第7話 新たな風

涼太の出発から数ヶ月が経ち、杏里は日常の中で新しい日常を築き上げていった。彼女の文芸サークルでの活動はますます活発化し、多くの作品を発表する機会も増えた。


春が近づく頃、サークルでのイベントのために、近隣の大学との合同イベントが企画された。その中で、杏里は別の大学の文芸サークルの部長・陸と出会った。


陸は、杏里とは違う視点や感じ方で文学に取り組む情熱的な学生だった。彼の作品は独自の世界観を持ち、杏里は彼の作品に魅了された。


二人はイベントの準備や運営を一緒に行う中で、お互いの考え方や文学に対する情熱を共有し合った。そして、お互いの作品を読み合い、フィードバックを交換することで、新しい視点や考え方を得ることができた。


ある日、陸は杏里を彼のお気に入りのカフェに誘った。カフェは街の外れにあり、古い家を改装したものだった。店内には、古い本や手書きの詩が飾られており、杏里はその雰囲気に引き込まれた。


「このカフェは、私の執筆の場所なんだ。」陸はそう言いながら、杏里に自分の作品を読んで欲しいと頼んだ。


杏里は陸の作品を読み進める中で、彼の深い感情や考えに触れることができた。そして、お互いの作品を通じて、二人は深い絆を築き上げていった。


しかし、杏里の心の中には、涼太への想いがまだ強く残っていた。陸との交流を楽しむ一方で、涼太への気持ちをどうすればいいのか、杏里は迷いを感じていた。


ある晩、杏里は涼太からの手紙を受け取った。手紙の中で、涼太は海外での研究生活の中での出来事や、杏里への想いを綴っていた。


杏里は涼太の手紙を読みながら、彼との再会を心待ちにした。そして、涼太への気持ちと、新しい出会いや経験を大切にしようと決意した。


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