異世界マンション~マンションの管理者に選ばれました。一緒に住む住民を俺が選べるらしい。しかも、ここで得たアイテムやステータスは現実世界にも影響するそうです~

I.G

第1話 ご都合生活始まる

「お前のせいでうちの

家計が大変なんだよ!

さっさと出ていけ!」


「おい、お前臭いんだよ」


「ここはお前みたいな小汚いやつが

来る場所じゃないぞ」


どこに居ても悪口を言われる。


親を亡くして五年。

親戚に引き取られた俺は

暴力を振るわれていた。

もともと俺の親の相続金

目当てだったから、

それを使い果たした

親戚にとって俺はもういらない

存在なのだろう。


おかげで、顔や体はあざだらけで、

風呂にもろくに入れていない。


そのせいで、学校の連中には

いじめの標的にされていた。


「はあ……」


ついに、家を追い出された。

頼る場所もない。

警察署に行けば

助けてもらえるのだろうか。


いや……助けてもらって

どうすんだよ……

どうせあの親戚の家に強制送還だろ。


それに、生きていたって

何も楽しいことがない。


今が苦しくても

きっと未来は明るいなんて

言う奴がいるが、

それは今が幸せな奴が言う台詞だ。


現実にはどうしようもないことがある。


「死のう」


俺は車が行き交う

道路へと飛び出した。


急ブレーキの音と共に

体に激痛が走り、俺の意識は途絶えた。


その直後、俺は再び目を覚ました。


い、今……俺轢かれたはずじゃ。


『起きましたか? 成瀬敬』


そのとき、誰かがそう囁いた。

周りを見渡しても誰もいない。


「だ、誰だよ!?

ここはどこだ!?」


『落ち着くのです。成瀬敬。

私は見習い女神のルーナと申します。

そして、ここは生死のはざま。

貴方は一度死んだのです』


「死んだ?

確かに……

その目的で車に飛び出したけど」


『貴方は生命体として

あるまじき自殺をしました』


「よ、余計なお世話だよ!

てか、女神? 嘘つくな!」


『信じる必要はありませんが、

嘘ではありません。

ですが、ならば貴方にこの状況を

説明できますか?』


「この状況を……」


無理だ。

声が耳からじゃなくて、

直接脳に語り掛けられているような

不思議な感覚がする。


これは今まで経験したことがない。


『では、更に私が

少なくとも人ではないことを

証明しましょう』


そう言って女神が指パッチンを

したような音が聞こえた直後、

暗闇だった空間が広大な

荒野に変貌した。


「えええええええええ!?」


あまりの出来事に腰を抜かしてしまった。


「な、なにこれ!?

どういうこと!?」


『ここは私が統括する空間。

貴方の世界の言葉でいう異世界です』


「異世界?」


『はい。これで私が人間ではないことを

証明できたでしょうか?』


これは信じざるを得ない。


「ま、まあ……けど……

何で俺をこんなとこに?」


『後ろをご覧ください』


俺は後ろを振り向いた。


そこにはこの荒野には似合わない

1棟のぼろいマンションが建っていた。


『これから成瀬敬には

このマンションに住んでもらいます』


「は? ここで? 俺一人で?」


『いいえ。まだまだ住民は増えます。

そして、このマンション。

いえ、この荒れた地を

開拓して欲しいのです』


「俺に? 俺……高校生だぞ?」


『ご安心ください。

私がサポートします。

それに貴方は

ただ想像するだけでいいのです』


「想像?」


『私は人の感情が

未発達な状態にあります。

どうすれば、これからここに

住む人々が喜ぶのか分かりません。

ですので、貴方のアイディアを

借りたいのです』


「ま、待ってくれ……

意味が分からん。

えっと……俺はとりあえず、

ここでいろんな住民と

暮らせばいいんだよな? 

その人達が喜んでくれるように

アイディアを出して」


『はい』


「やることは分かった。けど、

何でそれをする必要があるんだ」


『私が見習い女神から

女神に昇格するためです』


「は?」


『これは神が私に

与えた試験なのです。

人の心を学ぶために、

この荒れた土地で

多くの人を喜ばせろと。

その喜びが幸福度で数値化され、

100%になれば、私は女神になれます。

ですが、私の力だけではそれは不可能。

そんなとき、

命を断とうとした貴方を発見しました。

死ぬくらいなら、

私に協力していただけませんか?

貴方にあそこのマンション、

そしてこの世界の管理者に

なってほしいのです』


「つまり……労働をしろと?」


『そうです』


「嫌だぞ! 何で死んでまで

そんなことしないといけないんだ!」


『見返りがあると言っても

駄目でしょうか?』


「見返り?」


『はい。

一つ目は貴方を

現世で復活させます。

二つ目は現世と

この世界をリンクさせます。

三つ目は貴方は永続的に

何があろうとも、

この世界の管理権を保有できます』


「ごめん。

あんまよく分かんなかった」


『なるほど……

では、貴方は人の雄ですし、

この説明が最も効果的ですね。

貴方はこのマンションで、

貴方が選んだ多くの女性と

生活することができます』


「暮らします!」


────────────────────

ここまで読んでくださり、

ありがとうございます!


作者のモチベーションに繋がりますので、

面白い! 続きが読みたい!

と思ってくれた方は、

是非とも【レビュー】【スター】【いいね】

の方をよろしくお願いします。

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