梅の花

梅の花に誘われて

庭に出てみれば

気づかぬほどの霧雨が

しっとりと

わたしの髪を濡らす


煙るように静かに雨は降っている

寒の戻りで冷え込んでいるのに

優しい風景が其処にはあった


この梅を愛でたひとはもういないけれど

つぼみがほころび花開いて

季節はこうしてまた巡っていくのだと



ちいさなしずくがひとつ


わたしの頬をつたって


地面へと還っていく

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