第131話 3回戦注目の戦い、真島VS前川
※登場する人物や学校やクラブなどは全て架空であり実在とは一切関係ありません。
立見の3回戦が終わり翌日、試合後は完全休養のオフとなり学校も休みの為に自宅マンションで起床した弥一の目覚めは遅いものだった。
「あ~、やっば…結構時間ギリだった」
寝惚けた頭を覚醒させようと意識が半分夢の世界に居座ったまま、弥一は洗面所で顔を洗い時間を見ればこの日行われる事がもうすぐ始まると分かった。
昨日帰る途中のスーパーで朝食として買っていた数個の菓子パンやサンドイッチ1個とオレンジジュースを友にスマホのライブ配信を見る。
映し出されたのはサッカーの試合会場、弥一達の立見も参戦している高校サッカー選手権の東京予選だ。
時は少し遡り数十分前。
3回戦を迎えるBブロックトーナメント、この3回戦で両ブロック通じて注目の対決となる真島VS前川の試合が此処の会場で行われるとあって会場はほぼ満席となっており両校の応援準備も進められて行った。
東京No1ストライカーの鳥羽が居る真島が勝つのか、古豪の前川が勝って久々に表舞台へと出るのか。
様々な予想が飛び交い下馬評では総合力で勝っている真島が有利と見られている。
その世間がどう見ようが自分達が勝って次へと進む、前川のロッカールームでは最終確認の為ミーティングへと入っていた。
「総合力の高い真島で分かってると思うが攻撃の中心となっているのが鳥羽、峰山だ」
ホワイトボードの前で前川の監督は選手達へと試合に向けて真島の要注意すべきポイントを説明。
「この2人の動きには特に注意、序盤は様子見て守りを固めていく」
真島の2人からは決して目を離さないようにと選手達へ伝え、序盤の前川は守備重視で行く事を決めていた。
一方の真島ロッカールームでも同じようにミーティングは行われている。
「前川は今大会此処まで無失点と好調で来てる、彼らの守りは一級品と見ていいだろう」
「うちも無失点ですよね」
「俺らはまだ1試合だけだろ」
監督が前川について改めて説明、初戦から登場している前川は3連勝で2次トーナメントへと進出し3回戦此処まで一度の失点も無し、その事を言えば鳥羽が茶々を入れるかのように自分達も無失点だと言えばすかさず峰山からツッコミの言葉が入る。
これに真島のロッカールームからは笑いが発生、それぞれリラックスしたムードだ。
「あー、まあとにかく前川の守りを崩すのは一苦労しそうだが守りだけでなくテクニシャンの細野による攻撃の組み立ても中々厄介だ。攻守共に前回以上に気をつけなきゃならない」
監督の軽い咳払いからミーティングは続けられ、こちらも前川の要注意するべきポイントを再確認していくとスタメンのメンバー達はロッカールームを出てユニフォームを纏い試合へと臨む。
『3回戦、両校にとって早くも一つの山場となるでしょう。真島と前川、強豪と古豪の激突となるこの試合でどちらかが散る事となってしまう今回のブロックトーナメントの組み合わせです』
『Bブロックはこの2校に加えて桜王まで居ますからね、これは今回激戦のトーナメントとなりましたね』
緑をベースに黒いストライプ入りのユニフォームを着た真島、GKは青。
黄色のユニフォームを着た前川、GKは白。
真島高等学校 フォーメーション 3-5-2
佐藤 鳥羽
9 10
谷口 峰山 山本
7 11 8
戸田 黒川
6 5
真田 田之上 矢野
16 4 2
田山
1
前川高等学校 フォーメーション 3-5-2
奥田 島田
11 10
巻谷 細野 今野
8 7 9
山田 加藤
6 17
山口 河野 谷川
3 5 4
岡田
1
真島の方は夏とほぼ同じメンバーだが1年の真田がスタメンに定着、立見戦でスタメンDFの早坂が負傷してから彼が出場し続けて今のスタメンの座を勝ち取っていた。
前川は特に大きな変更は無い、この真島戦でも何時も通りほぼ不動のスタメンで今回の試合を戦う。
「(んー、鳥羽さんと岡田さんどっち勝ちそうかなー)」
スタメンの発表をスマホ越しで卵サンドにかぶりつきながら見ていた弥一、どちらとも対戦経験を持っており力を知っているのでぶつかればどちらが勝つのか予想は難しいものとなる。
真島は主力が鳥羽であるなら前川の主力は岡田だと弥一は考えていた。
あの執念深い岡田のセービングは立見の方でも手を焼いた程であり終了間際に優也がなんとか1点を取ってくれてかろうじて立見が勝利した支部予選、一歩間違えていたらそこで立見が消えていたかもしれない。
真島でも手を焼くかもしれないが真島は初戦で壁代相手に4-0、鳥羽のハットトリックと堅守が自慢のチームから多くのゴールを決めていた。
強くなっているのは立見だけではない、前川も真島も夏に強化していき今回の選手権へ乗り込んで来たのだ。
そして強化されたのは彼らに限った事じゃなく選手権に出場する高校全部がそうだろう、皆が全国を、優勝を目指して戦っている。
誰もが優勝旗を手にせんと懸命に走り続ける、その栄光を味わえるのは全国で一校だけに許された特権だ。
その中でやはり大きな壁となるのはインターハイと選手権のタイトル両方を勝ち取り連覇を狙う高校サッカー界の絶対王者、八重葉学園を避けては通れないだろう。
ピィーーー
未だ眠気が抜けきっていないのか卵サンドを口にしたままの弥一を夢の世界から現実世界へ引き戻すかのように審判の笛が鳴る、それにハッと弥一が気付き見れば前川のゴール前に人が集まる姿が確認された。
『これは、前川のファール!開始早々に真島、良い位置でフリーキックのチャンスを獲得しました!』
前半はまだ1分も経っていない、此処で早くも鳥羽の見せ場がやってくる。
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