第6話 えげつない殺し方

 さてと、やっと大ミッションのゴブリンを一人で討伐しろを進めることが出来るよ。

 乗ってきたATHー200を使ってぷかぷかと目標地点まで進む。

 オーバードライブで目標方向表示をレベル6まで増加させたし、表示の方向に進んでいけばいずれたどり着く。


「この暇時間にオーバードライブの鍛錬も行っておくか。レベル3!」


「やめてください! 放出されるマナで船が壊れます!」


「敷板が吹っ飛んだでござるな」


 だめかー鍛錬したいんだけどな。自重筋トレとストレッチで済ませるか。


 この世界、スキルが使えた、剣技が使えた、魔法が使えた、それだけではお話にならないのである。

 それを使えた上で練習しないと物にならない。魔法陣が使えても、綺麗に魔法陣が描けなければ魔法は出てこないのである。

 剣技が使えても剣の扱いが下手ではへなちょこ剣技しか出来ない。

 全ては基礎訓練があってこそ出来るもの。本当に現実に即しているのだ。

 なので私は暇さえあれば鍛錬を行うようにしてきた。

 オーバードライブもマナが放出されないように鍛錬しないとね。

 もっと上のレベルも使いたいし。

 まだ以前のオーバードライブのように精神がクラクラするような感じにはなっていないしなー。


 などと考えているウチにミッション目標がミニMAPに表示されるようになった。

 ATHー200で一度巡回して上空から視察する。


「なにもないぴょん」


「地下にいるってコトかねえ」


「木も生えてませんしそうかもしれませんね、ご主人様」


 遠くの地点で船から下りて、私だけ慎重に進んでいく。パーティメンバーがゴブリンに見つかっても駄目な気がしたからね。

 ゆっくりと進んでいく。

 慎重に進んでいく。

 丁寧に……あれ。


 ついてしまった。なんか洞窟の入り口に。ダンジョン入り口はこちらでーす、という感じか。

 現在ある経験値は600。6個スキルを取得できてオーバードライブでそれを上昇させることが出来る。攻撃スキルは取得していないので状況に応じて取得していこう。


 山の中腹にある入り口なので、ぐるりと一周してみることにした。別の入り口があるかもしれない。

 歩くことでならどんなことでも役に立つ行軍のスキルはレベル2まで買ってあるので、オーバードライブをレベル1までかけて臨時購入で行軍スキルのレベルを5にしておく。

 オーバードライブもレベル1なら殆ど負荷がないしずっとかけていてもいいかもね。


 そして周辺を探りながら歩く。

 歩く。

 歩く。


 本当に一周してしまった。もしかしてこの洞窟通気口もない?

 それならやることは一つ、窒息死だ。


 入り口に誰もいないので、大量の焚き木を入り口に集めることは簡単だった。

 次にマジックグレネードポーチから大量のオイルグレネードを入り口から中へ投げ入れる。

 そして最後にファイアグレネードを焚き木に投げ入れて燃やせば後はもう入り口付近は火の海で。

 オイルグレネードは不完全燃焼を起こして一酸化炭素を生み、洞窟の奥へと流れていく。

 焚き木の後ろから、さきほど購入したエアーブローレベル1をオーバードライブレベル4で13レベルまで上昇させ、凄い勢いで風を送り込む。これでこっちには一酸化炭素や各種ガスなどは流れなくなったな。

 そういや以前懸念していた、スキルレベル5以上の存在は、前回の時の上限レベル10を超えて確認できたなー。オーバードライブレベル4はちょっと精神負荷が来るなー。などと思いつつ延々と風を送り込む。


 2時間くらいこんなことをやっていたら「ぴろぴろりーん」という音と共に「ミッションクリア」という表示が脳内でなされる。

 無事駆逐は完了したようだ。

 ミッション報酬は1000経験値と宝の地図のデータ。ダウンロードしたらこの洞窟の奥にあることがわかった。えぇ……。

 取れってコトじゃん。


 覚えていたGPS座標を頼りにみんなの所に向かって無事に合流。


「ご主人様お疲れ様でーす。では次のミッションを引きましょう、今日はまだ引いてませんからね。がらんごろーん」


「人が疲れて帰還してすぐに引くのかっ。えーと、宝の地図をクリアしろ、かな。後は普通の小ミッションが2個」


「なんですかそれ、ご主人様?」


「ゴブリンダンジョンの奥にお宝があるみたいなの。それを取ってくるってお話」


「なにそれすぐじゃないですか! 今すぐ取ってきますびゅーん」


 まってー! 中はまだ危険なガスが充満してるのよー!


 必死で取り押さえて説得する私たち。

 今このパーティーで最強なのは間違いなくアキちゃんなので、なだめられて良かった。

 死に戻り地点はジダンの自宅なんだよ、救出が面倒だよ。装備はドロップしちゃうしなー。


 反省してしょんぼりするアキちゃんをなだめながら、ガスが抜けきるのを待つ。エアーブローで風を送り込んでいるけどそう簡単には抜けないだろう。



 面倒なのでガスボンベを背負い中まで入っていくことにした!

 いやー、マジックポーチに入ってたんだよね!

 今のマジックポーチ、容量がかなり大きいこと忘れてた!


 単独になり、奥まで進んでいく。ゴブリンは掃討されているので危険はないだろう。

 罠も、自分たちが引っかかる恐れがあるのでそうそうつけないだろうし。


 奥まで進んでいくと、異様な文様が描かれた、祭壇ちっくな部屋に出た。ここが最深部かな?

 長老ゴブリンと思われるゴブリンの死体があるし多分そうだな。ここにお宝があると目標方向表示は言っている。

 ぐるぐると動き回るけど、よくわからない。

 でも目標方向表示はレベル3まで取ってあるのでそこそこ精度が良く、ある一点を中心に回転するようになった。

 そこへ進むと結婚指輪入れのような大きさの箱がごろんと置いてあった。

 箱はびっしりと見たことのない文字らしき模様が書き込まれており、おどろおどろしい。

 これを手に入れてもミッションクリアにならないということは中身を入手しろってことかい?

 運営も酷いことを押しつけてくるね。


 えいやっと箱を開ける。そこには干からびたような形の金属が置いてあった。


「なんだろうこれ?」


 手に持つのも怖いので上級スキル、アイテム鑑定をレベル1ほど購入してオーバードライブレベル4実行、レベル13のアイテム鑑定で鑑定する。


【液体金属生命体:歴史上2名しか獲得したことのない極めて貴重な物質。生命体という通り生きており、宿主を選ぶ。宿主にはとても忠実。宿主の血液を吸うことで血液を自分の液体にあwせdrftgyふじこ。:これ以上の情報を得るにはさらに高レベルのスキルが必要です】


 うそでしょ、レベル上限を超えたスキルで鑑定を行ってるのに足りないの!?


 大変貴重な物質であることはわかった、生きているのはわかった、宿主を選ぶこともわかった。

 しかし血を吸うってどういうことだ。寄生虫の心配はないのか。血を吸われきられて死ぬことはないのか。支配される恐れはないのか。


 まじまじと金属を見つめる。どうみても干からびている金属だ。触ってみようか。

 でも、その前に。


「中級スキル、クリーンアップ取得。そしてオーバードライブレベル5発動!」


 ドドドドドドドドド


 今の私はスーパー天買神だ。ステータスが制御できてないので無駄になってるだけですが。



 クリーンアップレベル16でこの金属を浄化! 浄化! 浄化ァ!


 オーバードライブレベル5はさすがに負荷が強いので長くは出来ない。それでも気が参るまで浄化を続けた。

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