中学生
第5話 一年生
──────入学式。
麗華が制服を着た姿を一番最初に見たのは僕だ。少し、変な優越感があった。
僕はその日、母さんに話した。
「ねぇ、母さん」
「なに?」
「くだらない事ならごめん。忙しいならいい。けど聞いて欲しい。」
「なに?」
母さんは手を止めて食卓テーブルにお茶を2つ置いて僕を座らせた。
「ごめん」
「いいの。話してくれる時に話して欲しいから。これからあんたは反抗期に入るから。麗華もね。いいのそれはそれで。でも話したい時はちゃんと話して。それが大事だから。いい?」
「うん。わかった。」
「それで?なに?話したいことって。」
「……。」
母さんは僕の隣に移って僕を包んでくれた。
「いいよ。話して。大丈夫。」
「…麗華がね、麗華がね、」
「うん。麗華がどうしたの?」
「とられたらどうしよ…。俺よりいいのいっぱいいる…。俺、麗華が居ないと嫌!!麗華が好きなんだって!!俺の麗華なんだよ!」
僕の声を聞いて麗華がキッチンへ歩いてきた。
「大丈夫。あたし、あんたしか興味無いから。確かに顔のいいのは結構いた。でもさ、あたしちょっと変だからさ、あんたが丁度いいの。手焼ける男が可愛い。」
そう言って去って行った。
母さんは笑ってた。
「本当にあの子は。はっきりいう子だから。有難いわ。」
「大丈夫かな?」
「そうね。麗華の気が変わらなければ大丈夫かな。あと、あんたがちゃんと麗華と向き合うこと。素直でいる事ね。」
「うん。。」
母さんはもう一度僕を強く抱き締めてくれた。
「あの子ならあんた渡してもいいわ。可愛くてたまんないだよ。あんたも麗華も。」
「うん。」
僕はその頃にはもう笑っていた。
僕が部屋へ戻ると、麗華の部屋に母さんが入って行って暫く話していた。
僕らは母さんに守られて育ってきた。
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