第35話 世界戦争
ジダンの自宅でのんびりしていたら、ブロードキャスト放送が騒がしいことに気がついた。小ミッションにも「ブロードキャストを見ろ」って出たしね。
あんまり好きじゃないんですが見ますか。
―――ブロードキャスト―――
世界統一:アキちゃん派は世界を喰らうクズ達である
世界統一:よって、我が世界統一はアキの抹殺と雪菜の追放を宣言する
世界統一:アキちゃん派に宣戦布告を宣言する次第である
―――ブロードキャスト―――
は?
【世界統一から雪菜へ宣戦布告を受けました。これにより都市内でも戦闘艦による戦闘が可能になります】
は?
どうなってるんだこれ。
とりあえずドスコードで相談しよう。
――ドスコード――
雪菜:ねえ、今どうなってるの?
ディンゴ:世界統一が俺たちの6層へ上がることを嫌がって戦争を仕掛けたって所だ。アキちゃんを抹殺するってのがどういう意味かわからねえが。6層の自宅へは戻るなよ、戦艦の主砲で木っ端みじんにされる。はぁー現実の休暇が全部TSSだよ。
オットー・ファネル:仲間を作った方がいい。世界統一は数ある企業の中でも最強を誇るところだ。アキちゃん同盟だけじゃ歯が立たない。
エリー:あそこは商売が武力を元にした強引な手法で嫌われてるっすよ。ウチも逆らえませんけどね。
雪菜:ありがとう。しかし仲間なんてなあ……基本私とアキちゃんで遊んできたし……。
ディンゴ:そのアキちゃんを使えよ。いつもはアキちゃんを助ける番だが、今回はアキちゃんがお前を助ける番だ。ライドしてアキちゃんが頭下げれば数億はアキちゃん側に付く。ライドの下準備をしてくるから、二時間後にライドつけろよ
――ドスコード――
すぐにアキちゃんを呼び戻しコルベットに乗って逃げ出す。
既に戦闘艦に包囲されていたけど高速コルベットだったのでなんとか難を逃れる。ただ、ブースターを一ヶ所やられた。どうしようかな、すぐに修理できるかな。
「ご主人様、カリダリにまいりましょう。あそこで大規模に駆逐艦作ったじゃないですか」
そうか、さすがアキちゃん。ブースターがヘモってるので戦闘艦が追いついてきたが、全てマジカルミサイル――対艦ミサイル仕様――レベル10オーバードライブレベル10で合計レベル40のマジカル対艦ミサイルでたたき落とした。榊雪菜を舐めるなよ。いやーステータスが上がったからオーバードライブレベル10でも余裕があるね。買ってて良かったマジカルミサイル。スキルポイントで買うだけあって対空、対地、対人、対戦車、対艦、なんでも切り替えられる。このゲームにもクラスター爆弾条約は紳士協定であるんだけど、条約に反しないレベルのクラスター爆弾にすることも出来る。
完全上級マジカルキャノン。そして普通版のマジカルミサイルよりも段違いの性能。
人が簡単にフリゲートを落とす所を見てさすがの世界統一も尻尾を巻いてどっか行った。これで一段落だ。アキちゃんの指示の元、夏芽にブースターの修理をしてもらってカリダリへと急ぐ。アキちゃんが艦船修理工のスキルを持っていて良かった。
ここで二時間が経過したようだ、ディンゴから電話が来る。
『よう、準備は良いか? こっちの準備は出来てるぜ』
『ちょっと待てる? 自宅から逃げ出したんだけど戦闘になっちゃって。すぐ準備するね』
ARチップを抜き取って、魔法少女のエキストラARチップをアキちゃんにはめ込む。チップを起動させれば魔法少女アキちゃんの完成だ。
『準備できたよ』
『よし、ライドしてくれ。内容は助けて欲しい、その一点だけでいい』
『わかった、アキちゃんに伝える』
電話を切って、アキちゃんに内容を伝える。出来るかなぁなんて不安がるアキちゃん。アキちゃん、その不安をぶつければ良いんだよ、とアドバイスする。
「ライドいきます。GO!」
……は?
ライド人数一億四千万!?
「アキちゃん、みんな見てるので、ゆっくりでいいから、みんなにお願いしようか」
「はい。えっと、今、私たちは狙われています。アキちゃん派もいじめられているようです。私は怖いです。助けてください」
[アキちゃん良いよ。ディンゴが苦戦しているという情報が入ってるんよ、助けを求めることは出来ないかな]
テレパシーでアキちゃんに伝える。
「はい。きもいおっさ、ディンゴさんの部隊だけでは追いつかないのが現状のようです。ディンゴさんを助けられる人は助けていただけないでしょうか。お願いします」
そういうと、膝をつき、正座の姿勢になって頭を地に着けるアキちゃん。土下座じゃねえか。
「お願いします。皆さんお願いします」
「土下座じゃねえか。アキちゃん、本気でみんなを守りたいんだね。世界統一なんかに負けて消滅させられたくないんだね。私もアキちゃんを消滅なんてさせないから!」
「ご主人様……!」
ひしと抱きしめ合う二人。
【ライドのエラーです。視聴者が二億人を突破したことによりトラフィックが足りなくなりました。強制終了します】
ありゃ、二億人が見てたのか。そりゃトラフィックたらんわな。
ライドの直後から電話が鳴り止まない。細かい繋がりの所からバンバン電話が飛んでくる。みんな雪菜・アキ・ディンゴ連合に参加するという電話だ。ありがたい。
中にはこんな人もいた。
「ソフィアです! レングスには世界統一を1匹たりとも入れさせませんわ! アキ様を守る! 艦船も作れるだけ作ってディンゴの艦隊に送りますわね。あ、理由は資本投資してくれているからってことで、ふふふ、慧眼でしたわね。傷ついた艦船はレングスに! 補給が欲しかったらレングスに! 補給物資に修理材を豊富に用意して迎え入れますから!」
「早口で一気に喋ってくれてありがとう。レングスは頼りにしているよ」
ソフィアさんも凄いけど、ソフィアさんより大物も二件来ていたんだ。こっちの切り札になる。早く来てくれ……!
さて。
カリダリに付いたら造船所の人たちに匿われるようにすぐに船着き場へと案内された。まるで来るのをわかっていたみたい。
「こんにちは、親方さん達。私の艦隊はどれくらい出来ていますか?」
「まずは表明から。カリダリはお金を投下してくれた雪菜さん側につく。あの大量の注文のおかげで景気がめちゃくちゃ良いんだ。下請けまでしっかりお金が回っている。感謝しかない。世界統一は自分で造船所を作っちまったらしく、久しく注文がないんだ」
「なるほど……駆逐艦までを造船できるのは本当ありがたい。お金はちゃんと払うからね。この規模の戦争になると支払いに遅れが出るかもしれないけど」
「そんなのはかなり後払いでもいい。組合に雪菜さんのおかげでお金が貯まってるんだ、互助できる。さて艦船の方だが、雪菜駆逐艦とその補助駆逐艦隊は出来上がっている。設計より大型化させてブースターをデカくさせて数を増やした。あとはマナレーンでマナを供給すれば速度だけなら雪菜駆逐艦と補助駆逐艦隊は同速が出る。マナレーンの説明は要るか?」
「全然わからないんで説明プリーズ」
「マナを輸送するラインだ。ラインといっても紐のようにグニャグニャ曲がる。ここを伝わってマナを他の艦船に供給できる。魔導障壁は密接すると障壁が融合して強度が上がるんだが、離ればなれになって密接できないこともある。そんなときにマナを供給して速度を上げて密接させたり、回避率を上げたり出来る。融合させるのよりは効率が悪いが、マナそのもので魔導障壁の強度を上げたりすることだって出来る。まあ有効に使ってくれ。ラインは何本でも出せるからな」
早口で喋られたのであんまりわからなかったけど、戦場で上手く使いましょう。
あと、コルベットとフリゲートは半分の25艘出来ているそう。
追加注文で駆逐艦を12艘、フリゲート50艘、コルベット50艘を注文。もちろんどれも最高クラスで。
それと、カリダリにも本を卸すことに決めたよ。企業ではなくてカリダリ組合に。造船にお金が渡るのはどうかと思うんだけど、現在のカリダリは造船組合くらいしかまともに交渉できる組織がない。レングスみたいだったら気持ちが楽なんだけどね。
とりあえずびっくりするほど巨大な雪菜艦隊が出来たので、ヘックス寄ってからジダンのディンゴを助けよう。
ヘックスでは無人戦艦5艘を受領。これにもマナラインが付いていて、魔導障壁の強化と、収束魔導砲が撃てるらしい。私の駆逐艦に付いている圧縮戦艦主砲二門と戦艦に付いている二連装戦艦主砲二門すべてで収束魔導砲撃てば、巨大戦艦の魔導障壁にも穴が開くかもしれない……。
アキちゃんのお願い効果はもんんんんの凄くて、殆どの人がアキちゃん派を助けてくれるようになった。
ただ、ディンゴの艦隊が苦戦していて、アキちゃん派の主力だからきついとのこと。
6層に船置いておいて、世界統一の奇襲食らったからね、超巨大艦2艘逃がすので手一杯だったみたい。補助艦がないと巨大な船って上手く動かせないからね。デカいのだけあってもダメなんすよ。
「これより目標はジダン! ディンゴを救うよ! ジダンに向かって最大船速! いくぞ!」
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