第369話 二度目の選手権決勝戦 立見VS牙裏
※登場する人物や学校やクラブなどは全て架空であり実在とは一切関係ありません。
冬の木枯らしが吹かれ真冬の厳しい寒さが襲う今日の国立競技場。
天気予報では雪が降るという事だが今の所は降ってきていない、ただ空模様は何時降ってもおかしくなかった。
『冬の冷たい風が吹く国立競技場にて行われる高校サッカー選手権ファイナル、この一戦で冬の選手権を制するチャンピオンが決まります!』
最初にフィールドに入って来たのは審判団、彼らに続き左右の列からユニフォームを纏う選手達が登場する。
左の列に立見、右の列に牙裏だ。
決勝戦を戦う彼らに対して大歓声が出迎え、冬の国立競技場は大きな盛り上がりを見せている。
『決勝戦、勝ち上がって来たのは立見高校。今年は鉄壁の守備力が健在なだけでなく攻撃力でも注目されています、今大会2桁得点の試合を達成し前回大会の選手権を制覇し更に夏の総体も制覇、高校サッカー界の王者として堂々とした成績を誇ります』
『前回の選手権で活躍したメンバーに加えて新たに加わった1年が上手く融合してチーム力が増してますね』
『その立見の相手となるのが今大会のダークホース牙裏学園、予選の決勝戦で全国常連だった昇泉を10ー0で下し界隈を騒がせた彼らは今大会でも躍動、立見と同じく2桁得点の試合を達成しただけでなく総得点で1番となり守備でも今大会無失点と劣らぬ成績でこの決勝に来ています』
『彼らの勢いも凄まじいものが感じられますね、攻守で優れた力を持つチーム同士がぶつかり合うとどうなるか…この決勝戦目が離せませんよ』
実況の方でそれぞれのチームについて紹介される中、フィールドでは立見の間宮、牙裏の佐竹、両チームのキャプテンが審判団の前まで進みコイントスで今日の試合の先攻後攻を決めようとしていた。
コイントスの結果、牙裏の先攻となってキックオフは彼らから始まる。
「うちの先攻だ」
牙裏のメンバーが集う輪の中へと戻って来た佐竹はコイントスの結果を皆へと伝えた。
「だったらいきなり仕掛けるか、うちの攻撃に対して立見の頭に警戒心を植え付ける。それで向こうの攻撃が狂ってくれれば儲けもの、更に先制となれば大儲けだよ」
チームの参謀である春樹が奇襲を提案、伝えられた作戦に皆が頷く中で春樹は更に作戦を伝えていく。
「俺ら後攻だ、あいつらの攻撃力を考えると序盤は攻めて来そうだな」
「来ると思いますよー、向こうのストライカーさんはやる気充分みたいでしたから」
立見の方でも間宮がコイントスの結果を皆へと伝え、牙裏がいきなり攻撃に出ると読めば弥一も同意。
皆が攻撃に備えて気を引き締めていく。
「もう優勝は目の前、話は簡単だ。牙裏をブッ倒して俺達が2連覇を達成する。此処まで来て負けて悔しい冬を過ごすなんて嫌だよな?」
円陣を組んだ立見、間宮がそう言葉を投げかけると皆が頷いて答える。
「だったら何時も通り勝って終わらすぞ!立見GO!!」
「「イエー!!」」
間宮の掛け声、その後に皆が声を揃えた。彼の掛け声もこの試合で最後、名残惜しさもありつつ皆が散ってポジションへと向かう。
ダークブルーのユニフォームの立見高校、GKの色は紫。
グレーのユニフォームの牙裏学園、GKの色は赤。
立見高校 フォーメーション 3ー6ー1
石田
9
氷神(玲) 緑山 氷神(詩)
8 10 7
影山 川田 田村
14 5 2
立浪 神明寺 間宮
16 6 3
大門
22
牙裏学園 フォーメーション 4ー4ー2
高柳 酒井
9 10
若松 佐竹 岸川
7 8 11
天宮
6
渡辺 但馬 津川 丸岡
2 5 4 3
三好
1
両チーム共にポジションへと着いて、センターサークルには牙裏の狼騎と高柳がボールの前に立つ。後は開始のホイッスルを待つのみ。
その中で春樹は相手側の方に居る弥一の方へと見据えていた。
「(弥一…立見に居てあの人と同じ背番号を着けて頂点に立ってられるのも今日で終わりだ)」
まるで弥一に対して仇のような敵意を持つ春樹、勝也を崇拝する春樹にとって弥一の存在は昔から気に入らなかった。
今まで共にサッカーをして来た人が年下の彼に対して弟のように可愛がり、彼を凄いと頼っていた事。
自分の方が長く居たのに、自分の方が勝也を理解していたつもりなのに。幼いながら春樹は弥一に対して強烈な嫉妬心を抱くようになる。
「(お前は所詮勝也さんに付き纏う金魚のフンに過ぎない、そんな奴に負ける訳無いんだよ!)」
世間で弥一が有名となり高校のスーパースターとなろうが、春樹は弥一を認めようとしない。
勝也を追い掛けているだけの奴には負けられないと。
ピィーーー
『とうとう始まりました決勝戦!今回の冬のチャンピオンとなるのはどちらの高校か!?まずは牙裏がボールを回して…っと、天宮左へと大きく出した!』
開始のキックオフが鳴って歓声が起こる中、狼騎が軽く蹴り出して高柳が後ろに戻す。
ボールを牙裏の司令塔であるキャプテンの佐竹が持つと、後ろからこっちだと春樹の声がして佐竹は左足のヒールで送る。
これを春樹が左足でワントラップしてボールをコントロールし、球を浮かせると浮き球が落ちて来た所に右足で大きく左サイドの前方へと出した。
「(なんでぇ、デカ過ぎだろ)」
これに追い掛けていた田村はパスが大き過ぎて、ゴールラインを割ってゴールキックだと思って全力疾走はしない。
「!追いかけろ!後ろ来てるぞ!!」
そこに間宮から追えという声が出た、ボールを見ている田村からは見えなかったが間宮からは見えてしまう。
開始直後に軽く蹴ってから左へと一気にトップスピードに乗って走る狼騎の姿が。
「な!?」
驚きつつも田村が走るも狼騎が一歩先を行き、ゴールラインを割る直前でこれをそのまま左足で合わせ、ゴール前へとクロス。
高柳をターゲットとしたボールに立浪がヘディングでクリア、長身でヘディングに自信ある彼が空中戦で勝利。
「クリア!クリア!」
立見のゴールマウスを守る大門から一旦大きく蹴り出してクリアとコーチングの声が飛ぶ。
だがボールは牙裏、佐竹がセカンドへと迫っていた。
佐竹は直接これを右足のミドルで狙うも彼をマークする川田がそれを許さず、左足のブロックで佐竹のミドルシュートを阻止。
再びボールがこぼれ、落ち着かない状態が続くと田村がこれを拾いに行く。
「うお!?」
だがそれを拾う前に狼騎が素早くボールに追いついた、直後に左足でエリア外からのシュート。
ファーストシュートは牙裏、立見ゴールへと低い弾道でボールが向かっていた。
これを大門が体の正面でボールを掴み、そのままフィールドに蹲る感じでボールに覆い被さりキープ。
「ナイスキープ大門ー!」
ようやくボールが立見に渡り、弥一はしっかり取ってくれた大門へと称賛の声を掛ける。
「っぶねぇ、あの野郎いつの間にあんな詰めて来やがったんだよ…」
狼騎の立ち上がりからのプレーに冷や汗をかかせられてしまう田村、ポジションに戻る彼の背中を見ながら呟く。
気を抜けば一気に餌食となりかねない、狼の牙は常に狙っている。それを教えられた序盤の立ち上がりだ。
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此処まで見ていただきありがとうございます。
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弥一「これを書いてる頃まだ現実は11月だけど今年は本編の通り冷え込むかなー?」
大門「うーん、どうだろ?雪が降るぐらいに冷え込むんだったらしっかり暖かい格好してカイロとかも持たないとな」
優也「雪か…何か降るのかどうか曖昧だったな、降ってきて雪の量によっては試合に影響してくる可能性あるぞ」
摩央「さっびぃ…!夏の猛暑がもう懐かしいわ…!」
弥一「あ、そうそうー。キャラに対する質問とかまだまだ受け付けてて募集中なのでどんどん送ってくれるとありがたいです♪」
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