第97話 かっこ悪くない?

 お姫さんの説明によると、只今地面にめり込んでる不審人物は、帝国とやらのいい所のお坊ちゃまで、好奇心で魔法を極め、どこぞの賢者をボコって隠居に追い込み、それに飽き足らず次は剣術にも手を出し、これまたどこぞの剣聖を再起不能になるまでボコボコにボコって、これまた消息不明にまで追い込んだ。


 暇になった奴が次に挑戦する相手を探した先は、なんと教会。

 何をとち狂ったのか、奴は『神』に挑戦しようと教会へ乗り込んだらしい。


「姫さん‥‥‥‥。神様は、教会で実体化して待機してるもんなの?」


  頭によぎったのは、ゲームやアニメの世界の話。ああいう世界観ならば、ラスボス的に神様待機もありえる話なわけで‥‥‥‥。


「‥‥‥‥そんなわけ無いですよ。大体がその教会が信仰する神の像とか、絵があったりするだけですよ。 ─────ただ、特別儀式の際には顕現したりはします‥‥‥‥めったにないです事ですが」


 ある事はあります─────。


「という事は、リアル神様に道場破りってやつか。ん?まさかコイツ神様ボコったりは‥‥‥‥」


「したんです。その時は小さい教団の『神』だったらしいですけど」


 ─────うわぁ。


「‥‥‥‥どこかの宇宙人かなぁ‥‥‥‥」


 自分の頭の中には、某アニメの登場人物がOPと共に浮かんでしまった。  


 どうやらこの世界の神様は複数おり、大なり小なり教団が存在するらしい。

 だから一柱くらい消えても、大した問題とはならないし、他の教団からはあぶれた信者を取り込むチャンスと歓迎される。

 

 そうなると今度は、件の危険人物を自分の教団に言いくるめて取り込み、上手く使おうという輩が現れた。

 なにせ本人の見た目が良いから、聖騎士の恰好をさせて表に立たせれば、女性入信者がウハウハ寄ってくるし、坊ちゃまの実家からは「あ~そこ行きましたか、面倒かけてすいません」とばかりに寄付金がたんまり入ってくる。

 本人さえ大人しくさせておけば、教団としてはウハウハなのだ。


 とはいえ当人は基本自由人なわけで、ずっとその教団にいる事はなく「やっぱちょっと違った」とばかり次の日には、ふらっと違う『神』に会いに隣国まで出ていく始末。─────ついた渾名が『流れの聖騎士』

 


「平常時はちゃんとしてるし、能力的に問題も無い人ですから、逆に始末が悪いです‥‥‥‥」


「姫さんの所にも来たの?」


「うちの国には二年位前にいました‥‥‥‥。仕事はちゃんとできるんですが、『神』にはいつ対戦できるのかって無言の圧が凄くって‥‥‥‥うちの司祭様が見かねて滾々と説教をしてたら、いつの間にかいなくなってました」


 ─────うちとしては逆にホッとしたぐらいです。私の守護神は戦闘に向かない神様ですし。

 

 それに本人は一人で何でもできるつもりで行動してる様ですけど、もれなく帝国のお偉いさんが付いてくるんです。お付きも大量に来るんです。面倒なんです。


 その時の事を思い出したのか、お姫様からは「はあぁぁ」と疲れたため息が漏れた。


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