第39話 料理

「奈由香。何を作るんですか?」


 正直俺は料理は得意ではない。作れるものと言えば、チャーハンとかパスタくらいだろう。少しでもややこしくなったら、まず出来なくなるだろう。

 だが、逆に一緒に作るのがチャーハンやパスタのような簡単な物でいいのか? という思いもあるけれど。


「今日作るのは、ジャジャン! カレーよ」

「カレー?」


 イメージ的に作るの難しそうなんだが。


「なんか、言った瞬間に顔色変わったね」

「そりゃあ、カレーって絶対難しいじゃないですか」

「大丈夫よ。今日はこの奈由香様がいるんだから!!!!!!」

「調子乗りすぎだろ」


 まあかわいいけど。


 そして俺は奈由香の指示に合わせ、カレーに使うグザイをどんどんと斬っていく。

 ジャガイモニンジン玉ねぎ牛肉などなどだ。

 切るだけなら俺にでもできる。俺がしっかりと切っているのを見た奈由香はほっといても大丈夫だと判断したのか、鍋の準備に取り掛かっていた。


 そして、奈由香の指示に合わせて、具材をどんどんと鍋に入れていく。そしてそれを奈由香が炒めていった。


 そしてそれをしばらく隣で見ていたら、奈由香に「雄太、水用意して」と言われた。


「どれくらい?」

「千くらいかな」

「分かった」


 そしてとりあえず千程度の水を用意して鍋に入れる。 後は奈由香がほとんどやってくれたので、灰汁とりとかくらいだった。そしてあっという間にできた。思ってた二倍くらいは出来るの早かった。


「じゃーん。カレー」


 そう言って奈由香がカレーを見せてきた。


「私たちの共同合作だよ!」

「そうですね!」


 俺は役に立っていたのかは分からなかったが。


「思ったよりもいい感じにできたわね」

「そうですね」

「だって、雄太と作ったもんね」

「そんな……」

「ちょっと雄太、照れないでよ」


 そして実食といたった。スプーンでご飯とカレーをすくって食べる。


「あ、美味しいですね」

「うん。最高だね」


 そして俺たちは食べた後、二人でゲームをした。今日はキングカートだ。前回奈由香が俺に勝てなかったということで奈由香がリベンジしたいからという訳だ。


「じゃあ、今日は勝つね」

「やってみてください。俺は負けませんけど」


 そしてレースは開始された。今回のレース、スタートダッシュに成功し、素早く前へと飛び出し、一位になる。


「雄太、ちょっと、練習でもしたの?」

「もちろんでしょう」


 だって、前回は毎回スタートで抜け出せなかったんだから。


「だから、今日の俺も抜かせると思わないでくださいね」

「分かってるよ!」


 そう言って、奈由香はアイテムを取る。今の奈由香の順位は十位。そう、下位なのだ。


「ねえ、雄太見て?」

「え?」


 そこに表示されてたのは、前方の敵を全員スリップさせるというアイテムだった。


「まさか」


 俺は今ジャンプ台の近くにいる。もし今そのアイテムを喰らったら俺は空から落とされ、落下してしまう。そうなったらかなりのタイムロスになってしまう。


「そういう事よ」


 やっぱりだった。俺はアイテムの効果で空から落とされ、ジャンプ台の近く、元居た場所に戻された。

 そして順位は見事に七位まで落ちた。


「……自分の彼氏に対してひどくないですか?」

「これは勝負だもん。仕方ないよ」


 奈由香は白々しく言う。くそ、そんなこと言われたらこっちだって復讐してえ。


 とりあえず今の奈由香とはまた距離はありそうだ。


 というかたった一つのアイテムで三位も順位上がるなよ。


 これは奈由香に追いつかないと、復習もくそもない。奈由香が運で上がるのなら俺は実力でだ! という訳で、ショートカットコースを選び、そこで上手くジャンプアクションを取る。


 こうすることで、未知の半分をショートカットできる。これで、五位にまで上がれた。そして、先ほどとったアイテムボックスの結果が出る。獲得したアイテムは追尾アイテムだった。これはいけるぞ!


「奈由香、覚悟しといてください」

「え? 何を? って、分かってるよそれは」


 奈由香は俺の画面を見て、これから俺がしようとしていることを理解したようだ。

 流石は奈由香一筋縄ではいかないようだ。

 だが、これは最強の追尾アイテム。ガードアイテムがない限りほぼ確実に追突できるようになっている。さあ、


 そして俺は満を持して、アイテムを投げる。当たれという気持ちで。


「奈由香! 覚悟しといてくださいね」

「分かってるよ、雄太がやることは」


 そして奈由香は、巧みにカートを操り、岩を縦にしてアイテムを回避した。


「来るとわかっていたらこういうのは簡単なものなのよ」


 しかもそう、自信満々の笑みをこちらに向けてくる。奈由香のその顔はかわいい。だが、少しうざくも感じだ。だから俺は次の行動に移った。奈由香は確かにアイテムをよけた。


 だが、その分距離は俺に近づいていてしまっている。だから、俺は奈由香の場所を目指し、をした。その効果で奈由香は道から外れ、コース外へとすごい勢いで落ちていった。


「雄太、やったわね」

「仕返しですよ!」


 そしてそのまま俺は2位まで順位を上げた。片や奈由香は七位まで落ちた。フツーに気持ちがいい。


「さて、引導を渡してあげますよ。奈由香」

「ふふ、まだ分からないよ!」


 そしてデットヒートを繰り広げるが、結局奈由香が俺に追いつく事はなかった。そう、俺が勝った。


「雄太、悔しい! もう一回!」

「はいはい、もう一回だけですよ」

「なに? その上から目線」


 そしてもう一試合した結果、俺が勝った。


「雄太もう一回!」


 そう言う奈由香に付き合った結果、次は俺が負けた。


「や、やったよ! 雄太に勝てたよ!」


 そう言って奈由香は喜びのポーズをとる。


「大袈裟すぎませんか?」

「私に取ってはそれくらい嬉しいことなのよ!」


 そんな奈由香は可愛らしかった。

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