第12話 現実へ一度戻って
人員が居なくて速い、しかもAランクで高性能なATHー200で、ヘックスを経由するルートでさっさと帰りジダンに到着。
「たっだいまー。いやー疲れたね」
「そうですね、ご主人様。少しゆっくりしましょうか」
「いや、暇な時間だしログアウトして小説書いてくるよ。ステータス成長させたいからお金欲しい」
えっ、という顔をして、ちょっとくらい顔をするアキちゃん。現実世界で1日くらいログアウトするんだけど、こっちだと半年かそれ以上の時間が流れるからね……。
「1日は掛けずに戻ってくるよ。頑張ってお留守番していてね」
「はい……」
後ろ髪引かれながらもログアウト処理を行う。いやー安全にログアウトできるって幸せだね。雪菜騒動の時はログアウトできなかったもんなあ。
現実世界では3日経っていました。まあゆうて速度加速技術もダイブカフェの性能によるからね。ダイブカフェにお金を払い退店。
フードを深く被って人目から消え、自宅へと個人ドローンヘリで戻る。こんな街に個人ドローンヘリがあるわけねえ。こんなの金持ちのものだ。ここら辺に来る金持ちって私くらいだ。全然隠れてねえ。まあいいのいいの。
自宅へ帰りすぐにダイブスーツに着替え自宅に設置してあるダイブ装置に滑り込む。現実世界の時間はもったいないからあまり時間を掛けたくない。
メイドさんに作業を手伝ってもらい執筆カフェにダイブした。書くぞー。
執筆カフェもいろいろと種類がありまして。いろんな人が集まる所からプライベート空間まで様々なんだよね。
今回はプライベート空間にまず行ってTSSの出来事を元ネタに数冊書く。
そして人が集まる空間に行ってネタを収集する。執筆カフェなんて金持ちかパトロンついてるアーティストしか利用しないしね。
学生向けの勉強カフェもあるけど意識加速技術がそんなでもない。技術レベル上げると高額になるからね。
書いたぞー! 25冊! さすがに時間がかかってしまった。1年くらい経ったと思う。
自己編集して初稿はTSSに出すのだ。
初稿が読めるのはTSSだけ。
なので私のファンが大挙して押し寄せて、人口が膨れ上がる一因となってしまった経緯がある。
ゲームに魅力を感じる人は少ないから、ミッションをこなして日銭と私の本を買うお金を作っている人が大半だけど。
それでもお金を生み出して、私に投げてくれる最大の派閥といっても差し支えなかろう。ありがたやありがたや。
もうちょっと上積みするために人が集まるカフェに行って交流してこよう。
金持ちヤダーーーー!!!! 一般人を下に見ている!!!!
私は小説を販売しているから一般人が買ってくれないとお金にならない。
一般人Loveなのだ。ラブラブちゅっちゅ。
他の人たちは金持ちが金持ち相手に商売してるから一般人などアウトオブ眼中。眼に入らない。
お前らそんなのだから資産持てないんだぞ。私の資産から見ればお前らなぞ貧民も貧民だわ。
格差社会極まってるなーと思いつつ人が集まるカフェを後にした。
アートや音楽やってる人との交流は刺激になったけどね。
「ぷっはー、起きた起きた。支度したらTSSにログインしなおそ」
後始末をメイドに任せ、一旦着替える。このお嬢様服嫌なんだけど、メイド長が推すからしょうがない。
ご飯を食べた後、うちの設備でTSSにログインした。街に行く時間がもったいなくてね。
「ただいまー帰ってきたよー」
「お帰りなさいませご主人様!!」
ログインした瞬間に現れるアキちゃん。
「まさか私の部屋で生活してたとかじゃないよね?」
「ししし、してませんよう、ごしゅじんさまったらあ」
なんか怪しいけどまぁいいか。早速メールで本を転送しよう。
今回送るのはディンゴとオットーさんとエリーとジダン5層の巨大集団フォーザオールさん。
ジダン4層だけじゃなく5層にも利益を分けて欲しいってことだそうだ。
私の取り分である印税以外のお金は彼らの取り分。経費とかぶん投げてるけどね。
まあそれでも来訪人が1億6千万人くらい、現地人が20億3千万人くらい買うんで利益がすんごいんですよ。私の本はTSSの外から入ってくる貴重な娯楽なんで現地人は凄い買ってくれるんですよ。
電子書籍なので私の取り分は80%ちょっとなんだけど残り20%でもすんごい儲かるんですよ。私もすんごい儲かるんですよ。一冊1000ドルエンで販売するからね。
しかも毎回数冊販売するという所業に出ている。
なんかねー経済は牛耳ったかもしれないねー。いや、お金の納まる所を手に入れたというか?
さぱさぱとメールで一人2冊くらいの本を転送して終わり。一気に25冊なんて販売しませんよ。
私の能力は一気に出して良い物じゃない。出し惜しみしつつゆっくり買ってもらうのが一番良い。ゆっくりしていってね!
――ドスコード――
榊雪菜の本配る場所
榊雪菜
それじゃーみなさんにメールしたので後はよろしくお願いしまっす。
売上金の集計は3ヶ月ごとにお願いしまーす。
確認したら返事くださいねー。
――ドスコード――
よっし、これで後は本がお金になって帰ってくるって訳よ。美味い商売だぜ、グヘヘ。
「ご主人様、今週は自宅でノンビリですか?」
「んーまぁそうだね。ちょっと本の方でやりとりがあるから自宅にいた方が良いかな。アキちゃんいっぱいもふもふしようね!」
「わーい! とぉっ!」
飛び込んでくるアキちゃんを抱きしめ体中をもふもふしまくる。お毛毛は耳としっぽにしか生えてないんだけど揉みくちゃにするのもまた一興なのだ。
「キャッキャ! あーそうだ、ご主人様のしっぽを揉みくちゃにしていいって約束でしたよね!?」
「そ、そうかもしれない」
「やったー! 飛び込めー!」
ズドーンと腹に飛び込んでくる大きな砲弾。腹筋で受け止めてなんとかしのぐ。騒いでるから力の抑制をしらんのだよ。
「しっぽはどこだ、しっぽはどこだ」
「ドコダロナー、ミエナイナー」
「お嬢様の服なんてこうです! べりりーっとな」
ああ、私の高級なお洋服が破れちゃった! メイド長に言わせて買ってこさせたのに。
ま、AR衣装なんでリセットすれば直りますが。べんりー。
「みつけたー! もみもみもみ」
「はわわ! 私敏感なんです!」
「うっしっし、このこのこのこの!」
「いけませんご主人様! ああ!」
何やってんだお前らという遊びをしつつそれをライドしておくのを忘れない私。このライド、アキちゃん派に衝撃を与えるであろう。私のしっぽの衝撃もあるしな。
二人でもみ合いしてはわはわしあった後は休憩をして紅茶を飲む。アキちゃんと戯れる時間って自宅にいないとなかなか取れないからやるときは全力だ。
アキちゃんのおみみとしっぽの毛繕いをしていると、脳内に電話の音が鳴り響いた。
だれだろ。ルウラさんからだ。この前電話番号を交換したんだよね。とはいえ、なんだろな、連絡なんて珍しい。
「セット。はい、榊雪菜です。どうしましたルウラさん」
「ああ、雪菜様! ええと、アルダス村が! L85ー5番開拓地が!」
やけに逼迫している声だ。なにかあったのか?
「アルダス村がどうしたんです? 落ち着いて喋ってください」
「すーはー、すーはー。はい、L85-5番開拓地がウルフコボルトの軍団に襲われようとしているのです。傭兵の連絡網で全傭兵に救難信号が出されました」
「アルダス村が!? ウルフコボルト!? しかも軍団!?!? 支度してすぐ向かいます。時間に余裕はあるんですか?」
「威力偵察は退けたようなんですが、本体はまだ到着していないとのことです。でも一週間以内に来るのではということです」
「わかりました。私に、私とアキちゃんにどれだけのことが出来るかわかりませんが向かいます!」
アルダス村を助けないと!
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます