手違い
声の主が言うには、
彼が、異世界転生を願ったから、
異世界へ飛ばしてあげた。ということだ。
―――じゃあ。なぜ、身体だけ?
『うぅ~ん。それはぁ……』
考え込むような間の後には、
『わかんなぁい』
と、
甘ったれた声が返ってきた。
聞いている方が呆れてくる。
悪びれもない その返事に
悪意も
反省の色も
感じられない。
―――じゃぁ、今いる この身体は?
『それは、あなた自身の身体だよー』
『直ぐに目を覚まさないから、時間だけが過ぎちゃったんじゃなぁい?!』
ますます混乱する彼を置いて、
声は、若者に話しかける。
『はい、はぁ〜い。あなたの望み通り、異世界に着きましたよぉ。起ぉきぃてぇ〜』
彼女が言うことが本当ならば、
身体だけが 異世界へ行って
置いていかれた彼は、こちらに残って
あの若者(身体だけ)が、異世界で冒険するというのか?!
なんだか やるせない気持ちになって、彼は目を開けた。
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