第55話 やっぱ無理

「違うだろっそうじゃない(小声)!」


 わうわうと、犬語を交えながらシロ君から抗議が来る。そんな器用な事で来たんだ。

 

「そこじゃないだろ。あのおっさん微かだが、なんか交じってるぞ」


 ん~~自慢じゃないが自分は、シロ君ほど細やかじゃないんだよね。何かあると言われても、見えないし感じないんだよね。こういう時は『サーチ』でいいのかな。バレると後で色々面倒そうなので、シロ君に盾になってもらって「小っちゃくちゃんと表示しろよ」と念じておっさんに『サーチ』をかけてみる。


『名前はですね‥‥‥‥』

「それはいい」

『年齢は‥‥‥‥』

「どうでもいい」


 小っちゃくと指定したからか、画面は小っちゃいが、知りたいところが出てこない。

 ─────何?私のレベルが低いの?松茸ちゃん探してた時は、サクサク機能してたよね?まあ、あの時は「嘗めた真似すんなよ」とは言いましたが。

 ─────まさかこれが『サーチ』の標準仕様?


『‥‥‥‥えとですね、対象者。毛根死滅から十五年たってます‥‥‥‥』

「‥‥‥‥そこじゃないらしいよ」


 自分もさっき言われたから、そこは強く言えない。


『‥‥‥‥え~と対象者。左足を欠損しています』

「─────で?」


『‥‥‥‥傷口から体内に、少量の毒素が入り込んでます』

「毒素?菌みたいなもの?手当が不十分とか?」


『‥‥‥‥魔術に操られた魔獣により、故意に入れられてます。遅効性の性質を持ち対象者を死に至らします』


「魔術?故意?」


 ちょっと変なワードが出てきたな。


『‥‥‥‥建物内に、毒素に、侵されている者、数名、確認』


 なんか、ワードがカクカクしてきたな。バクか何かかな?


「どうかしましたか?何か分からない事でもありました?」


 動かなくなった私を不思議に思ったのか、お姫さんが布をヒラヒラさせながらこちらにやってきた。


『‥‥‥‥魔術の系統、『アンへ・ファータ』教、と確認』 


 ─────ほほう。アイツの仕業かな?まあ、アイツはゴミ箱に入れちゃったから、もういないんだけど


「リオさん?」


「─────んふふふ。ちょっと予定変更」


 不気味に笑い出した私に、引き気味に立ち止まるお姫さん。 


─────ブワっと風が渦巻きだした。同時にキラキラした物が一緒に飛び回る。


「─────え、ちょっと」


「あはははははは─────っ!私はピンクは我慢ならんのよねっ!大掃除よ大掃除っ!─────『サーチ』『探索』広範囲でっ!」


 ─────掃除は最後まで、がっつりやるよっ!


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