アルノシア公国戦記～アドラ海戦争～

第11話 最初の空戦

西暦2030年5月4日　モルディア諸島上空

　日が空を青く照らす中、轟音が東西より轟く。

「目標捕捉、攻撃開始」

　公国空軍第2航空団に所属する、F-35A〈ライトニングⅡ〉戦闘機は、機首のレーダーで敵機を捕捉する。最新鋭のステルス戦闘機たる〈F-35A〉は、質の面でラーティニアに対して対抗できる兵力として配備されたものであり、総合的に高い能力を持つ作戦機としてまとめられている。

「フォックス2」

　胴体兵器倉（ウェポンベイ）のハッチが開き、AIM-120『AMRAAM（アムラーム）』空対空ミサイルが発射。爆弾を抱えて中央即応連隊への爆撃に向かう敵機へ襲い掛かる。

　対する敵機は散開し、チャフを展開。そして護衛担当が〈F-35A〉に向けて空対空ミサイルを放つ。