いきなり異世界って理不尽だ!

みー

第1話

 ごくごく普通の会社員、三田陽菜25歳は、

「いってきまーす!」

と、いつものように玄関を開けて会社に行こうと一歩踏み出そうとした瞬間、足元の地面がなくなった。


落ちた~!と思って目を閉じて衝撃に備えて体を固くして構えたけど……?あれ?

そっと目を開けてみる。普通に立ってる?!

 辺りをキョロキョロと見回すと、広い草原の中のようだ。家も道路も何も無い。もちろん私の家もない!

「……どーゆー事?」と思わずつぶやいてしまったら、

「いやぁー、ビックリさせてすまんなぁ。」

と返事があった!!

 驚いて振り返るとおじいさんが白い布を体に巻きつけて立っている。おじいさんはニコニコしながらビックリしすぎて固まってる私を見ながらゆっくりと話しかけてきた。

「ここは君達が言う『異世界』じゃ。ほれ、よく小説やゲームなんかであるじゃろ?あれじゃあれ。」

「………はぁ。」

 ポカンとしながら、気の抜けた返事をしてしまった私を見て、さらにニコニコしながら

「どうやらシステムのエラーで君がこの世界に飛ばされてしまったんじゃよ。いやぁー、初めて作った転移装置じゃったから失敗してしまった。ぶぁはははははははは」

 楽しそうに笑ってるけど、理解不能なんですが?


「そこでじゃ!転移装置も直りそうにないし、元の世界に帰る方法も無い。君にはここで暮してもらうしかないんじゃよ。ぶぁはははははははは」

 だから笑い事じゃないよ!全く笑えない!!このおじいさん頭大丈夫か??とジトーーっとした目でおじいさんを見ている私にやっと気付いたのか、少し焦りながら

「……いや、装置の修理を全力で頑張るよ?悪いとも思っておるよ??……じゃがなぁー。転移装置作るのに100年ほどかかっておるからなぁ~、直すのにも………まぁ……早くて50年くらいかのぉ~。…………最悪直らないなんて事もあるかもしれん。」

 最後は小声で早口に誤魔化すように言っていたが、しっかり聞こえている!そして目が泳ぎまくっている。

 深呼吸して情報整理してみよう。

 このおじいさんが作った装置が壊れ異世界に飛ばされて帰る方法はないと。……なるほど……………最悪じゃないか!!!!

「困ります!仕事に行けないじゃないですか!クビになったらどーしてくれるんですか?!」

 大声で怒鳴り、おじいさんを睨んだ。

「いや、あの……、本当にすまん。……元の世界では上手いことやっておくから心配いらん。そーじゃな、君と関わりのあった全ての人から君の記憶を消しておく。君の家も、部屋なんかは物置に変えたりして、上手いことしておくぞ。仕事も、元々いない事になるから、何の心配もない。」

 怒りでフルフルと震えながら

「そーゆー事じゃないでしょ!!」

と怒鳴りつけた!

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