第6話

「寝心地はどうだったか?」


 家の中に戻ると、リビングで先程まで私が着ていた服を修繕していたリークにそう聞かれたのだった。


(なんて言おうか)


 悩んだ挙げ句、私には合わなかったみたい。と正直に伝えたのだった。


「そうか、もう少し改良が必要だな」


 リークの反応は予想とは裏腹の冷静さだ。


「敷き布団がいるわね、あの床に毛布だけでは…」 

「となると、ベッド作った方が良いのか」

「うーん、もしくは…クッションみたいなものを作るとか?」

「成る程な」


 リークはうんうんと二度三度頷く。確かに改良の余地はいくつか残っていると言えるだろう。


「明日にでも布、買いに行くか」

「え」


 リークは唐突にそう言うが、ここは山奥の中だ。先程ツリーハウスの中で見た景色を振り返るに、近くに町や集落は…無かった筈だ。


「どうやって移動するの?」

「途中、水鏡があるからそれを使う」

「水鏡?」

「行けばわかるさ」


 結果、水鏡についての詳細な情報は得られなかった。しかし説明するより実際に体験した方がわかりやすいという事なのだろう。


「服もそろそろ治りそうだ」

「そうなの?」

「ああ、明日には着れそうだ」


 リークが服を両手に広げて持ち、私へ見せてくる。確かに気になるほつれが殆ど無くなり、かなり綺麗にはなっているように見える。


「…すごいじゃない」

「これくらい出来る」

「…ありがとう」

「礼には及ばんさ」


 リークは何事もないような涼し気な表情で、こつこつと針を動かしていった。


 こうして夕食も食べ終えて、リークの助けも借りながらなんとか入浴も終えて、後は眠るだけ。私は自室のベッドで布団を被り、目を閉じる。

 するとそこへ、リークがやって来た。


「起きてるか?」

「ええ」

「明日は8時に出発する。朝食は何が良い?」

(うーん…)


 考えても食べたいものがこれと言って湧かなかったので、結局リークのお任せで。と半ば投げやりに答えてしまった。


「そうか、ならそのようにする」


 とだけ言ってリークはガチャンと扉を閉めて去って行ったのだった。


(…今のはまずかったか?)





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