第7話 大発生

 メイは得意げに胸を張った。


 大きな胸に目が行ってしまう。


「そ、それより俺はパーティーを組んだままにしたいけど、メイは嫌じゃないか? 貰える経験値が減るぞ?」

「このままで大丈夫ですよ。モンスターをたくさん狩っても途中で成長が止まりますから。スキル訓練も大事です☆」


 ソウルアップにはモンスターの経験値による能力アップとスキル訓練の両方が必要だと言われている。

 ソウルアップが進むほど偏った事をしていてはソウルアップしにくくなる。


 なのでお金持ちが冒険者を雇って経験値だけを手に入れても高ランクになる事は出来ない。



 メイがシュッシュと足を蹴り出す。

 今度はスカートが舞い上がる。


「きゅう、何か食べますか?」

「きゅう」


 きゅうがこくりと頷いた。


 岩の上におにぎりを置いてからきゅうを置くが動かない。


「おにぎりはダメですか?」

「……」


 俺はおにぎりを手にのせてきゅうの口に持って行くとおにぎりを食べ始めた。


「手にのせて食べさせないと駄目なのかもな」

「アキラ、よく分かりましたね」

「犬もこうすると喜ぶから何となくこうしてみた」

「私もやります」


 メイにおにぎりを渡した。


「アレ? 食べないんですか?」


 メイがきゅうにおにぎりを渡すが食べる気配が無い。

 口におにぎりを押し付けても口を開かず、それどころか拗ねているようにも見える。


「……」

「アキラ、やってみてください」

「……お腹がいっぱいなのかもな。きゅうは小さいから」

「やってみてください」


 俺がおにぎりを差し出すと嬉しそうに食べだした。


「……やっぱり、アキラに懐いて私には懐いていません」

「サモンモンスターを俺が使ったからか?」

「この差は? 意味不明です」

「俺もきゅうの事はよく分からない。ゆっくり慣れて行こう」


「そうですね、おにぎりをまるまる1個食べているのに、お腹が膨れませんね」

「きゅうが食べたおにぎりはどこに行ったんだろうな? でも、美味しそうだからいいか」

「きゅう、不思議生物ですね」


 メイがきゅうを撫でるがきゅうはおにぎりに夢中だ。

 咀嚼が異様に早く、おにぎりを食べる音が可愛い。


 くちゃくちゃくちゃくちゃくちゃ!


 おにぎりを食べ終わると浮き上がって眠りだしたが、眠りながら俺についてきた。


「寝ているのに飛べるのか?」

「魔力は感じません」

「寝ているのにどうやってついて来ているんだろうな?」


 歩くと眠りながら浮いて俺についてくる。


「超高等スキルなのか?」

「何か超越している感がありますよね」

「悟りのきゅう」

「アルティメットきゅう」

「きゅう神」


 メイと2人で笑った。


「きゅうがいると元気になる」

「赤ちゃんみたいですよね」


 2人で同時に後ろを振り向いた。

 魔法陣が発生してウサギがポップした。


 魔法陣がどんどん増えてそこからウサギが大量にポップしていく。


「まずいですよ! 100体以上!」


「「ギュウウウウ!!」」


 まずい! 

 更に魔法陣が増えてウサギが発生している。


「大発生か!」

「逃げましょう!」


 2人で逃げた。

 

「わわわわ! 追いかけてきますよ!」


 ウサギはスピードタイプだ。

 逃げ切るのは厳しい。


「くそ! 迎え撃つ!」


 俺は反転して先頭にいるウサギに攻撃を仕掛けた。

 メイも戦いに参加する。


 剣で何体もウサギを倒す。


 メイも蹴りでウサギを倒していった。


 たくさんのウサギを倒すが異変が起きた。


 バキン!


「剣が折れた!」

「まずいですよ! このままじゃやられちゃいます!」


「「ギュウウウウ!!」」

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