第9話 毎日、毎日、溢れていく

高校に入ってから、部活には入らなかった。

2人でバイトして、デートして、図書館行って勉強して、大学も2人で行こうと話してた。


その為に必要経費を2人で貯めようと話してた。

シフトも必ず一緒に入る。


僕の理解のフォローをしてくれている。

麗華に言い寄る奴もいたが麗華はキッパリと断っていた。


文化祭も2人で回って、2年の修学旅行もくっついてた。周りは僕らを『夫婦』と呼ぶ。


『した』とか『してない』とかって言う話によくなっていたがきちんと伝えると、『納得』となり、その波が広がっていった。


『楽しみたいが子供は怖い。育てられない』


それを先ず考えることによって予期せぬ妊娠を防げる。ここに尽きる。


でもそれ以外のやり方でしっかり愛し合う。

それが僕らのやり方。


不安は消えなかった。どんどん可愛く綺麗になって行く麗華を誰かに取られるのではないか。

そんな怖さがあった。


だから…母さんに話した。



───────────────。

「母ちゃん…」


僕は母さんの部屋を尋ねた。


「どした?」


僕は母さんに抱き着いた。


「珍しい。なんかあった?」

「怖い。怖いんだって。」

「なにが。 何が怖いの?」


母さんは全てを受け入れてくれる。


「麗華、誰かに取られたりしないかな…。毎日好きなんだ…。毎日、毎日…。」

「あんたはねぇ、病気みたいなもんだからね。父さんとは違うからね。内に秘めてるからあの人は。でもあんたはそれをすると壊れる…麗華はね逆。言われないと不安な子。『大好きだよ』『愛してるよ』って小さい時から言い聞かせてきた。まぁねぇ、半ば親に捨てられてるからね。未だに連絡よこしやしない。不安なんだよあの子も。だからあんた達は丁度いいの。…だから言わなくなったらあの子は病むよ。」

「……言ってくる。」

「そう?言ってくる?」



母さんは僕らの事をきちんと理解してくれていた。でもその分複雑な思いをしていたと思う。



────────────。


「れーい!!」

「なに。うるさい。レディを呼ぶのにそんな怒鳴んないでよ。」

「…ごめん。」

「いいけど。どうしたの?」

「お前が好き!お前が大好き!…だから、どこにも行かないで。ずっと一緒にいて…。」

「おいで、」


麗華は僕を部屋に入れて、僕を抱き寄せた。


「大丈夫。どこにも行かない。私はあんたから離れない。わかってるよ。不安なんだもんね。色んな人が私を見るからね。大丈夫。私はあんたしか見てないよ。」


「……。」

「あんたは可愛いね。ずっと私の『可愛い子』で居てよ。」

「居る…。」

「うん。居て。」


「麗華…」

「なに?」

「……。」

「なに?」

「ずっと一緒に居てください。」

「そのつもりだよ。ずっと一緒。」

「ありがとう。…ずっと不安。壊れそう。」

「わかってる。わかってる。あたしも一緒。言ってくれないと不安でおかしくなりそうになる。だから言ってよ。ちゃんと言って。」

「大好き。麗華大好きだよ。」



僕は痛いくらいに麗華を抱きしめた。


「私は幸せ者だよ。」

「俺も。麗華とならずっとずっと一緒に居れる。」

「そうね。」

「毎日毎日好き」

「私も。」

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