第13話:ドンキーDワフィと名乗る配信者
視点が香奈梨から変わり、とあるライバー事務所勢の視点へと移行する。
REALTY世界には様々な毎週イベントが存在する
ルーキーが参加できるデビューグランプリ『通称:デビュグラ』
もう一つがルーキグランプリ『通称:ルキグラ』というものがある
そのビギナー期間を経て、多くの人気ライバー達が参加するのがオリジナルギフトイベント『通称:オリギフ』
くまのぬいぐるみイベント『通称:くまぬい』、推しのアバターをプリントしたTシャツが着れるイベント『通称:アバT』
その他楽曲提供イベントや新宿ビジョン、家電量販店やネカフェに自分のアバターを飾れたり、お馴染みのご当地ポスターイベントなんかも多岐に渡って開催されている
ある程度の目標を持って取り組みたいイベントとして壁紙イベントやコインカップイベントなんかも存在する
そんな中、REALTYライバー達の中で欠かせないのがREALTY学園『通称:リア学』と呼ばれるイベントだ
このイベントでは毎回ミリオンスコア(ケーキタワー100本以上立つことから、1000万ptスコア以上を意味する)が出ることから
多くのREALTYで大手ライバー(フォロワーが3,000人超えてる人を大手と呼ぶ)達の間で話題となっている
そして毎回多くのREALTY症候群のきっかけともなり、敗者を見かけることが無くとも言われている
今回はそんなリア学に向けて、あるライバー事務所勢達が動き出していた
「配信王に、俺はなる!!」
そう元気よく大きな声で発しているのは謳歌七部会ライバー事務所勢の1人『ドンキーDワフィ』である
麦わら帽子を被っており、目が丸くクリっとして、瞳が黒色で頬に傷が入っている
赤い服を着て半ズボン、ビーチサンダルのようなものを穿いている彼は人気ライバーの1人である
以前応対も時は金成の事務所勢説明の中でもあった通り、彼は悪魔の能力を持つ存在だ
彼の授かった能力は主に爆弾である
「ボムボムの~~~~ガトリング爆弾!」が最も得意技で、広範囲にわたって殴った相手を爆発させまくる驚異の能力者
場合によってはライブ配信をしている相手の家にある家具を爆発させまくったりと、ライブ配信外の現実世界にも影響が出せる
彼のことを別名『麦わらのテロリスト』と悪名名高い、まるで海賊のようなライブ配信をする配信者の1人だ
「おおい、ゴロ!!いつまで寝てんだ!起きて配信準備しろ~」
ドンキーDワフィが言った相手はワフィのことを最も応援することで有名なリスナー『オニギリ・ゴロ』である
オニギリ・ゴロは髪色が緑色の短髪であるが、よくバンダナを頭につけるアバターを好むという
ゴロの応援の仕方は物凄く、特に歌フェスをやった際には『歌弾幕、投げ銭、いいね連打』と3つの動きを同時に出来るという
3つの応援を同時に出来ることからオニギリ・ゴロは『3刀流の使い手』と呼ばれていた
彼はドンキーDワフィと出会う前は、彼もライバーだったのだがもう一つの異名があった
それは『フォロワー稼ぎのビギナー狩り』として、多くのライバーやリスナーからささやかれた
これがもしライブ配信ではなく、現代の海賊ごっこだとするならば、間違いなく彼は『賞金稼ぎの海賊狩り』って呼ばれてたと思う、と皆が口を揃えた。
他にもドンキーDワフィを支えるリスナーがあと3人存在する
泥棒猫のエミと呼ばれるリスナーだが、何故彼女が泥棒猫なのかというと、他のライバーのリスナーを引き抜くのがとても上手いからだ
彼女の立ち振る舞いや癒し効果で、多くのリスナーは鼻の下を伸ばし(大半はおっさんリスナー)だが、多くのリスナー達を奪っていく
そして連れてきた男たちの多くに壁紙やケーキタワーを投げるよう強要するも、おっさん共は断れずに投げ銭しまくるらしい
そのことから人の石油王を奪っていくことから、泥棒猫という名前がついてしまったんだとか
さらに鼻の長いアバターをした特徴的なリスナーが存在する
彼の名前は『ウソッキー』と呼ばれ、言葉巧みに女性リスナーのハートを打ち抜くとされ、まさにそれは狙撃手のようだと言われている
男性リスナーを泥棒猫エミが他配信枠から奪い、女性リスナーを狙撃手ウソッキーが奪うという役割分担がされている
最後にドンキーDワフィを支えているリスナーの中にコックが存在する
彼の名は『イチジ・ニジ』と呼ばれ、腹をすかせた奴には腹いっぱい食わせるのがモットーとのリスナーだ
相手がライバーであれば、目標達成するまで投げ銭して投げ銭乞食達の飢えを解消し、リスナー達にはまるで現実世界でお腹いっぱいになるかのような配信を心掛ける
イチジ・ニジが手掛ける言葉の中には、戦いは2番目、1番はまず腹を満たすこと、話はそれからだ!ということから、多くのライバーやリスナーが満足どころか満腹までしてしまうというのが特徴的で、そんな彼の傍にいたいと思ったりもする
ただしこのイチジ・ニジはカワボ配信者が現れると即座に目からビームというギフトを投げ銭したくなるらしく、よく泥棒猫エミから殴られたりもするらしい
配信者1名+リスナー4名の5人からなる彼らは『麦わらの事務所勢』と呼ばれ、次回のリア学参加に向けて着々と準備に取り掛かっていた
このメタバース世界ではなりたい自分と言うものになれるのが特徴的
彼らはおそらく何かの海賊漫画か何かの影響を受けて、事務所勢のリスナーとなっているのだろう
そしてリア学を制したものというものは、最も配信王に近づけると言われているので、彼らが目指すべきは勿論リア学での優勝
多くのライバル配信者たちを押しのけて、彼らはライブ配信をしていく
視点が香奈梨へと戻る。
香奈梨は同じ立場にいるビギナー枠回りを行っていた
小説を書くのが好きという桜色の頭をした15歳ぐらいの女性ライバーと出会った
彼女は今年高校受験らしく、とりあえず絵を描いたり小説を書いたりするらしい。
こうやってみると、年譜音響や緑茶の家元と同じく、女子中学生がライブ配信やってることって大いにあるんだなと感じた
そして香奈梨は彼女たちに毎日配信を15分でいいから続けるように伝えていった
この世界にはREALTY症候群という恐ろしい病名があるらしく、配信を24時間以内に行われなかったら死ぬことも伝えた
彼女たちは半信半疑ではあるものの、自分の命が危ないと感じたのか、ノルマ配信をミュートですることを約束した
紫の髪色をした女性ライバーに香奈梨は出会った
彼女は今年二十歳になるとのことで、専門学校に行こうかどうか悩んでいた
色んな病に苦しめられながら、特にその中でも鬱病が発症してしまい、その中でも多くの悩みを打ち明けてくれた
しかし彼女曰く、今まで20年生きてきた中で幸せを感じたことはなかったが、今が一番幸せと言っていた
だから香奈梨はそんな彼女にこう告げた
「今までの20年間が不幸なら、これからの40年は幸せに生きないとね!不幸の2倍幸せを享受すれば、嫌なことも忘れられる」
楽しいことは2倍に、苦しいことは半分こ。伴侶となる相手がいたときには、まさにそういった分かち合いが可能なのだ
彼女には幸せになってほしいとそう感じる香奈梨であった
色んなビギナーと仲良くなった香奈梨にとって予想外のビギナーが現れた
彼女の名前は『雪』と言い、この子は18歳の女性ライバーだった
何がそんなに予想外なのか?彼女は現実世界で20種類もの病名を持つライバーだったからだ
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