第6話:応対も時は金成について
かにゃりーさんが入室しました
「初見様、来てくれてありがとう」
そう挨拶をしてくれたこの男性ライバーは、アバターが全て初期設定だった
私と同じ髪型の黒髪ショートヘア、赤い瞳、黒いパーカーを着ており、頭に花びらをつけていた
声の感じは人によってイケボだの言う人もいるが、私にとってはフツボという感じ
聞き取りにくいわけでもなく、特に機材を通して話しているわけでもないとう印象だ
「REALITY攻略サイトの管理人、応対も時は金成と申します」
そう挨拶をしてくれたので、私も挨拶をした
しかしこの人の配信・・・
枠外フォローの数がすげえなオイ!!1分毎にフォロワーが増えてるぞ
これはもしかして超絶人気配信者?
まあでもそうだよね、検索したら出てくるぐらいなんだからきっとこの人は人気ライバー
コツについて聞いてみるとしよう
かにゃりー:あの、どうしたらそんなにフォロワーが増えるんですか?
応対も時は金成は答えた
「そんなもん決まってる!!限界までフォローをするんだ
REALTYでは9,900人までフォローできる!!つまりだ、1日1,000人ペースでフォローをする
するとだいたい5人に1人ぐらいはフォロバしてくれる
それを繰り返すだけだ!!1週間で君もフォロワー1,000人超える!!」
な、なんだってええええ!?
応対も時は金成のフォロワー欄を見たら、なんと現在4,000人以上フォロワーがいた
しかしこれらは全て相互フォローから創り出すという、まさに前代未聞なやり方であった
かにゃりー:それじゃあ何ですか?あなたの支援者は結局のところどれだけいるんですか?
「そんなもんは分からん!!だが、この世界ではとにかくおすすめ欄や注目枠に掲載されなければ誰も人は来ない
目だってなんぼの世界、何よりまず人が来るような環境を作らなければ自分を売り込みなんて出来ない
普通に配信をしていても、自分の配信には人が来ない・・・向いてない・・・辞めよう
これが原因でREALTY症候群となるようだ」
REALTY症候群という言葉が応対も時は金成の口から出てきた
かにゃりー:そのREALTY症候群についてお伺いしたいのですが、その病名にかかった人は現実世界で死ぬのですか?
「残念ながら死ぬらしい。しかしそれを公表はされていない」
かにゃりー:え?どうしてですか?人が死んでいるのに、何故規制されないのですか?
「不思議なことを聞くな君は!!もしかして学生かな?」
かにゃりー:はい、私はまだ14歳の女子中学生です
「なら少し早いが大人の事情について教えておいてやろう。煙草は吸っても癌になるリスクがある
値段もどんどん上がる。しかし、煙草が日本から無くならない理由は何かわかるか?」
かにゃりー:え・・・分かりません
「麻薬もそう、所持しているだけで逮捕される。しかしそれがバレるかどうかは一旦置いておくが、何故これが無くならないのか?それはつまり、求めている人が存在しているからなんだよ」
かにゃりー:どういうことですか?じゃあこのゲームで死ぬ人を誰かが求めているということですか?
「それは俺も現在調査中だ!!だから攻略サイトの管理人をやっている」
どうやらREALTY症候群によって、人が命を失うことは本当のようだ
しかし聞く話によると、REALTY症候群はおそらく人間関係トラブルや、身体・精神への負担からなる病名だ
竜宮城の乙姫が言ってたように24時間以上ログアウトしてたら死ぬということに結びつくとは到底思えない
現に受験生・就活生も大勢命を落としているとのことだが、彼らは何故REALTY症候群となったのか?
次々と人が入室してくる
40秒に1人ペースで初見様が入室している
その度に挨拶をし、フォローされたりと忙しい様子だ
他の方は誰もコメントをしない
挨拶程度はしているみたいだ
「今日は皆様初めましての方が多いですね!!これを機に仲良くなっていただけると幸いです!!REALTY応対も で検索よろしく!!」
まあしかし、ライブ配信は確かに人が来てなんぼの世界
どんだけ歌が上手くても人の来ない海辺で歌っていても誰からも評価されない
それは単なる自主練習に過ぎず、本当のライブ配信という意味には程遠い
ある意味、この人の言うように本当のフォロワーじゃなくても、少なくてもこうして人が来ることは大事だ
しかし、それ以外にも何か目的は無いのか尋ねてみた
かにゃりー:フォロワーが増えたとしても、この人たちは次来るとは限らないじゃないですか。何のためにフォロワーを増やすんですか
「不思議なことを聞くな君は!!だが特別に答えてやろう!!全部サイトに載せてあるんだがな!!
フォロワーはいないよりいるに越したことはないが、このライブ配信のイチオシやおすすめ欄に掲載されるコツとしては、どれだけ共通フォロワーがいるかどうか、もしくは一度でも配信を見に来たかどうかが大事なのだ
そうすれば次配信した時に、たとえ相互フォローになってなくても一度でも来てくれればその人の視点でいくと、イチオシもしくはおすすめに掲載され、再度入室してくれる確率が上がるのと、もう一つメリットとしてあるのは
一度も入室したことのない人であっても、おすすめ欄に掲載されて、初見で入室してくれる可能性も上がるというわけだ
1,000人フォローする行為など、1日2時間もあれば余裕でいける!!それを1週間やるだけだ!!
確かに最初にたくさんの時間は経過するかもしれないが、それを最初にやるだけで配信は人でごった返しだ
後は推してくれるかどうか、それは当然リスナーに委ねられるが、まずは人が来なければ何も始まらない」
言ってることはめちゃくちゃだが、確かに1時間配信して0人より、1時間配信で30人でも来てくれたら確かに嬉しい
それに最初に大学生さんが教えてくれたように、たとえポイント回収業者であろうとも、人が集まるところに人が集まる
そう考えると、ある意味これは一つの戦術なのかもしれない
当然、そういうことが皆が皆出来るわけでもない、要するにやったもの勝ちというわけだ
かにゃりー:大変勉強になります。また来させていただきます。フォロー失礼します
「また君が来るのを待っているぞ!!」
上弦の鬼3さんが入室しました
私が退室しようとした瞬間に、一人のリスナーが入室した
上弦の鬼3:こんばんは
「今日も来てくれてありがとう!初見さんだね!!」
上弦の鬼3:そうとも、俺は今日初めて来た!!
かにゃりー:こんばんは、私も今日初めて応対も時は金成さんの配信に来ました
どういう人か気になったので、プロフィール欄を確認した
すると、エラーが発生した
???あれ???
何度プロフィールを押しても、上弦の鬼3のプロフィールが観れなかった
何でだろう・・・?バグかなと思い、聞いてみた
かにゃりー:応対も時は金成さん、上弦の鬼3さんのプロフィールを開こうとしたらエラーが発生して見れないです。応対も時は金成さんのプロフィールは見れるのに、これはどういうことでしょうか?
「うむ、それは君が上弦の鬼さんにブロックをされているということだな」
かにゃりー:え?ブロックですか?私この人と初対面ですよ?何で私ブロックされたの?
「上弦の鬼3さん、君はおそらくかにゃりーさんのプロフィールを見て即効でブロックしたんだと思うが何故ブロックを?」
上弦の鬼3:話の邪魔になると思ったからな、応対も時は金成。お前とのな
かにゃりー:え?
「話?俺が君と何の話をする?初対面だが、俺はいきなり君が嫌いだ」
上弦の鬼3:俺も明らかなビギナー丸出しのリスナーを見てると即効でブロックをしたくなる。どうせこいつらはリスナーにはならず、すぐにライブ配信アプリを辞めようとするからな
何なんだろう・・・この人は。初対面なのに、失礼にも程がある
でも、竜宮城の乙姫の配信時にも変なリスナーはいたけど、まさかこの人も・・・
それにしても、この名前センスからして、なんかどっかの漫画に出てきたキャラ名な気がして仕方ない・・・
「それで今日君は何をしにここへ来たのだ?」
上弦の鬼3:そうだな、応対も時は金成。素晴らしい提案をしよう。お前も『ライバー事務所』に入らないか。
突如始まった、個人勢VSライバー事務所勢の戦いであった
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