第28話 宇都宮署長最期の事件
虎島刑事は、鉱山会社社長の息子、梶原京介の依頼を受け、鉱山町の塙田にやってきた。
塙田は、京介の父で鉱山会社の社長、邦夫が労働争議を抑えるために雇ったマフィアが町に居つき、これに対抗する警察までマフィアのようになってしまい、黒い街の異名をとるほど荒れ果てていた。しかしその状況を改善しようとしていた京介は、虎島が着いたその日に街中で射殺され、寝たきりの邦夫は、これを機にこの町のマフィアの一掃を虎島に頼む。引き受けた虎島は京介を殺したのが銀行の出納係、剣持であることを突き止め、自首させる。剣持は京介が人気娼婦の香美から不正の情報を買おうとしたのを、金でものにしようとしたと思い込み、嫉妬にかられて殺したのだった。邦夫は事件がマフィアの仕業でなかったことから虎島への依頼を終了させようとするが、虎島はそれを拒否して徹底的にやることを宣言する。
マフィアのボスの一人、真田志郎はボクシングの八百長情報を虎島に教え、その儲けを土産に虎島を町から追い出そうとする。だが虎島は真田を脅して八百長を覆させ、真田は大損、虎島が情報を教えていた香美が大儲けをし、虎島は香美を味方につける。町の男たちをたぶらかしてきた香美は虎島にいろいろな情報をもたらすが、真田に買収され、虎島と真田一味は銃撃戦になる。虎島は香美を言い値で裏切らせ、彼女の情報を元に警察署長、宇都宮に近づく。宇都宮は2年前に弟が自殺していたが、その犯人が真田であると虎島から知らされて協力体制に入る。真田は逮捕されるが、すぐ脱獄し、警察(宇都宮一派)と真田一家の銃撃戦が町のあちこちで始まる。墨田、世羅といった他のマフィア達もこれに乗じて活動を始め、ついに世羅は射殺されて腹心の相馬が後を引き継ぐ。
やがて皆が邦夫の元に集まり講和しようとする。しかしその場で虎島はすべての事情を暴露する。宇都宮の弟を殺したのは真田でなく、当時の警官であること。さらに宇都宮が相馬と手を組み、でっちあげの銀行強盗を真田一家の仕業に見せかけたこと。その調査の過程で宇都宮は墨田の密造酒工場も破壊したこと。講和は決裂し、宇都宮&相馬一派、真田一家、墨田一家の全面抗争が勃発する。真田によって宇都宮が射殺されたその夜、虎島は自分が殺し合いを楽しみつつあることを香美に告白するが、香美も殺され、虎島に容疑がかかる。
真田が、彼を香美殺しの犯人と思い込んだ虎島は、そのことを相馬に伝えて彼を味方につける。相馬は虎島から得た情報を利用して墨田一味を皆殺しにする。虎島は日向刑事に疑われながらも捜査を続け、邦夫が香美に熱を上げていたことを突き止め、今すぐ軍隊を呼んで真っ当な警察機構を入れるよう彼を脅迫する。そして相馬は死を偽装していた真田と相討ちとなる。虎島の蒔いた種が実り、策謀、直情、勘違いの殺し合いで次々と死体の山が築かれ、血の収穫によって町の悪はついに一掃される。
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