第31話 帰ってきたカザリンたち

 やっべえやべえ。

 オットーさんが警告してくれたんだけど、あれが闇社会に流れたらしい。

 アキ様にボコられたやつ。

 私の身体のデータがとかじゃなくて、拷問シーンが特に売れているらしい。痛み増強で気絶できない状況で拷問されたからな。それがすげえ高値なんだって。脳味噌が耐えられなくてショック死もヤバいくらい高いらしい。

 警察に頼んどこ。TSSの警察は民間運営なのでどこまで頼れるか疑問ですが。新6層企業にお願いした方が良い気もするけどね。まずは警察から。



 アキちゃんと和解してから半年以上はアキちゃんとのんびり過ごした。

 戦闘もない、冒険旅もない、穏やかな日々。

 バグ人間をソロで倒したことでなんとなく気分も晴れてアルダス村にも行った。みんな温かく迎えてくれたよ。嬉しかった。


「おまえはL85-5番開拓地の仲間だからよ、いつでも遊びに来いよ。常に歓迎するぜ」


 この言葉が嬉しくて。

 いつもの日々に戻って来れた感じがした。


 シルフさんにも会いに行ったよ。

 レングス外地の豊かな森の中で、てんてけ踊りを踊っていた。

 なんでもアキちゃんが教えたそうで。


「おねーちゃんにこれ教えてあげる!」


 といって、風耐性1、飛行能力、呪いのダンス、これらのスキルを教えて貰った。


「いいの? こんなに」


「受け取って! 私たちのお礼だから!」


「ありがとうね!」


 呪いのダンスはあれだが、飛行能力は凄そうだ。

 普通の飛ぶスキルは飛翔があるけど、飛行能力はモンスタースキルだからね。モンスタースキルはレベルとか関係なく完成している物が多い。今回のもレベルはなかった。

 試しに飛んでみたら凄い凄い。魔力の限り速さと正確さを出せるようで、私レベルの魔力なら、戦闘機より速度出そう。飛翔より全ての面で上回っている。

 こんなに凄いスキルだけど慣らし運転が終わったらあまり使わないかもなー。アキちゃんは今まで以上にくっついて離れなくなったので、速く移動するなら2人乗りドローンで移動することになりそうだ。


 やっとのことだけどカザリンとぴょん子と合流したよ。

 ぴょん子がすげーぶーたれてた。ごめんな、本当ごめん。

 でも彼らもただ待っていたわけではなくって、私のお金を使って強化訓練を行っていたみたいで頼もしくなってた。私のお金を使って。私の(略)。どうりで収入がちょっと少ないと思ったわけだよ。

 強化訓練は傭兵が強くなる代わりに天引き率10パーセントくらいのお金を徴収するのだ。文字通り天引きで。全ての「収入」に対して。印税にもかかる。一回だけ印税貰ったな……。

 2人分だから20パーセントも天引きされていたわけだ。まあ、お金かけた分成長するんだけど……。

 ルウラに3時間ほど苦情を入れておいた。別にお金に困っては居ないけど勝手にすんな。ルウラの権限でやっただろ。


 忘れていたけどアキちゃんがバグ人間を回収したので私にデータを引き継いで貰った。

【5万経験値、100スキルポイント、バグ特効2を入手しました】

 美味しいけど、修復したときより、シルフさんを助けたときよりかは少ないね。まあこんなものか。


 まーこんな感じかね-。

 あとはのんべんだらりのプー。

 本を卸すだけで特別変なことはしなかった。

 とにかくアキちゃんと遊んでた。

 アキちゃんとの関係を修復したかった。

 それはアキちゃんも同じなようで、お互いのわだかまりをなくす行為となったいた。

 それでもアキちゃんは遠慮していて、胸に飛び込んで寝るということはしなくなったし、私のしっぽで遊ぶような行為もしなくなった。

 楽で良いのだが、遠慮してほしくない。私の身体はアキちゃんの物だし、アキちゃんの身体は私の物なのだから。

 でもこれは急いで何かすれば解決するという物でもないんだろう。

 時間が解決するものだ。

 精神的に成長してもうしなくなるのかもしれないし、またいたずら心が復活して遊んでくるかもしれない。

 私は後者になるのを望みつつ、アキちゃんの変化を待つだけだ。


夏芽なんだけど、私と同化が進んだせいなのかはわからないけど、彼女は金属生命体の夏芽だけではなく、金属生命体の総意としての夏芽となったようだ。つまりちぎれて飛んだ夏芽の液体にも夏芽としての意思があり、夏芽として動ける。

ちょっと難しい話だけどこれは凄く便利で、例えば2人乗りドローンやフリゲート艦を帰還モードで返す場合「そのモードで帰るので乗っていないことがバレる」から盗難や強盗に遭いやすいんだけど、夏芽をちぎって運転席に座らせればその夏芽は1人の夏芽として動いてくれるから帰還モードを使わずに操縦して帰ってくれる。バレないのだ。

夏芽は私の血液を吸ってどんどんと質量を増やすからちぎってもちぎっても全然オッケー。やろうと思えばこの世界を夏芽でコントロールできるんじゃないかな。

また、夏芽自体非常に堅い金属なので、武具の素材として使える。

キアさんに採掘したクリスタルエンペラーを届けに行ったついでに夏芽のことを紹介したら素晴らしい金属として褒め称えてたな。

銃口からマジカルキャノン、銃剣の付くであろう部分からパイルバンカーが撃てるような、「サーバーに負荷をかけない」(重要!!)ちょっと大型の銃を作成してくれる際に、クリスタルエンペラーと夏芽を混ぜた金属で作ることにしたそうだ。この際も夏芽は自分で溶けたり出来るので、レングス外地で骨が削れなかったみたいな融合して堅い状態で固定されちゃうことも無い。ちゃんと混ざれる。

本当便利ー。これが歴代3人しか取得者がいない生物か。こんなの普通に出回ったらこのゲーム終わるよ。



「そろそろゴールデンウィークの2週目が終わるし、一度戻って本作ってこようかな。ちょっとばかりお金が欲しい」


「すぐ帰ってきてくださいね、ご主人様」


「今回は2日ほど執筆カフェに居る予定だから、半年は居ないことになるかも。真面目に鍛錬するんだよ」


「そんなに居ないのですか。寂しいです。鍛錬はもう怠りません!」


よし、じゃあちょっくら本書いてきますか。

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