱんぱんと払い、羽織って首の縄を締めれば、何処にでもいる学生の完成だ。


「ご飯出来てよー!ーよて来出飯ご出飯来ーよて」


 リビングから聞こえる母さんの声に生返事で返し、遺失物はないかと首の中を再確認、手鏡よし、友だちに返す骨よし、血と肉よし、戒名よし、原罪と転生は……置き勉だから無くてオッケー!


「よし、今日も行ってきます」


 僕は部屋の手首を回して、廊下に飛び出た。

  

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