第32話 Graduation

 ちーちゃんが地獄へ転落していくのとは反対に、樹那様は卒業&韓国への階段を着々と昇っていった。


 あっ、階段とちゃうか。


 花道やな。


 花道……なんやしっくりけーへん。


 せやっ。


 踏み台や。


 これまでの日本での活動をなかったことにせず、踏み台にして世界に羽ばたいてほしい。


 どんな別れでも悲しいもんは悲しい。


 せやけど。


 推しの幸せを、成功を祈るのがオタク・信者の務めや!


 世界一のアイドル目指して頑張れ樹那様!


 日本のアイドルなんて。


 所詮はおままごとの延長線上。


 そう叩かれとるの知っとる。


 逆に知らんと思ってんのか。


 ふんっ。


 言いたいやつには言わせとけばええ。


 樹那様なら大丈夫。


 なんでそう言い切れるかって?


 目の前の光景を見とったらな、自然とそう思えんねん。


 RAINbowのメンバーとしてのラストステージ。


 他担であるはずの七奈も、他の子らも泣いとった。


 勿論メンバーも。


 みんな途中から歌えんくなって、ハチャメチャ。


 それをとがめる人は今日はおらん。


 ええやろ。


 大切なメンバーの門出なんやから。


 泣いたって。


 涙で歌えんくなったって。


 そんな中。


 ただひとり。


 樹那様は優しく微笑み続けた。


 最初から最後まで。


 これが彼女なりの強さなんかもしれんね。


 弱さを見せん。


 ホンマに凄いわ。


 ますますついて行きとうなったわ。


 言われんでもついて行くんやけどな。


 グッバイ日本。


 グッバイマスゴミ。


 そんで。


 ありがとう、七奈。


 ありがとう、探偵さん。


 二人のおかげで樹那様は新しい道を歩み始められた。


 私も、沢山の人への感謝を抱えて韓国へと旅立つわ。


 ではでは。


 これから私がすべきことは、樹那様に花道だけを歩ませること。


 もう二度と辛くて悲しい思いをさせないこと。


 そんなの無理?


 言ってろ。


 最初っから諦めてるやつなんかに用はねぇ。

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