恋はいつだってウィンドアンサンブル

神楽堂

第1楽章 1 告白

琴葉ことはさん、ボクと付き合ってください!」


あちゃ~

やっぱり告白だったか……


放課後、クラスメイトの野崎のざきくんから話があると声を掛けられた時点で、この展開は読めてはいたのだが、まさか本当に告白されるとは……


人目のないところに連れていかれて、改まった感じで面と向かって話をされるというこのシチュエーション。

どう考えても、あぁ、告白されるんだな、と分かってはいても……だ。


やはり、実際にこうしてはっきり言葉に出されてしまうと、私の脳は沸騰してしまい、どうしていいのか分からなくなる。


作戦か~~~~いぎ!

私の頭の中に、たくさんの「私」が出てきて話し合う。


琴葉A「やったじゃん! 人生、初告白! 受けちゃいなって!」

琴葉B「え? 好きでもない人と付き合うの?」

琴葉C「だってさ、野崎くんってクラスの人気者でしょ?」

琴葉D「そうそう、この先、こんなにおいしい話はもうないよ」

琴葉E「そうかな? この先、もし本当に好きな人ができたらどうする?」


頭の中のたくさんの私が、喧々諤々けんけんごうごうと議論を展開している。

野崎くんは意を決して私に告白をしてくれたんだ。

きちんと考えて返事しないといけない。


琴葉F「今すぐ返事をするのは無理じゃない?」


頭の中から、結論を出すのをもう少し先にすべき、という意見が出てきた。

私は野崎くんに、こう言うことにした。


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