第18話 大物スポンサーから見捨てられる(新見を取り戻さないと潰れてしまうっ……! 追放者視点

 ——新見がレベルアップしまくっていた、一方その頃……


 栄光の剣(株)の社長室——


「社長! お電話ですっ!」

「誰からだ?」

「ヨンテンドーの太田社長です」


 ヨンテンドー。


 日本一のゲームメーカーだ。


 栄光の剣のスポンサーで、最大手。


「よ、ヨンテンドーさんっ⁉︎ 早く電話を回せっ!」


 郷田は事務員に怒鳴り、急いで電話に出る。


 (いったい急に、なんだろう……?)


 なんとなくだが、嫌な予感のする郷田。


「はははっ……太田社長。いつもお世話になっています」


 猫撫で声で、媚びる郷田だが——


「郷田社長……言いにくいのだが、ウチは栄光の剣のスポンサーを降りることにした」

「えっ……⁉︎ なぜっ! なぜですかっ?」


 突然のことに、郷田は焦りまくる。


「郷田社長……あなたは、新見政宗をクビにしたそうじゃないか?」

「えっ……は、はいっ……そうですが……」

「あんな逸材を自らクビにするとは、配信者ギルドの経営者として、その能力に疑問がある」

「いや、あの、それは……佐川と山田が【新見は役立たずの無能】と言ったからで……っ」

「なるほど。部下に【責任転嫁】するつもりか?」

「いえ、そういうわけでは……」


 郷田の額から、冷や汗が流れる。


 (今、ヨンテンドーに手を引かれたら、ウチは潰れてしまうっ!)


「栄光の剣の配信は、これからどんどん数字が落ちていくだろう。そんな配信に我が社の広告を出す意味はない……」

「ま、待ってくださいっ! 必ず、新見を取り戻します……っ! 契約打ち切りは待ってくださいっ!」

「本当に、新見政宗を取り戻せるのか?」

「絶対に、取り戻しますっ!」

「少し待ってやろう。だが、もしも新見政宗を取り戻せなかったらその時は……わかるな?」

「はいっ! なんとしても取り戻しますっ!」

「期待してるぞ。郷田社長——」


 電話が切れる。


「クソ……っ! 新見を取り戻さないと……ウチはヤバい……っ!」



 ——郷田はまだ、気づいていなかった。


 すべては、【もう遅い】ことに……



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