死にゆく時に
死にゆく人に何が言えようか
死にゆく時にただ死と向き合うほかに
何ができるのだろうか
その瞬間すら誰にも決められず
否応なしに向き合わされる
冷徹でありながら
それは神聖な時間
わたしは怖い
ずっと怖い
いつも怖い
ただ向き合うことが
こんなにも怖い
死そのものよりも
死にゆくそれまでの苦しみに
こんなにも怯えている
死にゆく人の手を握っていることしか
わたしにはできなかった
それでも願わくば
やっぱりわたしも
その時には手を握っていて欲しい
この弱い心でも
ちゃんと死と向き合えるように
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