第155話 島への潜入
「ようやく着いたでゴザル♪」
ようやく着いたじゃねぇよと思ったが、私は五時間もオールをこぎ続けてそんなことを言う気力も残されて無かった。
遅れたがアタシは霧子だ。百影との修行を終え、敵のアジトである無人島に行くことになったのだが、無人島への道のりを知る百影がイカダで海を越えて行こうとか言い出したので正気を疑った。最初は猛抗議したが「我儘言わないで行くでゴザル‼」と百影がまさかの逆切れをかましてきたので、渋々二人でイカダを漕いでいくことになった。途中に荒波や渦潮、超巨大ビックウェーブに襲われたりして、何とか島に到着したのは奇跡としか言いようがない。生きてるって素晴らしい。
「それでは敵を叩き潰すでゴザルよ」
「ちょ、ちょっと休憩させろよ」
「駄目でゴザルよ、拙者たちの到着が敵に知れるのは時間の問題、ならば素早く打って出ねば」
最もなこと言いやがるが、こっちはイカダに初挑戦で五時間ぶっ通しでオールで漕ぎっぱなしだったんだ、少しぐらい休ませてくれたって良いだろうに。
アタシはそう思ったのだが百影の奴がぐいぐいアタシの手を引っ張るので、仕方なしにアタシは生い茂るジャングルの中を走ることになった。
「えぇーっと、多分こっちでゴザル」
走りながら不安になるようなことを言う百影。本当に大丈夫かコイツ?忍者って言う割に抜けてるところが多いんだよな。
「本当にこっちで合ってるのかよ?」
「疑うのはよくないでゴザル。信じる心が世界を救うでゴザル」
何言ってんだコイツ?忍者とか人騙してなんぼだろ?自分の職業を考えて物を言えよ。
「あれー?おかしいでござるな。そろそろ入口が見えてきてもおかしくないでゴザルが」
ほら案の定迷いだした。バカなんじゃないのか?てかバカ忍者か。
「おいバカ忍者。いい加減にしろよ。バカみたいな修行ばっかさせるし、挙句の果てに道に迷うとか本当にいい加減にしろよ」
「バ、バカ忍者とは何事でゴザルか‼名誉棄損で訴えるでゴザル‼」
「バカにバカって言って何が悪いんだよ‼この大バカ忍者‼」
「ムキ―でゴザル‼」
怒った百影がアタシのほっぺを両手で摘まみだしたので、アタシも負けじと百影の両ほっぺを抓り返して応戦した。めっちゃ痛いが、鬱憤が溜っているので負けるわけにはいかない。
「痛いでゴザル‼話すでゴザル‼」
「そっちが放せコラ‼」
一進一退の仲間割れを繰り返すアタシ達だったが、それだけ騒いでいたせいか知らないが。ガサガサと木々が揺れたかと思うと、動物の姿をした魔物達が一斉に飛び出してきた。
「侵入者だ‼殺せ‼」
せっかくイカダまで漕いできたのに盛大に見つかり散らすとか、どんな皮肉だよ。
アタシと百影は同時にほっぺを放した。
『変身‼』
思えば二人で同時に変身したのは初めてだったが、そこにアタシは何の感動も無い。
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