眼球と乳歯。

北海道M新報 2012年10月12日付

　M市N町で深夜未明、隣家から男女の争う声が聞こえると通報があり、警察官2名がSさん宅に駆けつけ、男女が刃物で刺されて倒れているのを発見した。

　すぐに救急搬送されたが、2人とも死亡が確認された。亡くなったのはこの家に住む崎守湊(さきもりみなと)さんと妻の美雪さんで、湊さんの手には刃渡り15cmの包丁が握られており、崎守さんが妻の美雪さんを刺して無理心中を図ったとみて道警が捜査を進めている。

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私はその晩、聞いたんです。『かいわきらいですか』という声を。不気味な、地の果てから聞こえるような声でした。

父と母が殺された時、私は押し入れにいて、戸の隙間から一部始終を見てました。あの『男』が両親を殺したんです。　

　両親を家にあった包丁で刺した後、倒れた父の手に包丁を握らせて逃げて行ったんです。

　指紋や足紋も第三者の物は見つからなかったですって？　犯人は手袋をしてましたし、靴はビニール袋に入れて縛ってありました。

　刑事さんは私の話を信じてくれないんですか？　家に大麻があったからですか？　幻覚でも見たのだろうって？　そんな、私は大麻なんて吸っていません。見たことだってないんです。

　あの殺人犯が私の証言を無効にするために置いていったんです。

　あのさつじんはんが、ハハ、わたしのはなしを、むこう、にするために、おいていったんですよ、ハハ。わたしはたいまなんてすったことありません。ハハ。みたこともないですよ。

　ハハ、べらんだからとびおりていいですか？