第99話 お前かよ‥‥‥‥

 カラカラカラカラ‥‥‥‥


 もはや鉄くずとなった元『杖』を引きずりながら、キャンキャン喚いている『丸石』に近づいていく。


『聖女の私が造った「アリサの杖」何壊してくれてんのよっ!!この私自ら作り出した、ちょ~貴重な杖なのよッ!』


「リオさん、気を付けてください。私に『呪詛』を掛けたのはアイツです。『投影』術らしいですが、こちらに干渉しますので気をつけてください」


 ─────ほぉ。コイツ?

 姫さんの城に集団でカチコミかけて、散らかすだけ散らかした聖女モドキ。 

 なるほど、能力は高そうだ。

 

 カラカラカラカラ‥‥‥‥


『そこの「おかめ女」もムカつくッ!なんでイケメンばっかアンタの所に集まるのよッ!おかしいじゃない!この『アンへファータ女神』の巫女である私に跪くべきなのにっ!』


 カラカラ‥‥カラ

 へえぇぇぇぇぇ‥‥‥‥


 ─────ぞんっ

 

 リオの背中を見ていた全員が、いきなり空気が重くなるのを感じて、皆いっせいに顔色が悪くなる。


「‥‥‥‥へえぇぇぇぇぇ。何アンタ、あのピンク頭の手下なんだ?ふ~~ん」


 カラン‥‥‥‥コツ。


「なによアンタっ!? あぁその顔日本人じゃないっ!どうせモブ組でしょッ!女神『アンへファータ』様に選ばれたこの私に従うべきじゃないっ!」


 ‥‥‥‥はぁ?何言ってんのコイツ‥‥‥‥


「‥‥‥‥クソガキ。嘗めたこと言ってると、その頭カチ割るぞ‥‥‥‥」


「なに偉そうにイキってんのよ!どうせ中途半端なチート貰ってるんでしょ?この『聖女』の私にかなうわけないじゃないッ!だっさ!」


「 『縛』 」


 ─────ぱきっ


 リオ短く『術』を行使すると、喚く女を形作っていた粒子がカチっと固まった。


「‥‥‥‥え、ええ!?なんで?ただの姿を投影してるだけのに!何で術がとどくわけ!?おかしいでしょ!?バグ!?」 


「さぁ~~て。なんでだろうねえぇぇぇ~~」


 ─────コツっと杖の尖った先で、丸石の動きを止める。


 自分ではとってもいい笑顔を作っているハズだが、何故か相手はビクッと引く。

 何ビビってんのかな~まだ(?)何もしてないじゃない~さっきまでの勢いはどうした~。ビクつくじゃないよ?


「ピンク頭の聖女さんとやら?一応確認しとくわ。‥‥‥‥ビルから飛んだか?」 


 ─────この世界に来るために。 


 地を這うような低い声の問いに、クリスティーナだけは「‥‥‥‥え、まさか。うそでしょ」と『縛』で固定された自称『聖女』を見やる。


「『私の時代がはじまる~』とか『逆ハーレムでウハウハ~』とかいう頭ン中花畑で、頭弱そうな台詞に覚えはあるか」


「─────な、なんでアンタが知ってんのよッ!」


 ─────はい確定。


「は~い、決定。ピンク頭共々、アンタもこの私が『 潰してあ・げ・る 』」


 ─────にいぃぃやぁぁぁと、とってもいい笑顔が殺気と共に向けられる。


「なにこのモブ、ヤバい奴じゃん!」


 本気の殺意を向けられる────『恐怖』。本体は離れた安全な場所にいるはずなのに、ガクガクと勝手に身体が震えてくる。


「私の事殺して、尚且つ至福の時を奪ったよね~。推しを愛でる時間を奪ったんだよね~万死に値するよね~~─────『 結 』」


 ─────ガチっと、幻影体と本体がリンクする感覚が走った。


「─────なによコイツ!モブのくせにっ!」

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