2012年9月 T氏のパソコンにあった宣言

 1977年に始めたこの遊びもしばらくはやっていなかったが、閑職へと左遷された今、再び始めようと思っている。


 あの頃と違い、動画が簡単に撮れて送れるようになった昨今、これはとても安上がりに行えるデスゲームだ。


 島に中学生を42人も集めなくても、多額な賞金をチラつかせて貧乏人たちを集めてだるまさんが転んだをやらせなくても、お茶の間に居ながらお手軽にデスゲームが出来るのだ。


 手法としては、ある地方に集中的に、歯の生えたひな人形の動画を送る。『この動画を見た者は狂って死ぬか、身代わりを殺せば生き延びられる』の文言を添えて。メアドは流出した個人情報を闇のルートからいくらでも買えるから送り放題だ。


 そして2ヶ月ほどその土地の地方紙を取り寄せて、その動画が原因で自殺か人を殺した記事が出たらデスゲームが成功したといえる。


 数万通もあんな動画を送れば、1人は頭がおかしくなる奴がいて人を殺すことだってあるだろう。あくまでも確率の問題だ。


 私はこれからも呪いの動画を送り続けるだろう。


 そして地方紙を心躍らせながら読むのだ。朝の紅茶を飲みながら。

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