140字小説集

雨宮 徹@クロユリの花束を君に💐

ちょっとそこまで

「ちょっとそこまで、買い物に行ってくるわ」母が言う。

「お母さん、運転にはくれぐれも気をつけてよ」

「大丈夫。最新式で自動運転なんだから、心配無用よ」

 でも機械音痴の母が心配だ。

「僕も行くよ」

「ちょっとそこまでよ」母は言いながら乗り込む。

「月までなんて、たったの三十八万キロなんだから」

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