第23話

「これは」


俺の前に出されたのは、全ての始まりというべき聖宝珠だった。


「賢者を探しているうちに、1つだけ見つかったの」


こんなもんが見つかっても、意味はない聖宝珠は願いに比例して、クールタイムが長くなる


「次は700年後それじゃ間に合わない」

「ねえ、鋼はどうしてそんなに、急いでいるの?」


急ぐ?俺が?そう見えているのか………いや、ちがうな俺は急いでいたんだ。


「聞かせて、この世界に鋼くんが来た理由わけを」


話でいいのか?あの事を、いや待てよ。もしも、もしもだ俺が勇者に負けたら、解剖されるそしたら、どっちにしろか


「少し長くなる、それでもいいか?」


―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――


俺は、当時孤児院にいた。俺が17の誕生日の時に、おばちゃんに言われた。


「いやわかってたけど、やっぱりさ」


孤児院には、両親が死別しただの、さらったけどここにつれてくるだのが、わりかしいた。俺もそっちかなと少し思ったりもしたが


「あんたはね16年前この孤児院の前に捨てられてた。この紙と一緒に」


おばちゃんが、俺にその紙を渡してくれた。16年もの間保管してくれていたのか、この日のために


『この子の名前は、あなたが決めてくださいそして、この事を誰にも話さないでください。命の保証はできかねます』


その文章から読み取れることそれは、俺はやはり捨てられていたということ………そんなことはわかっていたが、もう1つはっきりとしたことがある


「俺の名前おばちゃんが、考えてくれたのか?」


抗哲鋼こうてつはがね少しおかしいとは、思っていた。いやだって苗字と名前がここまでマッチすることが、あるのかと少し疑問だった。


「ダサい名前だと、思うかい?」

「いや、その逆だよ。かっこいいじゃないか」


鉄よりも、強い鋼それが俺の名前になった。それだけで十分だった。ただそれはそれとして


「俺を、捨てた人間心当たりはない?」


俺を捨てた人間を、許せなかった。敵討ちになるのかわからんが


「ないが、捨てた理由は理解できなくもない、というかこれも話そうと思っていたが」


話そうと思ってた理由?そんな物お金がないだの、責任能力だのではないのか?


「お前は心臓が逆に着いているんだ」


理解ができなかった。いやよくわからなかったの間違いか


「心臓が逆?そんなわけ」


おばちゃんが、先日行った健康診断の紙を出す。そういえば俺はこれを、毎回のごとく見ていなかった。おばちゃんに預ければいいと思って


「これを見れば、解るだろう?」


レントゲン写真には、心臓が写っていた。しかし


「心臓が右にある」


驚いたっちゃ驚いた。だがかなりの割合でそういう人はいる。なのに何で俺は捨てられた?


「それのせいだろう、実際いじめの被害にあっている人もいる。だから気味悪がって、お前を捨てたんじゃないのか?」


そんなの…そんなの自分勝手だ!


「鋼お前が、捨てられた時近くには、白衣の男がいたらしい実際に見た訳では無いが」


白衣ってあの、白い服そんなのが、どうして……俺を捨てたのは一体何者なんだ。


「子供は、生まれた時必ずその名前を、市役所に送られるが、その前に病院に行ったほうがいいだろう」


市役所に、そのまま行ってはだめなのだろうか?いや、そんな事を考えている暇ではない


「病院の、先生なら俺を知っているということか?」

「いや白衣なら、病院の先生と思ったから」


わりと適当だが、いい線いっていそうだ。俺はおばちゃんに、頭を下げた。死ぬかもしれないのに真実を教えてくれたコトにだ。


「真実を知ったら、戻ってきな」


俺は、レントゲンをごみ箱に捨て、身体検査の結果だけをもった。


………………………………………………………………………………………………………………………………………

病院


「そうか君が、あの時の」


かなり適当だが、近くの病院にとりあえず言ってみた。そうするビンゴだったらしい。


「私は、そうだね君の命の恩人ってところかな?」


眼の前の先生が、そんな事を言っていた。自分で言うことではないだろうが、どういうことだ?


「君はね、簡単に言えば殺されそうになっていたんだよ」


は?俺は捨てられるよりも前に、殺されそうになっていたというのか?


「私は、知り合いの手術をした。でも意味はなかった。その後死んでしまったからでもね、その父親の代理人が現れた。簡単に言えば愛人だったんだけど」


愛人だった?夫婦ではなく…まさかそんな


「君の思う通り、君は不倫相手の子供だったんだよ。あの金剛コンチェルンのね」


金剛コンチェル…といえば世界をまたぐ巨大会社っては?


「俺がそんなんの息子だって?冗談きついですよ」


そうは言いつつ、俺は知っていた。この人の目は本気だ。嘘をついているとは到底思えない。


「そうか、不倫相手の息子で、しかも心臓が反対についている、そんな奴いたら企業の汚点だから、俺を捨てたのか」


ますますイラついた。そんなやつを俺は必ず許さない


「君には、つらい思いをさせたがもう………」


眼の前で、先生が頭から血を流し倒れた…脳の整理が追いつかないが、その時だった。頭の後ろに冷たい感触を感じた


「動くな金剛機一こんごうきいち


動くな、本当に殺しに来たのだろう、銃を頭に突きつけて後ろで話し声がする。トランシーバーか?


「玉出孤児院は、制圧しました」

「そうかわかった。」


トランシーバーの通信が切れた。そうか、本当に命の保証はなかったのか


「1つ聞いてもいいかな?」


本当は、わかっていたがそんなの聞き入れてくれないとだが


「いいだろう冥土の見上げだ」


わかってくれる人で良かった。


「俺の本当の名前は本名は、金剛機一こんごうきいちでいいんだな?」


それだけが知りたかった。孤児院のことを聞かれると思って少し動揺しているのか。銃の握る手が一瞬弱まった。


「ああそうだ」


それが、しれただけでも


―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――


「その後は、知っての通りお前に出会って、大会で戦ったんだ」

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