第2話 真面目がクズになる時

高校生の良い所


毎日制服で通学出来る、勉強が仕事


それは社会人になってから気付く良い所


私の楽しみ?イケメンの先輩を毎日眺めている事


私は糞が付くほど真面目な女だろう

ネイルもしない、髪は常に結び、化粧もしない、制服も崩さない、校則遵守


勉強だけが取り柄の女


クラスに1人はいるだろう。私はそれで満足している

真面目に生きていればいい事がある筈と言い聞かせる


真面目に勉強してテストで平均点以上の点数を毎回取って

何の問題も無く卒業していい大学に行ければ私はそれでいい


そう・・願っていた


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『明日カラオケ行かない?』


急にイケメンの先輩から誘われた、この私がだ。


『な、なんで私。。ですか?』


これが初めて話した言葉


『いや~前から見られている気がしてて気になってたんだよね』


もはや心臓から口が出そうだ。いや、逆だ。

何が恥ずかしいって見ている事がばれていた事。


私は恋愛経験ゼロだ


ばれない様に見るしか手段を知らないのにばれていたのだ


死ぬ。この場で死ぬ。


日程を決めてその場を離れた。


【チッ・・・】

私は有頂天でその音に気付かなかった


最初のデートに誰もが通る道・・


何を着る?どんな髪型?どんな化粧?


全てにおいて最高の自分を演出する為に


着る事の無かったスカート、リップ、親にもきっとばれている


その日を迎えた私は冷汗が止まらない


待ち合わせ場所に着くと先輩がいた


『え?めっちゃかわいいじゃん!』


このセリフを言われて嫌な気持ちになる女の人は

ほぼいない、もはやホストの常套句だろう

その時の私を射止めるには十分すぎるセリフだったが


胸を高鳴らせてカラオケに着いた


何を歌おう・・上手に歌える?いや、1人でよく来ていたし得意な方だ


そんな事を考えていた私に一言、伝えたい


【密室に男と二人きりで会うな】


相手に好意がばれていれば尚更だ


その日、カラオケで私は処女を失った

しかも彼女としてではなく


好きな人としたんだから幸せと自分に言い聞かせる事で

精一杯だった


それだけで済むなら


イケメンを狙う女は多い


その中に性格の悪い女がいたら終わりだ


その先輩と出かける会話を聞かれていたらしく


学校ではいじめにあった


学校なんて勉強出来ればそれでいいと思っていた


その勉強さえしていれば良かった空間で他人から悪意の

干渉をされる瞬間、そこは地獄となる


先輩にはやり捨てされただけだった

誰にも相談出来ない、というか誰にそんな話を出来る?


先生からいじめについて話があると放課後、別室に呼ばれた


1人孤独な生徒ほどきっと扱いやすい人間はいないのだろう


先生といっても人間だ、全員が善意の塊ではない


その先生はいじめの相談と言いつつ単位という武器を

私に突き付け体を要求してきた


孤独な生徒に相談出来る相手もいないと踏んでだろう


単位なんてちゃんと勉強していた私にとっては痛くもない事


それが能力関係無しにこのキモイ奴の気分で変わるクソみたいな制度になる


大きな声で叫べば誰か助けてくれるかもしれない、普通の学生ならば


いじめにあっている私がきもい奴に襲われそうになって泣き叫んでいた


これだけでもはや卒業まで完全にネタとされて終わるだろう


この時は私は思った


男なんてクソだ、大人なんてクソだ、学校なんてクソだ


人生は何が起こるか分からない


この日から私はきもい先生からの関係を拒めない痴女となった


この時からだろうか、女が男に勝てるものは何だろう?と考えたのは


考える事を私は止めた


従順なフリをして適当に勉強をしても単位がもらえる


相手もばれると困るリスクを抱える為かテストがイージーモードに変わる


人間としてクズになる自分にこのままじゃダメだ、変わらなきゃと言い聞かせても


結局、思考は楽な方へと進む


私はクソな痴女のまま卒業を迎えた


よくある事なのか分からないがいじめなんてどこの学校にもある事なんだろう

学生の内は思春期のせいなのか同性同士の嫌がらせが多い気がする

それはきっとだんだん個性があらわになってくるからだろう


モテる、頭がいい、喧嘩が強い、胸がでかい、細い


他の人より長けている箇所、幸福な者への嫉妬心からか


クズな奴が増えるのはきっとこの辺り


学校から社会人になる時、人間関係は一旦リセットされる


しかし、そこでねじ曲がった性格までをリセット出来るかはその人次第


私は男に媚びてクズになる方法を学生の内に学んでしまった



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